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医療保険とは — 公的医療保険は3つに分かれる。窓口で払う割合と、受けられる給付の違いを条文で確かめる

結論から言うと、公的な医療保険は加入する人で3つに分かれます。勤め先で加入の条件を満たして使用される人・退職後に要件を満たして申し出た任意継続被保険者とその被扶養者が入る被用者保険(健康保険・共済制度など)、都道府県と市町村が行う国民健康保険(ほかに国民健康保険組合)、そして広域連合の区域内に住所があり、生活保護受給世帯(保護停止世帯を除く)及び省令所定の特別理由による適用除外に当たらない75歳以上の人と、65歳以上75歳未満で一定の障害の状態にあると広域連合の認定を受けた人が入る後期高齢者医療制度です。日本に住所がある人は、生活保護受給世帯(保護停止世帯を除く)や省令所定の特別理由による適用除外などを除き、原則としてこのどれかに属します。主な例外は生活保護を受けている世帯(保護を停止されている世帯を除く)に属する人で、国民健康保険法6条9号と高齢者の医療の確保に関する法律51条1号により、国民健康保険にも後期高齢者医療にも入りません。

3つは「同じ保険の窓口違い」ではありません。保険診療の原則の一部負担割合は年齢と所得の区分で1割から3割(減免や高額療養費の現物給付等は別)である一方、現金でもらえる給付には制度で違いがあります。療養のため労務に服することができないときの傷病手当金(労務不能になった日から起算して3日を経過した日から、同一の傷病については支給を始めた日から通算して1年6月間まで)と、出産したときの出産手当金(出産の日〔出産の日が予定日後のときは予定日〕以前42日〔多胎妊娠は98日〕から出産の日後56日までの間で労務に服さなかった期間)は、健康保険では法律上の給付ですが(健康保険法99条1項・4項・102条1項、任意継続被保険者は対象外)、国民健康保険では条例・規約で「行うことができる」任意給付です(国民健康保険法58条2項)。会社を辞めて国民健康保険に移った人が最初につまずくのがここです。

この記事は公的医療保険の話だけをします。生命保険会社が売る民間の医療保険(入院給付金が出る保険商品)については、公的制度との役割の違いを事実として整理するところまでで、商品の選び方や見直しは扱いません。制度の根拠は健康保険法・国民健康保険法・高齢者の医療の確保に関する法律の条文で、加入者数と給付の一覧は厚生労働省の資料で確かめています。

「医療保険」は2つの意味で使われる

「医療保険」という言葉は、場面によって指すものが変わります。

給与計算や年末調整の書類には、両方の「医療保険」が出てきます。給与から引かれる健康保険料は公的医療保険の保険料です。居住者が自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の負担すべき保険料をその年に支払う場合や、その年の給与から控除される場合は、社会保険料控除の対象になります(所得税法74条。ただし同法9条1項7号の非課税在勤手当に係るものを除く)。民間の医療保険料は、居住者本人がその年に所得税法76条の対象契約・対象部分の保険料を支払う場合に生命保険料控除の対象です。医療費等支払事由に基因して給付する対象契約は、旧契約の復活・新契約の附帯による法定みなし(後述)を確認した上で、平成24年1月1日以後の契約が介護医療保険料、平成23年12月31日以前の契約が旧生命保険料の区分です。受取人のすべてが払込者・配偶者その他の親族であることが必要で、介護医療保険料は医療費等支払事由に係る部分その他政令所定の部分に限り、新生命保険料を除きます。主な例外: 身体の傷害のみを給付事由とする契約、外国保険会社等が国外で締結した契約、短期の特定保険契約その他政令所定のもの等は対象外です(同条6項4号・7項)。失効した旧契約の平成24年以後の復活は新契約から除かれ、旧契約に含まれます(ただし、次に示す新契約附帯によるみなしがある場合を除く)。同条6項の旧生命保険契約等又は9項の旧個人年金保険契約等に、平成24年1月1日以後に5項・7項・8項所定の新契約を附帯して締結した場合は、その旧契約を同日以後の契約とみなします(10項)。日付だけでは控除対象・区分は確定しません。区分の確かめ方は生命保険料控除の記事を参照してください。

公的医療保険の3つと、保険者の全部

公的医療保険は、加入する人で3つに分かれます。保険を運営する主体を保険者と呼びます。

区分根拠法保険者加入する人保険者数加入者数
被用者保険(協会けんぽ)健康保険法全国健康保険協会健康保険組合の組合員でない健康保険の被保険者(適用事業所に使用される被保険者及び任意継続被保険者。日雇特例被保険者を除く)とその被扶養者1(令和5年3月末)約3,944万人(令和5年3月末)
被用者保険(組合健保)健康保険法健康保険組合健康保険組合の組合員である被保険者(任意継続被保険者を含む)とその被扶養者1,383(令和5年3月末)約2,820万人(令和5年3月末)
被用者保険(共済)国家公務員共済組合法・地方公務員等共済組合法・私立学校教職員共済法共済組合・事業団国家公務員・地方公務員・私立学校教職員等とその被扶養者85(令和5年3月末)約982万人(令和5年3月末)
国民健康保険(市町村国保)国民健康保険法都道府県と市町村(国民健康保険組合は下の本文で別に説明)その都道府県に住所があり、国民健康保険法6条の適用除外(被用者保険や後期高齢者医療の加入者、生活保護を受けている世帯(保護を停止されている世帯を除く)の人、国民健康保険組合の被保険者など)に当たらない人1,716(市町村)(令和5年3月末)約2,413万人(市町村国保)(令和5年3月末)
後期高齢者医療制度高齢者の医療の確保に関する法律後期高齢者医療広域連合広域連合の区域内に住所がある75歳以上の人と、65歳以上75歳未満で一定の障害の状態にあると広域連合の認定を受けた人(生活保護を受けている世帯(保護を停止されている世帯を除く)の人及び省令所定の特別理由による適用除外者を除く)47(令和5年3月末)約1,913万人(令和5年3月末)

保険者数・加入者数は令和5年3月末時点(厚生労働省「我が国の医療保険について」)。令和5年3月末の国民健康保険の保険者数1,716と加入者数約2,413万人は市町村国保の数で、国民健康保険組合を含みません。

「3つ」でまとめると落ちるものがあるので、保険者の種類を全部並べておきます。被用者保険には、上の3系統のほかに船員保険(船員保険法、保険者は全国健康保険協会、対象者約11万人)と、健康保険法3条2項の日雇特例被保険者の保険(対象者約2万人)があります(対象者数はいずれも令和6年度予算ベース)。国民健康保険には、都道府県と市町村が行うもののほかに、医師・歯科医師・建設業などの同種同業で組合の地区内に住所がある人を組合員として組織する国民健康保険組合があります(国民健康保険法13条1項、これは組合の組織の要件で、同種同業で地区内に住所があることだけでは加入できるとは決まらず、加入できるかは次に示す13条3項の加入制限とそのただし書、4項の組合に使用される者の例外を確かめてから決まります)。組合員は原則として組合の地区内に住所があることが必要ですが、13条4項により、組合に使用される者で6条各号(8号・10号を除く)のいずれにも該当せず、かつ他の組合の被保険者でないものは、1項にかかわらず組合員となれる例外があります。地区は一又は二以上の市町村の区域によりますが、特別の理由があるときは別の区域にできます。同条3項では6条各号(8号・10号を除く)該当者と他の国保組合の被保険者は組合員になれませんが、その世帯に6条各号(10号を除く)のいずれにも該当せず他の組合の被保険者でもない者がいる場合は、ただし書により例外です。同条4項では、組合に使用される者も6条各号(8号・10号を除く)に該当せず他の組合の被保険者でもなければ組合員になれます。「国保」と一言で呼んでも、市町村の国保か国保組合かで保険料の決め方も給付も違います。

日本に住所がある (適用除外を除く) 75歳以上か、65〜74歳で 障害の認定を受けたか はい 後期高齢者医療制度 窓口 1割/2割/3割 いいえ 勤め先の加入条件を 満たして使用されるか はい 被用者保険 協会けんぽ/組合健保/共済 保険料は事業主も負担 いいえ 被用者保険の被扶養者に 認定されるか はい 被扶養者として被用者保険 本人の保険料負担はなし いいえ 国民健康保険 (市町村・国保組合)
図の窓口割合は保険診療の原則の割合で、減免・高額療養費の現物給付等は別。図は協会けんぽ・組合健保・共済の在職者と被扶養者の主な分岐を示す。船員保険・日雇特例は本文の別区分、任意継続は申出による別経路として確認する。後期は区域内住所と51条の適用除外(生活保護受給世帯〔停止世帯を除く〕及び省令所定の特別理由)を確認した上で判定する。加入する制度は、年齢(75歳以上、または65〜74歳で障害の認定)→ 勤め先での使用のしかた → 被扶養者の認定、の順に決まる。国民健康保険は、ほかの制度にも国民健康保険法6条の適用除外にも当たらない人が入る制度として最後に来る(退職後の任意継続は、要件を満たす人が申し出て入る)。

この順番には理由があります。国民健康保険法5条は「都道府県の区域内に住所を有する者は、当該都道府県が当該都道府県内の市町村とともに行う国民健康保険の被保険者とする」と定め、6条で健康保険・船員保険の被保険者と被扶養者(健康保険の日雇特例被保険者とその被扶養者は1号・5号のただし書で除かれ、7号で別に判定)、共済組合の組合員、後期高齢者医療の被保険者、生活保護を受けている世帯(保護を停止されている世帯を除く)に属する者、国民健康保険組合の被保険者など11の号を適用除外にしています。つまり都道府県と市町村の国民健康保険は、6条の適用除外に当たらない住民をすべて被保険者にする設計です。

国民健康保険法5条: 「都道府県の区域内に住所を有する者は、当該都道府県が当該都道府県内の市町村とともに行う国民健康保険の被保険者とする。」ただし6条の全11号の適用除外を確認する(主な例: 被用者保険の被保険者・被扶養者〔日雇特例は7号で別判定〕、後期高齢者医療、生活保護受給世帯〔保護停止世帯を除く〕、国保組合、省令所定の特別理由など)。

勤め先で加入するかどうかの条件(週の所定労働時間や所定労働日数、事業所の規模)は社会保険の加入条件、家族を被扶養者にできるかは社会保険の扶養の条件にまとめてあります。この記事では条件そのものは繰り返しません。

保険診療の原則割合 — 年齢と所得の区分で1割から3割(減免等は別)

保険診療の原則の一部負担金は、療養の給付として算定した費用の額に自己負担の割合を掛けた額です。減額・減免等の措置や高額療養費の現物給付によって実際の窓口支払額が変わる場合があります(健康保険法74条2項、国民健康保険法42条2項、高齢者の医療の確保に関する法律67条2項)。入院中の食事代(食事療養標準負担額)のように、この割合とは別に決まる負担もあります。割合は制度ごとの条文に書かれていて、年齢の区分と割合は制度をまたいでほぼ共通です。違うのは所得の見方で、健康保険と国民健康保険は70歳に達する日の属する月の翌月以後の療養についてだけ所得で2割・3割を分け、健康保険の被保険者はその被保険者の政令で定めるところにより算定した報酬の額(70歳以上の被扶養者は74条1項3号該当者その他政令所定の被保険者の被扶養者かどうかで判定)、国民健康保険は同じ世帯の被保険者(70歳に達する日の属する月の翌月以後の者その他政令所定の者)について政令の定めるところにより算定した所得の額で判定します。後期高齢者医療は本人または同じ世帯の他の被保険者などについて政令で定めるところにより算定した所得の額で判定します。また、65歳以上75歳未満で障害の認定を受けて後期高齢者医療に入った人は、後期高齢者医療の原則の割合(1割・2割・3割、同法67条1項。災害その他の特別の事情による減額・免除・直接徴収猶予は別、同法69条)になります。

区分自己負担根拠
健康保険・国保の加入者(障害認定による後期加入者を除く): 義務教育就学前(6歳に達する日以後の最初の3月31日まで)原則2割(減額・免除・直接徴収猶予、国保の割合減少等は別)健康保険法110条2項1号ロ・国民健康保険法42条1項2号
健康保険・国保の加入者(障害認定による後期加入者を除く): 義務教育就学後から70歳に達する日の属する月まで原則3割(減額・免除・直接徴収猶予、国保の割合減少等は別)健康保険法74条1項1号(被扶養者は110条2項1号イ)・国民健康保険法42条1項1号
健康保険・国保の加入者(障害認定による後期加入者を除く): 70歳に達する日の属する月の翌月以後75歳未満(次の行の現役並みを除く)原則2割(減額・免除・直接徴収猶予、国保の割合減少等は別)健康保険法74条1項2号(被扶養者は110条2項1号ハ)・国民健康保険法42条1項3号
上の層のうち、健康保険は被保険者の政令で定めるところにより算定した報酬の額(被扶養者もその被保険者等の区分で判定)、国民健康保険は世帯の被保険者(70歳に達する日の属する月の翌月以後の者その他政令所定の者)について政令の定めるところにより算定した所得の額が政令で定める額以上(現役並み)原則3割(減額・免除・直接徴収猶予、国保の割合減少等は別)健康保険法74条1項3号(その被保険者などの被扶養者は110条2項1号ニ)・国民健康保険法42条1項4号
後期高齢者医療制度の加入者(75歳以上と65〜74歳の障害認定者。次の2割・3割の対象者を除く)原則1割(減額・免除・直接徴収猶予、国保の割合減少等は別)高齢者の医療の確保に関する法律67条1項1号
後期高齢者医療の加入者のうち、本人または同じ世帯の他の被保険者などについて政令で定めるところにより算定した所得の額が政令で定める額以上(一定以上所得、次の行を除く)原則2割(減額・免除・直接徴収猶予、国保の割合減少等は別)同法67条1項2号
後期高齢者医療の加入者のうち、本人または同じ世帯の他の被保険者などについて政令で定めるところにより算定した所得の額が、前の行の政令で定める額を超える政令で定める額以上(現役並み)原則3割(減額・免除・直接徴収猶予、国保の割合減少等は別)同法67条1項3号

75歳以上の2割は、はじめからあったものではありません。厚生労働省の資料は、令和4年10月1日から現役並み所得者以外の一定所得以上の者が2割負担になったと書いています。75歳以上は1割だと覚えたまま案内すると、2割の人について費用に原則割合を掛けた額を半分に見積もる(実際の窓口額は減免・高額療養費の現物給付等で変わる)ことになります。

就学前の2割は、保険証の種類ではなく6歳に達する日以後の最初の3月31日で切れる

条文は「六歳に達する日以後の最初の三月三十一日」を境にしています。4月1日生まれの子でも3月31日生まれの子でも、保険診療の原則の割合は、6歳に達する日以後の最初の3月31日までが2割で、その翌日の4月1日から3割です(国民健康保険では、条例・規約による一部負担金の割合の減少〔国民健康保険法43条〕や、特別の理由がある被保険者への一部負担金の減額・免除〔同法44条〕を受けると、実際の負担は変わります)。自治体が独自に行っている子ども医療費の助成は、この一部負担金をさらに軽くする別の制度なので、割合の条文とは分けて考えてください。

割合を掛けたあとの金額が重くなったときに効くのが高額療養費です。月ごとの自己負担のうち高額療養費の支給対象となる合算額が所得に応じた上限(自己負担限度額)を超えたら、超えた分が高額療養費として支給されます。入院と、同じ医療機関の外来で限度額を超える場合は、窓口での支払いが月ごとの限度額までにとどめられます(月をまたぐ場合も各月で判定)。同じ月の複数の医療機関の分を合算するときは、70歳未満は一部負担金が2万1千円以上のものに限られます。上限額と計算のしかたは高額療養費の記事にまとめてあるので、ここでは繰り返しません。

健康保険・国保の70歳の切り替えは「達する日の属する月の翌月」から — 原則は誕生月の翌月、1日生まれは誕生日当日(障害認定で後期高齢者医療に入った人を除く)

健康保険・国保加入者(65〜74歳の障害認定による後期加入者を除く)の70歳時の区分について、健康保険法74条1項は、3割になるのは「七十歳に達する日の属する月以前である場合」、2割になるのは「七十歳に達する日の属する月の翌月以後である場合」と書き、2割の号のかっこ書で次号(3号)を除いています。3号は、政令で定めるところにより算定した報酬の額が政令で定める額以上の人を翌月以後も3割にする区分です。健康保険・国保加入者の切り替えは月単位で、原則は誕生月の翌月から、1日生まれの人は誕生月の1日(誕生日当日)からです(65〜74歳で障害認定を受け後期高齢者医療の被保険者になった人は、この切り替えの対象外)。この書き方には2段のずれが入っています。

一七十歳に達する日の属する月以前である場合百分の三十二七十歳に達する日の属する月の翌月以後である場合(次号に掲げる場合を除く。)百分の二十 — 健康保険法74条1項1・2号の引用。3号は到達月翌月以後でも政令で定めるところにより算定した報酬の額が政令所定額以上の場合は3割とする。以上は保険診療の原則割合で減免等は別。
  1. 「達する日」は通常は誕生日の前日(応当日がない場合はその月末)。年齢計算ニ関スル法律が「年齢ハ出生ノ日ヨリ之ヲ起算ス」「民法第百四十三条ノ規定ハ年齢ノ計算ニ之ヲ準用ス」と定め、民法143条2項は「その起算日に応当する日の前日に満了する」、ただし「最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する」としています。出生日から起算するので、70年が満了するのは通常は誕生日の前日です。ただし民法143条2項ただし書により、最後の月に応当日がない場合(2月29日生まれの平年等)はその月末に満了します
  2. そこから「属する月の翌月以後」。70歳の年齢区分は月単位で切り替わるので、この区分による割合が月の途中で変わることはありません(後期高齢者医療の被保険者になるなど、加入する制度自体が変わる場合は別)

この2段を踏むと、1日生まれの人だけ1か月早く切り替わります。10月1日が70歳の誕生日なら、達する日は9月30日、その属する月は9月、翌月以後は10月。つまり誕生月である10月の診療から切り替わります。10月2日生まれなら、達する日は10月1日で、翌月以後は11月。11月の診療から切り替わります。健康保険・国保加入者(障害認定による後期加入者を除く)の切替後の原則の割合は2割ですが、健康保険は被保険者の政令で定めるところにより算定した報酬の額が政令所定額以上の場合に、国民健康保険は同じ世帯の被保険者(70歳に達する日の属する月の翌月以後の者その他政令所定の者)について政令の定めるところにより算定した所得の額が政令所定額以上の場合に、それぞれ原則3割です(健康保険の70歳以上の被扶養者は74条1項3号該当者その他政令所定の被保険者の被扶養者なら原則3割、2割・3割とも保険診療の原則の割合で、減額・免除・直接徴収猶予、国保の割合減少等は別、健康保険法74条1項3号・75条の2・国民健康保険法42条1項4号・43条・44条)。国民健康保険は、70歳に達する日の属する月の翌月以後の保険診療について、世帯の被保険者(70歳に達する日の属する月の翌月以後の者その他政令所定の者)について政令の定めるところにより算定した所得の額が政令所定額以上なら原則3割です(健康保険法74条1項3号・国民健康保険法42条1項4号、条例・規約による割合の減少〔同法43条〕と特別の理由による減額・免除・直接徴収猶予〔同法44条〕は別)。1日違いで1か月ずれるので、70歳前後の患者の窓口負担を説明するときは生年月日を見てください。

同じ「達する日」の数え方は、介護保険料の徴収が始まる40歳や、厚生年金の資格を失う70歳でも使います。年齢で変わる介護保険料・厚生年金保険料の額は、社会保険料 計算機で年齢を入れて確かめられます(健康保険は協会けんぽの選択県を前提に計算、入力範囲は15〜74歳で、70歳以上の厚生年金保険料は0円と表示され高齢任意加入の人の保険料は計算の対象外、生年月日の欄は無いので切り替え月は上の数え方で決めてください)。

社会保険料 計算機 — 協会けんぽ加入の会社員の健康保険・厚生年金・雇用保険の額を報酬月額・勤務先の都道府県・年齢・業種から計算する(賞与額と、今年度〔4月〜翌3月〕に現在加入している健康保険の同一保険者で受けた既払の標準賞与額〔各支給分の1,000円未満を切り捨てた額の合計。保険者が異なる既払分は含めず、同一保険者なら転職前の分も含める〕を入れると賞与分も。入力範囲は15〜74歳で、70歳以上の厚生年金の高齢任意加入の人の保険料は計算の対象外)

給付の違い — 傷病手当金と出産手当金は制度で扱いが違う

窓口の割合の区分がほぼ共通なのに対して、現金でもらえる給付には制度で違いがあります。出産育児一時金と埋葬料・葬祭費は健康保険・国民健康保険とも給付として定められていますが(国民健康保険は条例・規約の定めるところにより行い、特別の理由があるときは全部又は一部を行わないことができる〔国民健康保険法58条1項〕、後期高齢者医療には出産に対する給付はない)、額の決め方が違います。傷病手当金と出産手当金は、扱いそのものが違います。ここが制度を比べるときのいちばん大きな差です。

給付健康保険・共済国民健康保険後期高齢者医療
療養の給付(窓口負担の裏側)法律上の給付法律上の給付法律上の給付
高額療養費法律上の給付法律上の給付法律上の給付
出産育児一時金法律上の給付(健康保険法101条)条例・規約の定めるところにより行うもの。特別の理由があるときは全部または一部を行わないことができる(国民健康保険法58条1項)出産に対する給付はない
埋葬料・葬祭費埋葬料は定額5万円(埋葬料を受けるべき者がない場合は、埋葬を行った者に5万円の範囲内で埋葬に要した費用に相当する金額、健康保険法100条2項)条例・規約の定めるところにより葬祭費の支給または葬祭の給付(ほとんどの市町村で実施、1〜5万円程度。特別の理由があるときは全部又は一部を行わないことができる、国民健康保険法58条1項)条例の定めるところにより葬祭費の支給または葬祭の給付(ほとんどの広域連合で実施、1〜5万円程度。特別の理由があるときは全部又は一部を行わないことができる、同法86条1項)
傷病手当金法律上の給付(健康保険法99条、任意継続被保険者を除く)任意給付(同法58条2項)任意給付(高齢者の医療の確保に関する法律86条2項)
出産手当金法律上の給付(健康保険法102条、任意継続被保険者を除く)任意給付(同法58条2項)—

給付の一覧と埋葬料・葬祭費の額は厚生労働省「我が国の医療保険について」の「公的医療保険の給付内容」(令和6年6月現在)による。

国民健康保険法58条は、1項で条例又は規約の定めるところにより出産育児一時金と葬祭費の支給(または葬祭の給付)を「行うものとする」と書き(特別の理由があるときは全部または一部を行わないことができる、というただし書つき)、2項で条例又は規約の定めるところにより傷病手当金その他の保険給付を「行うことができる」と書き分けています。「できる」は、やらなくてもよいという意味です。後期高齢者医療も同じ形で、高齢者の医療の確保に関する法律86条1項が条例の定めるところにより葬祭費の支給または葬祭の給付を「行うものとする」(特別の理由があるときは全部または一部を行わないことができる、という同じただし書つき)、2項が条例の定めるところにより傷病手当金その他を「行うことができる」と書いています。自分の市町村・国民健康保険組合・広域連合に制度があるかは、条例・規約で確かめることになります。

市町村及び組合は、前項の保険給付のほか、条例又は規約の定めるところにより、傷病手当金の支給その他の保険給付を行うことができる。

傷病手当金そのものの要件・計算・待期の3日は傷病手当金の記事と傷病手当金 計算機、出産手当金は出産手当金の記事、出産育児一時金は出産育児一時金の記事にあります。この記事の役目は「制度が違うと受けられる給付が違う」ところまでです。

保険料の決まり方 — 誰がどれだけ負担するか

保険料の決め方と、誰が払うかも制度で違います。

制度保険料の決め方負担する人根拠
健康保険(協会けんぽ)保険料を算定する月の式(前月から継続する被保険者の資格喪失月は算定せず、介護第2号非該当月は介護分なし〔同月再該当・政令所定の場合を除く〕): 標準報酬月額・標準賞与額 × 都道府県ごとの健康保険料率。40〜64歳は介護保険料率1.62%(令和8年3月分〔4月納付分〕から、任意継続・日雇特例は4月分〔4月納付分〕から)が加わり、令和8年4月分からは子ども・子育て支援金0.23%も加わる被保険者と事業主が2分の1ずつ(任意継続被保険者は全額)健康保険法161条1項
健康保険(組合健保)保険料を算定する月の式(前月から継続する被保険者の資格喪失月は算定せず、介護第2号非該当月は介護分なし〔同月再該当・政令所定の場合を除く〕): 標準報酬月額・標準賞与額 ×(組合が決定する一般保険料率+子ども・子育て支援金率)。組合ごとの率を確認する。40〜64歳(介護保険第2号被保険者)は組合が定める介護保険料率が加わる2分の1ずつ。規約で事業主の負担割合を増やすことができる(任意継続被保険者は全額)健康保険法156条・160条13項・16項・160条の2・161条1項・162条
国民健康保険(都道府県・市町村)保険料率は各市町村が実情を踏まえて定める。40〜64歳の被保険者には介護納付金の分も賦課被保険者の属する世帯の世帯主(当該市町村の区域内に住所がある世帯主に限る)から保険料を徴収(国民健康保険税を課す場合は別区分)国民健康保険法76条1項・3項
国民健康保険組合政令で定める基準に従い規約で定める(国民健康保険法81条。加入している組合に確認)組合員国民健康保険法76条2項
後期高齢者医療広域連合の条例で定める保険料率。全区域で均一であることその他政令の基準に従う。離島その他医療の確保が著しく困難な地域で厚生労働大臣の基準に該当する地域に住所がある被保険者には、政令の基準に従い別に条例で定める料率を適用できる被保険者本人高齢者の医療の確保に関する法律104条2項

健康保険法156条の月分計算の主な例外: 保険料を算定する月について、介護保険第2号被保険者でなくなった月は一般保険料率と支援金率の分だけを算定します(同じ月に再び第2号となった場合その他政令所定の場合は例外、前月から引き続き被保険者である人がその月に資格を喪失した場合は、同条3項によりその月分の保険料自体を算定しない)。前月から引き続き被保険者である人が資格を喪失した月の保険料は算定しません。上の健保2行の式は、保険料を算定する月についての式です。

健康保険(任意継続は全額、組合健保は規約で事業主負担を増やせる)では、健康保険法161条1項が「被保険者及び被保険者を使用する事業主は、それぞれ保険料額の二分の一を負担する」と定めています。ただし書で、任意継続被保険者は全額を自分で負担します。健康保険組合は、162条により規約で事業主の負担割合を増やすことができます。退職して任意継続を選んだ人の保険料が大きく増えて見えるのは、会社が持っていた分(協会けんぽなら半分、規約で事業主の負担を増やしている健康保険組合ならそれ以上)が自分に移るからです。

協会けんぽの令和8年度の健康保険料率は都道府県ごとに違います。令和8年3月分(4月納付分)から適用(任意継続・日雇特例は4月分〔4月納付分〕から)され、たとえば東京都は9.85%(令和7年度の9.91%から引下げ)で、在職中の被保険者で標準報酬月額30万円の保険料算定月なら(前月から継続する被保険者の資格喪失月を除く)健康保険部分だけの保険料は月29,550円、うち本人負担は14,775円です(介護・支援金を除いた例。任意継続は全額自己負担)。これに加えて、令和8年4月分(5月納付分)からは全国一律の子ども・子育て支援金0.23%が加わります。40歳から64歳までの人(介護保険第2号被保険者)には、保険料を算定する月について、さらに全国一律の介護保険料率1.62%が、令和8年3月分(4月納付分)から乗ります(任意継続被保険者・日雇特例被保険者は4月分〔4月納付分〕から、介護保険第2号被保険者に該当しなくなった月は介護分なし〔同じ月に再び第2号となった場合その他政令所定の場合を除く〕、前月から引き続き被保険者である人の資格喪失月は保険料自体を算定しない、健康保険法156条2項・3項)。

都道府県と市町村の国民健康保険の保険料率は、各市町村が実情を踏まえて定めています。国民健康保険組合は、組合員から保険料を徴収します(国民健康保険法76条2項)。市町村の国民健康保険料の中身は国民健康保険料はどう決まるかと国民健康保険料 計算機、会社が負担する側の金額は法定福利費の計算にあります。

会社の経理がやること

会社が関わるのは被用者保険の部分です。やることは3つに分かれます。

1. 入社・退社のときの届出。健康保険法施行規則24条1項は、資格取得の届出(任意継続被保険者を除く)を「当該事実があった日から五日以内に」様式第3号(または様式第3号の2)の健康保険被保険者資格取得届で行うと定めています。この取得・喪失の届出は任意継続被保険者を除きます。資格喪失(任意継続被保険者を除く)は同規則29条1項で、当該事実があった日から5日以内に様式第8号(または様式第8号の2)の資格喪失届です。提出先は日本年金機構か健康保険組合です(様式第3号の2・様式第8号の2は日本年金機構に出す)。資格取得届には被保険者の個人番号を書きます(協会けんぽの被保険者が同時に厚生年金の資格を取得した場合で、基礎年金番号がある人は、個人番号に代えて基礎年金番号でもかまいません)。資格喪失届では、協会けんぽの被保険者が同時に厚生年金の資格を喪失したときに、個人番号または基礎年金番号を付記します。家族の追加・削除の届出は健康保険 被扶養者(異動)届にまとめてあります。

2. 保険料を給与から引く月。保険料は月単位で、入社月・退職月の扱いが論点になります。引く月の決め方は社会保険料は入社月・退職月にいつ引くか、月途中の入退社で給与を日割りするときの考え方は月途中入社・退職の給与の日割りにあります。

3. 会社負担分の計上。事業主が負担する分(協会けんぽは2分の1、規約で事業主の負担を増やしている健康保険組合はその割合)は法定福利費です。保険料の納付義務は事業主にあり、健康保険法161条2項は「その使用する被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負う」としています。本人負担分を給与から引き忘れても、納付の義務は会社に残ります。

役員を被保険者にするかどうかは、雇用保険と結論が逆になる論点なので役員の社会保険を参照してください。保険証の廃止後に使う資格確認書の扱いはマイナ保険証とは何かと資格確認書にあります。

退職したあと、どの制度に入るか

退職して適用事業所に使用されなくなると、被用者保険の被保険者資格を失い(健康保険法36条2号、同時に他の適用事業所にも被保険者の要件を満たして使用されていてそこでの使用が続く場合は、その事業所の被保険者として加入が続きます)、次の区分で加入先を確認します(国保組合は国民健康保険法13条の組織要件・加入制限とその例外を満たす場合の別区分で、再就職先の被用者保険に入る場合もあります)(生活保護を受けている世帯(保護を停止されている世帯を除く)に属する場合は、国民健康保険法6条9号で国民健康保険の適用除外になります)。

75歳になるときは、本人の意思と関係なく制度が切り替わります(日本国内に住所がない人、生活保護を受けている世帯(保護を停止されている世帯を除く)の人、省令所定の特別理由による適用除外者、障害の認定ですでに後期高齢者医療に入っている人は、このときには切り替わりません)。高齢者の医療の確保に関する法律52条1号は、広域連合の区域内に住所がある人(51条の適用除外に当たらず、50条2号の障害の認定を受けた人を除く)が「七十五歳に達したとき」から資格を取得すると定めています。健康保険法3条1項7号が後期高齢者医療の被保険者等(生活保護のため後期高齢者医療に入らない75歳以上の人を含む)を被保険者から外しているので、日本国内に住所があれば、会社に勤め続けていても75歳で健康保険の被保険者ではなくなります。会社の経理としては、国内に住所がある従業員が75歳に到達し、その時点の健康保険被保険者資格を喪失した場合に資格喪失届が要る(障害認定等で既に喪失している場合は再度不要)ことを押さえておきます。

民間の医療保険との役割の違い

民間の医療保険は、公的医療保険と置き換わるものではありません。事実として並べると、違いは次のところにあります。

比べる点公的医療保険民間の医療保険
加入法律の要件で決まる(任意継続のように要件を満たす人が申し出て入るものを除き、選べない)契約(任意)
給付の形医療そのもの(療養の給付)が中心で、原則として窓口で一部負担金を払う(減額・免除・直接徴収猶予、国保の割合減少等は別)。出産育児一時金や傷病手当金などの現金の給付もある約定した給付金を現金で受け取る
保険料標準報酬や所得から算定。被用者保険は事業主も負担(任意継続被保険者は全額自己負担)契約内容による。全額が契約者の負担
所得控除居住者が自己又は生計を一にする配偶者その他親族の負担すべき対象保険料をその年に支払う又は給与から控除される場合の社会保険料控除(非課税在勤手当に係るものを除く)居住者本人がその年に支払った対象契約・対象部分の保険料について生命保険料控除(医療費等支払事由に係る対象契約は平成24年1月1日以後が介護医療保険料、平成23年12月31日以前が旧生命保険料。受取人・傷害のみ等の対象外・復活・法定のみなし新契約の条件は上記「医療保険」の節参照。日付だけでは決まらない)

年末調整や確定申告の書類では、この2つは別の欄に書きます。居住者が自己又は生計を一にする配偶者その他親族の負担すべき対象健康保険料をその年に支払った額又は給与から控除された額(非課税在勤手当に係るものを除く)は社会保険料控除、居住者本人がその年に支払った要件を満たす対象民間医療保険料は生命保険料控除の欄に入ります(対象部分・受取人・除外契約・復活・法定のみなし新契約を確認し、日付だけで区分しない。条件は上記「医療保険」の節参照)。どの保険がどの控除に当たるかは生命保険料控除の記事で区分を確かめてください。

この記事では、民間の医療保険の商品名・保障内容・加入の必要性については扱いません。公的医療保険でどこまで賄われるかを確かめた上で、必要な備えは保険会社や金融商品の販売資格を持つ窓口で確認してください。

間違えやすい点

1. 「社会保険」と「医療保険」は同じ範囲ではありません。給与計算で「社会保険」と呼ぶときは、健康保険・介護保険・厚生年金保険をまとめて指すのが普通です。このうち医療保険に当たるのは健康保険の部分だけです。保険料の内訳を説明するときに混ぜると、厚生年金の分まで「医療費のため」と説明してしまいます。

2. 被扶養者は「被保険者」ではありません。家族が保険証を持って保険医療機関等で保険診療を受けられるのは、被扶養者が保険医療機関等から療養を受けたときに被保険者に対して家族療養費が支給される形(健康保険法110条1項)だからです。被扶養者本人が被保険者になるわけではないので、被扶養者には傷病手当金も出産手当金も出ません。出産育児一時金は、健康保険の被扶養者については家族出産育児一時金の名称で給付されます(共済制度では出産費・家族出産費の名称)。

3. 国民健康保険の「保険者」は市町村だけではありません。国民健康保険法5条は、都道府県が「当該都道府県内の市町村とともに行う」国民健康保険の被保険者と書いています。都道府県と市町村が行う国民健康保険では、被保険者の属する世帯の世帯主(当該市町村の区域内に住所がある世帯主に限る)から保険料を徴収する(国民健康保険税を課す場合は別区分)のも窓口も市町村ですが、制度の説明で「市町村が保険者」と書き切ると現在の条文と合いません。

4. 75歳以上は1割とは限りません。本人または同じ世帯の他の被保険者などについて政令で定めるところにより算定した所得の額が政令で定める額以上なら原則2割(3割の場合を除く)、その額を超える政令で定める額以上なら原則3割です(高齢者の医療の確保に関する法律67条1項2号・3号、いずれも保険診療の原則の割合で、災害その他の特別の事情による減額・免除・直接徴収猶予は別、同法69条)。本人の所得が少なくても、同じ世帯の被保険者の所得で区分が変わることがあります。現役並み所得の3割対象者を除く一定以上所得の2割は、令和4年10月1日から設けられた区分です。

5. 70歳と75歳の切り替えは、月単位と日単位が混ざります。健康保険・国保加入者(65〜74歳の障害認定による後期加入者を除く)の70歳の自己負担割合は「達する日の属する月の翌月以後」で月単位、区域内に住所があり51条の適用除外(生活保護受給世帯〔保護停止世帯を除く〕・省令所定の特別理由)に当たらず、障害認定ですでに加入している人を除く後期高齢者医療の資格取得は「七十五歳に達したとき」で日単位です。同じ「達する」でも、そこから先の数え方が違うので、一方の覚え方をもう一方に当てないでください。

この記事のまとめ
  • 公的医療保険は被用者保険・国民健康保険・後期高齢者医療制度の3つ。被用者保険にはほかに船員保険と日雇特例被保険者の保険があり、国民健康保険には都道府県・市町村のもののほかに国民健康保険組合がある
  • 都道府県・市町村の国民健康保険は、住所がある人のうち国民健康保険法6条の11の号に当たらない人が入る。外れるのは被用者保険の被保険者・被扶養者(日雇特例被保険者は別に判定)、後期高齢者医療の被保険者、生活保護を受けている世帯(保護を停止されている世帯を除く)の人、国民健康保険組合の被保険者など
  • 保険診療の原則の一部負担割合(減免・高額療養費の現物給付等は別)は、健康保険・国保加入者〔障害認定による後期加入者を除く〕では就学前2割・就学後から70歳到達月まで3割・70歳到達月の翌月から2割(現役並み3割)・後期高齢者医療の加入者は本人または同じ世帯の被保険者などについて政令で定めるところにより算定した所得の額により1割・2割・3割
  • 健康保険・国保加入者(障害認定による後期加入者を除く)の条文の「七十歳に達する日」は通常は誕生日の前日(応当日がない場合は月末満了)。健康保険・国保加入者(障害認定による後期加入者を除く)は、1日生まれの人は誕生月の診療から、それ以外の人は誕生月の翌月の診療から70歳以上の原則の割合(2割、現役並みは3割。減額・免除・直接徴収猶予、国保の割合減少等は別)になる
  • 傷病手当金と出産手当金は、健康保険では法律上の給付(任意継続被保険者を除く)。国民健康保険では条例・規約で「行うことができる」任意給付(国民健康保険法58条2項)
  • 保険料は被用者保険が労使2分の1ずつ(健康保険組合は規約で事業主の負担を増やせる、任意継続は全額)、市町村の国民健康保険料は被保険者の属する世帯の世帯主(当該市町村の区域内に住所がある世帯主に限る)から徴収(国民健康保険税を課す場合は別区分)、国民健康保険組合は組合員、後期高齢者医療は本人が負担する
  • 会社の届出は資格取得・資格喪失ともに当該事実があった日から5日以内(任意継続被保険者を除く)(健康保険法施行規則24条1項・29条1項、様式第3号または第3号の2、様式第8号または第8号の2)

よくある質問

健康保険と国民健康保険は、どちらが得なのですか?

得かどうかは保険料の額と受けられる給付の両方で変わるので、一般には決まりません。制度として大きく違うのは、保険料の負担と手当金です。在職中の健康保険の被保険者は、保険料の2分の1を事業主が負担し(健康保険法161条1項、健康保険組合は規約で事業主の負担を増やせる、162条)、傷病手当金と出産手当金が法律上の給付として用意されています(同法99条・102条)。退職後の任意継続被保険者は、保険料が全額自己負担で、傷病手当金と出産手当金の対象から外れます(退職前から受けている手当金の扱いは別)。市町村の国民健康保険料は被保険者の属する世帯の世帯主(当該市町村の区域内に住所がある世帯主に限る)から徴収し(国民健康保険税を課す場合は別区分)(国民健康保険法76条1項、国民健康保険組合は組合員から徴収)、傷病手当金は条例・規約で「行うことができる」任意給付です(同法58条2項)。どちらに入るかは条文で決まり、選べるのは、資格を失う日の前日まで継続して2か月以上被保険者だった人(日雇特例・任意継続・共済組合員である被保険者の期間を算入せず、船員保険の被保険者及び後期高齢者医療の被保険者等を除く)が、退職後に資格を失った日から20日以内に任意継続を申し出て初めての保険料を納付期日までに納めるか(どちらも正当な理由があると保険者が認めた場合の例外あり、健康保険法37条)、住所要件を満たし国民健康保険法6条の適用除外(被用者保険の被扶養者・後期高齢者医療・生活保護受給世帯〔保護停止世帯を除く〕等)に当たらない場合に国民健康保険に入るかを選ぶ場面などに限られます。

医療保険に入っていないと、病院で全額払うことになりますか?

公的医療保険の資格がないことだけで、必ず窓口で全額を払うとは限りません。例えば生活保護法15条の医療扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者に対して、診察、薬剤又は治療材料、医学的処置・手術・その他の治療並びに施術、居宅療養上の管理・療養に伴う世話その他の看護、入院・療養に伴う世話その他の看護、移送の範囲で行われ、34条により現物給付(医療保護施設の利用、又は医療保護施設・指定医療機関への委託、医療を担当する医師又は歯科医師が医学的知見に基づき後発医薬品を使用できると認めたものは原則として後発医薬品で給付し、あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師がそれぞれの法律の規定により行うことのできる範囲の施術は指定施術者への委託も可)で行います(現物給付ができない、適当でない等、保護の目的を達するため必要な場合は金銭給付も可能、指定医療機関では医療扶助を受給する被保護者であることの確認を受け、急迫した事情その他やむを得ない事情があれば指定を受けない医療機関・施術者でも給付を受けられる)。ただし日本に住所があれば、被用者保険にも後期高齢者医療にも入っていない人は、生活保護を受けている世帯(保護を停止されている世帯を除く)の人や国民健康保険組合の被保険者など国民健康保険法6条の適用除外に当たる人を除き、都道府県と市町村の国民健康保険の被保険者になります(同法5条・6条)。資格はあるのに手続きをしていない、保険証や資格確認書が手元にない、というだけであれば、加入している保険者(市町村国保なら住所地の市町村、国保組合なら加入組合、健康保険なら協会けんぽや健康保険組合)に、資格の届出と立て替えた分の精算(療養費)を相談してください。

75歳になると、会社の健康保険から外れるのですか?

日本国内に住所があれば外れます。健康保険法3条1項7号が後期高齢者医療の被保険者等を健康保険の被保険者から除いており、高齢者の医療の確保に関する法律52条1号は区域内に住所がある人(51条の適用除外〔生活保護受給世帯は停止世帯を除く、省令所定の特別理由〕に当たらず、障害認定ですでに加入している人を除く)が「七十五歳に達したとき」から後期高齢者医療の資格を取得すると定めています。勤務を続けているかどうかは関係しません。会社側は、その時点で健康保険被保険者だった人が資格を喪失した場合に資格喪失届を提出します(障害認定等で既に喪失している人は再度不要)。75歳以上になった人に扶養されていた家族は、その人が健康保険の被保険者ではなくなるのに伴って被扶養者でもなくなるため、家族自身が後期高齢者医療の要件(区域内住所、75歳以上又は65〜74歳の障害認定、51条の適用除外に当たらないこと)を満たすか、他の被用者保険の被保険者・被扶養者になるか、国民健康保険法6条の適用除外に当たらず住所要件を満たして市町村国保に入るか(組合の要件を満たす場合は国保組合)を確認します。生活保護受給世帯(保護停止世帯を除く)等の適用除外者は国保に入りません。

国民健康保険には傷病手当金がないのですか?

法律で実施が義務づけられた給付ではありません。国民健康保険法58条2項が「傷病手当金の支給その他の保険給付を行うことができる」と書いており、行うかどうかは市町村の条例・国保組合の規約に委ねられています。1項の出産育児一時金・葬祭費(または葬祭の給付)が「行うものとする」と書かれている(特別の理由があるときは行わないことができる、というただし書つき)のとは扱いが違います。自分の国民健康保険に制度があるかは、市町村なら条例を、国民健康保険組合なら規約を、それぞれの窓口で確かめてください。

70歳の年齢区分で窓口負担の原則割合が切り替わるのは、70歳の誕生日からですか?

健康保険・国保加入者(65〜74歳の障害認定による後期加入者を除く)の70歳の年齢区分は、70歳に達する日の属する月の翌月から月単位で切り替わります(1日生まれは誕生日当日から)。切替後の原則の割合は2割ですが、健康保険は被保険者の政令で定めるところにより算定した報酬の額が政令所定額以上の場合(70歳以上の被扶養者はその被保険者その他政令所定の被保険者の被扶養者に当たる場合)、国民健康保険は同じ世帯の被保険者(70歳に達する日の属する月の翌月以後の者その他政令所定の者)について政令の定めるところにより算定した所得の額が政令所定額以上の場合、切替後も原則3割です(健康保険法74条1項3号・国民健康保険法42条1項4号)。健康保険法74条1項2号は「七十歳に達する日の属する月の翌月以後」としています。年齢計算ニ関スル法律と民法143条2項により「達する日」は通常は誕生日の前日(最後の月に応当日がない場合は月末に満了。2月29日生まれの平年等)なので、1日生まれの人は達する日が前月末日になり、誕生月の1日の診療から切り替わります。健康保険・国保加入者(障害認定による後期加入者を除く)で2日以降に生まれた人は、誕生月の翌月の診療から切り替わります。健康保険・国保加入者(障害認定による後期加入者を除く)の切替後の原則の割合は2割ですが、健康保険は被保険者の政令で定めるところにより算定した報酬の額が政令所定額以上の場合(70歳以上の被扶養者はその被保険者その他政令所定の被保険者の被扶養者に当たる場合)、国民健康保険は同じ世帯の被保険者(70歳に達する日の属する月の翌月以後の者その他政令所定の者)について政令の定めるところにより算定した所得の額が政令所定額以上の場合、原則3割です(健康保険法74条1項3号・国民健康保険法42条1項4号、2割・3割とも保険診療の原則の割合で、減額・免除・直接徴収猶予、国保の割合減少等は別)。

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出典

健康保険法・国民健康保険法・高齢者の医療の確保に関する法律・健康保険法施行規則の条文(e-Gov法令検索)と、厚生労働省・全国健康保険協会の公表資料を読んで作成(2026年10月4日取得)。

この記事は一般的な情報提供であり、個別の加入資格・給付の可否・保険料額についての判断ではありません。自己負担の割合のうち「政令で定める額以上」の判定、国民健康保険と後期高齢者医療の保険料率、任意給付の実施状況は、保険者(市町村・国民健康保険組合・広域連合・協会けんぽ・健康保険組合)ごとに確認が必要です。実際の手続と判定については、保険者の窓口または社会保険労務士にご確認ください。

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