税金・経理・補助金ツールズ

国民年金保険料 — 令和8年度は月額17,920円。納め方で納付総額が変わる

結論から言うと、国民年金保険料は令和8年度(令和8年4月分から令和9年3月分まで)が月額17,920円、令和9年度(令和9年4月分から令和10年3月分まで)が月額18,290円です(日本年金機構)。所得にも年齢にも関係なく、第1号被保険者と任意加入被保険者は同じ額です(免除・納付猶予・学生納付特例などの承認を受けた期間を除きます)。厚生年金のように報酬で変わる仕組みではありません。

この記事で実務上いちばん効くのは納め方です。令和8年度に口座振替で2年前納(令和8年4月分から令和10年3月分までの24か月分)を選ぶと、毎月納付した場合に比べて17,370円安くなります(一部免除の方は口座振替の前納を使えません)。現金またはクレジットカード納付で同じ24か月分を2年前納すると、令和8年度の割引額は16,010円です(一部免除の方はクレジットカード納付を使えません)。2年前納を年度途中から始めた場合、初回は対象月数が短くなり、額が変わります。逆に納付期限(国民年金法91条が定める翌月末日で、土日祝・年末年始なら翌月最初の金融機関営業日)を過ぎたまま督促状の指定期限も過ぎると、原則として延滞金がかかります(徴収されない場合は後述・国民年金法97条)。

以下では、保険料額の決まり方、納付期限と土日祝の扱い、前納・早割の割引額、月400円の付加保険料、払えないときの選択肢(令和8年10月に始まった育児免除を含む)、追納と2年の時効までを、日本年金機構のページと国民年金法の条文で確認します。免除・納付猶予に該当するかどうかの判定は、所得の基準を入れて試せる国民年金の免除・納付猶予 判定シミュレーターに、払った保険料を所得税・住民税からどう引くかは社会保険料控除とはに譲ります。

令和8年度の保険料額 — 月17,920円。17,000円×改定率を10円単位に端数処理して決まる

国民年金保険料は定額です。令和8年度(令和8年4月分から令和9年3月分まで)の第1号被保険者の保険料は月額17,920円、令和9年度(令和9年4月分から令和10年3月分まで)は月額18,290円です。令和9年度の額は、日本年金機構が2年前納の割引額を説明する際に「令和9年度保険料18,290円」として公表しています。

国民年金第1号被保険者の保険料額の推移(日本年金機構「国民年金保険料の変遷」。一部免除の額は各年度の納付額)
年度(対象月分)定額保険料(月額)付加保険料(月額)4分の1免除のときの納付額半額免除のときの納付額4分の3免除のときの納付額
令和6年度(令和6年4月〜令和7年3月)16,980円400円12,740円8,490円4,250円
令和7年度(令和7年4月〜令和8年3月)17,510円400円13,130円8,760円4,380円
令和8年度(令和8年4月〜令和9年3月)17,920円400円13,440円8,960円4,480円
令和9年度(令和9年4月〜令和10年3月)18,290円————

令和9年度の欄が定額保険料だけなのは、日本年金機構が2年前納の計算根拠として令和9年度の定額保険料だけを先に公表しているためです。令和9年度の付加保険料と一部免除の納付額は、この記事を書いた2026年10月5日時点では同機構のページで確認できませんでした。

17,000円×保険料改定率。1円単位では出てこない理由

定額といっても、毎年の額は法律が直接書いているわけではありません。国民年金法87条3項は、令和元年度以後の年度に属する月の月分について17,000円という基準額を置き、これに保険料改定率を掛けた額(5円未満の端数は切り捨て、5円以上10円未満の端数は10円に切り上げ)を保険料とすると定めています。日本年金機構が公表している令和8年度の保険料改定率は1.054で、17,000円×1.054=17,918円です。

この17,918円が令和8年度の17,920円になるのは、同じ87条3項の末尾にある端数処理のためです。条文はこう書いています。

保険料の額は、次の表の上欄に掲げる月分についてそれぞれ同表の下欄に定める額に保険料改定率を乗じて得た額(その額に五円未満の端数が生じたときは、これを切り捨て、五円以上十円未満の端数が生じたときは、これを十円に切り上げるものとする。)とする。

17,918円の端数8円は「五円以上十円未満」に当たるので10円に切り上げられ、令和8年度の保険料は17,920円になります。国民年金保険料の額が10円単位でしか動かないのは、この規定があるためです。

法が置く基準額 17,000円 国民年金法87条3項 令和元年度以後の月分 ×保険料改定率 1.054 令和8年度の率 計算結果 17,918円 端数8円 5円以上10円未満は 10円に切り上げ 令和8年度 17,920円
令和8年度の国民年金保険料が月額17,920円になるまで(国民年金法87条3項と、日本年金機構が公表した令和8年度の保険料改定率1.054)

払うのは誰か — 第1号被保険者と任意加入被保険者。世帯主と配偶者は連帯義務

保険料を自分で納めるのは、国民年金第1号被保険者(自営業者、農業者、学生、無職の方など)と任意加入被保険者です(免除・納付猶予・学生納付特例などの承認を受けた期間を除きます)。会社員・公務員などの第2号被保険者は厚生年金保険料として給与から天引きされ、第2号被保険者に扶養される第3号被保険者は自分で納める必要がありません(日本年金機構「国民年金第3号被保険者の保険料について」)。

見落とされやすいのが連帯納付義務です。国民年金法88条は、1項で被保険者本人の納付義務を定めたうえで、2項で世帯主に(その世帯に属する被保険者の分)、3項で配偶者の一方に(被保険者である他方の分)、連帯して納付する義務を負わせています。

被保険者は、保険料を納付しなければならない。2世帯主は、その世帯に属する被保険者の保険料を連帯して納付する義務を負う。3配偶者の一方は、被保険者たる他方の保険料を連帯して納付する義務を負う。

この条文があるため、日本年金機構は、最終催告状の指定期限までに納付されず督促状を送る段階で連帯納付義務者(世帯主および配偶者)に対しても督促状を送付し、督促状の指定期限までに納付されなければ連帯納付義務者に対しても財産の差押えを行うと案内しています。学生の子の保険料が未納のまま放置されると、手続きは親の側にも及びうるということです。

納付期限は翌月末日(土日祝などは翌営業日)。令和8年4月分は6月1日

納付期限は国民年金法91条が1文で定めています。

毎月の保険料は、翌月末日までに納付しなければならない。

日本年金機構は、この末日が土曜日、日曜日、祝日、年末年始(12月31日、1月2日および1月3日)に当たるときは、翌月最初の金融機関等の営業日が納付期限になると案内しています。たとえば令和8年4月分の納付期限は本来5月31日ですが、2026年5月31日は日曜日なので、納付期限は6月1日(月)になります。日本年金機構の延滞金の計算例も、令和8年4月分について「納付期限の翌日」を令和8年6月2日として計算しています。

口座振替の振替日と納付期限
口座振替で翌月末振替を選んでいる場合、振替日は納付期限と同じ納付対象月の翌月末日です(振替日が土日祝・年末年始なら翌月最初の金融機関等の営業日)。日本年金機構によると、残高不足で振り替えられなかった月分は翌月に再振替され、再振替もできなかった場合は後日納付書が送られます。後述の当月末振替(早割)では、振替日が納付対象月の当月末日(休日等なら翌月最初の金融機関等の営業日)になります。ただし一部免除の方は翌月末振替しか使えません。

納付方法は5つ。金額が動くのは前納と早割だけ

日本年金機構が案内している納付方法は、①納付書でのお支払い、②口座振替でのお支払い、③クレジットカードでのお支払い、④スマートフォンアプリでのお支払い、⑤ねんきんネットを活用した納付書によらない納付(Pay-easy)の5つです。同機構はいずれの方法でも手数料はかからないと明記しています。一方で、市(区)役所および町村役場の窓口では国民年金保険料を納付できず、年金事務所の窓口も原則として領収を行っていません。

支払う総額が変わるのは、主に前納(まとめ払い)を選ぶかどうかと口座振替で早割を選ぶかどうかです。そして同じ前納でも、口座振替のほうが納付書・クレジットカードより割引額が大きく、前納の額は納付方法によっても変わります。次の節が実額です。

前納・早割の割引額(令和8年度の実額)

日本年金機構が公表している令和8年度の国民年金保険料(定額保険料)の前納額と割引額は、次のとおりです。割引額はいずれも毎月納付した場合との比較です。

令和8年度の国民年金保険料・1回あたりの納付額と割引額(日本年金機構「国民年金保険料の前納」)。前納の額は満期間の額で、2年前納は令和8年4月分から令和10年3月分までの24か月分、1年前納は12か月分、6か月前納は6か月分。年度途中に始めた初回は対象期間が異なり、額も変わります。口座振替の前納・早割の初回振替では前月分の保険料(割引なし)も同時に振り替えられ、その分は表の額に含みません。一部免除の方は口座振替は翌月末振替のみで、クレジットカード払いは使えません
納付方法2年前納1年前納6か月前納当月末振替(早割)毎月納付
納付書払い・クレジットカード払いの納付額418,510円211,220円106,650円—17,920円
口座振替の納付額417,150円210,530円106,300円17,860円17,920円
納付書払い・クレジットカード払いの割引額16,010円3,820円870円——
口座振替の割引額17,370円4,510円1,220円60円—

2年前納の割引額が令和8年度に17,370円(口座振替)・16,010円(現金およびクレジットカード納付)になる計算の土台は、日本年金機構が明示しています。2年分を毎月納付した場合の額は、(令和8年度保険料17,920円×12か月)+(令和9年度保険料18,290円×12か月)=434,520円で、ここから割引額を引いた434,520円−17,370円=417,150円が口座振替の2年前納額、434,520円−16,010円=418,510円が現金およびクレジットカード納付の2年前納額です。

口座振替で直近の4月から2年前納を始めるなら、申出は2月末(必着)
口座振替の2年前納・1年前納・6か月前納の申込みはいつでもでき、申し込みの時期によって初回の振替期間が異なります。直近の4月から口座振替の2年前納を始めたい場合は「2年前納(4月開始)」を選び、申出書を2月末(必着)までに日本年金機構へ提出する必要があります。日本年金機構は、2月末日までに提出しても口座の確認に時間を要して4月の口座振替に間に合わない場合があり、そのときは5月末日に割引のない4月分と5月分から翌々年3月分までの23か月分の前納保険料を振り替える、と案内しています。現金による2年前納は毎年2月1日から事前の申出を受け付けており、申出書は3月末までに年金事務所へ提出します(4月になっても申し出はできますが、支払期限は4月末(土日祝日なら翌営業日)です)。

前納は年度単位の4月開始・10月開始だけではありません。納付書による場合は任意の月分から当年度末または翌年度末までをまとめて前払いすることもでき、その金額は日本年金機構の「前納金額一覧」で確認します。この場合は前納用の納付書が必要で、手元にないときは年金事務所に専用の納付書の発行を問い合わせます。また、口座振替の2年前納・1年前納・6か月前納・早割はいずれも、初回振替の際に前月分の保険料も同時に振り替えられます。

前納した保険料を所得税・住民税の社会保険料控除としてどの年に引くかは、前納の期間や選んだ処理によって変わります。扱いは社会保険料控除とはの「前納・過去分をまとめて払ったときの扱い」で解説しています。

付加保険料は月400円。受け取りは年200円×納付月数

国民年金第1号被保険者と65歳未満の任意加入被保険者は、定額保険料に上乗せして月額400円の付加保険料を納付できます。根拠は国民年金法87条の2第1項で、「前条第三項に定める額の保険料のほか、四百円の保険料を納付する者となることができる」と定められています。

受け取る側の額は、日本年金機構が「付加年金額(年額)は、200円×付加保険料を納付した月数で計算し、2年以上受け取ると、納付した付加保険料以上の年金を受け取れます」と説明しています。同機構の設例では、20歳から60歳までの40年間(480月)付加保険料を納付すると、付加年金額は200円×480月=96,000円(年額)で、昭和31年4月2日以後生まれの方が毎月の定額保険料(令和8年度:17,920円)を40年間納めた場合の老齢基礎年金847,300円に上乗せされ、合計943,300円(年額)になります。

付加保険料を納付できない人がいる
日本年金機構は、①国民年金保険料の納付を免除されている方(法定免除、全額免除、一部免除、納付猶予、または学生納付特例)と、②国民年金基金の加入員である方は、付加年金に加入(付加保険料を納付)できないとしています。①には例外があり、産前産後免除の場合は付加保険料を納付できます。令和8年10月に始まった育児免除の期間中も、日本年金機構は付加保険料(月額400円)を納付できるとしています。なお、個人型確定拠出年金(iDeCo)と付加年金は同時に加入できますが、iDeCoの拠出額によっては併用できない場合があるため、拠出限度額は加入先の運営管理機関に確認が必要です。

手続き上の注意として、付加保険料の納付は申し出をした日の属する月分から開始し、さかのぼって納付することはできません。日本年金機構の例では、令和8年4月中に申し出た場合は令和8年4月分から納付でき、令和8年3月分以前にさかのぼることはできません。納付をやめる場合は、申出を行った月の前月から納付する方でなくなります。

払えないときの主な5つの制度 — 令和8年10月に育児免除が増えた

保険料を納められないときに未納のまま放置するのと、申請して承認を受けるのとでは、将来の年金額だけでなく障害基礎年金・遺族基礎年金を受け取れるかどうかが変わります。日本年金機構は、未納期間は老齢基礎年金の受給資格期間にも年金額にも算入されず、障害基礎年金・遺族基礎年金の受給資格期間にも算入されないとしています。主な制度を5つ表にまとめます(生活保護の生活扶助を受けている方や障害年金を受けている方は、別の法定免除制度の対象です)。

国民年金第1号被保険者の保険料の納付が免除・猶予される主な制度(日本年金機構。一部免除は減額された保険料の納付が必要。所得の基準や対象期間は各制度のページで確認)
制度対象老齢基礎年金の額への反映
保険料免除(全額・4分の3・半額・4分の1)本人・配偶者・世帯主の前年(または前々年)所得が一定額以下の場合や失業した場合など(申請・承認が必要。任意加入の方は申請できない)あり(全額免除の期間は全額納付した場合の2分の1。平成21年3月分までは3分の1。一部免除は減額された保険料の納付が必要)
納付猶予20歳以上50歳未満で、本人・配偶者の前年(または前々年)所得が一定額以下の場合(申請・承認が必要。任意加入の方は申請できない)なし(受給資格期間には算入)
学生納付特例前年所得が一定額以下の学生(家族の所得の多寡は問わない)なし(受給資格期間には算入)
産前産後期間の免除出産(妊娠85日以上の出産。死産・流産・早産を含む)の日が平成31年2月1日以降の第1号被保険者(任意加入期間は対象外)あり(納付したものとして反映)
育児免除(令和8年10月開始)令和8年10月1日以降、1歳になるまでの子を養育する第1号被保険者の実父母・養父母(子と親子関係があり同一住所であることが要件。所得要件なし。届出が必要)あり(納付したものとして反映)

免除・納付猶予・学生納付特例

免除は全額、4分の3、半額、4分の1の4種類で、承認を受けると令和8年度はそれぞれ月0円、4,480円、8,960円、13,440円の納付になります。所得の基準は本人・配偶者・世帯主(納付猶予は本人・配偶者)の前年(または前々年)所得で判定し、失業・倒産・事業の廃止などの事実を確認できたときは、失業等した方の前年所得にかかわらず免除・納付猶予を受けられる特例があります。学生納付特例は、国民年金法90条の3を根拠に、申請して承認を受けた学生等である被保険者の在学中の保険料の納付が猶予される制度で、日本年金機構は所得基準を「申請者本人のみ」で見ると案内しています。

申請できる期間は、免除・納付猶予・学生納付特例のいずれも保険料の納付期限から2年を経過していない期間(申請時点から2年1か月前までの期間)です。さかのぼれる幅があるとはいえ、日本年金機構は、学生納付特例の申請が遅れると申請日前に生じた不慮の事故や病気による障害について障害基礎年金を受け取れない場合がある、と注意を促しています。

自分が免除・納付猶予の基準に入るかを試す(国民年金の免除・納付猶予 判定シミュレーター)

産前産後期間の免除と、令和8年10月に始まった育児免除

産前産後期間の免除は、第1号被保険者が出産した際に出産予定日または出産日が属する月の前月から4か月間の保険料が免除される制度で、多胎妊娠の場合は出産予定日または出産日が属する月の3か月前から6か月間です。ここでいう出産は妊娠85日(4か月)以上の出産をいい、死産・流産・早産された方も含まれます。対象は出産日が平成31年(2019年)2月1日以降の第1号被保険者で、任意加入期間は対象になりません。

そして2026年10月から、育児免除制度が新たに始まりました。令和8年10月1日以降、1歳になるまでの子を養育する第1号被保険者の実父母・養父母が対象で(子と親子関係があり、子と同一住所であることが要件)、所得要件はありません。日本年金機構は免除される期間を次のように整理しています。

育児免除は、子と親子関係があること(特別養子縁組の監護期間にある子や一定の里親委託の子も含みます)と、子と同一住所であることの両方を満たす必要があります。第2号被保険者は厚生年金保険料等の免除(産前産後休業・育児休業等期間)が別にあり、第3号被保険者と任意加入被保険者は国民年金育児免除制度の対象ではありません。すでに保険料を納付している期間や、法定免除・免除・納付猶予・学生納付特例が承認されている期間についても、届出すれば育児免除期間として取り扱われ、納付済みの保険料は充当または還付されます。

追納は承認月の前10年以内。免除等の翌年度から3年度目以降は加算額が乗る

免除・納付猶予・学生納付特例の承認を受けた期間の保険料は、あとから納めて老齢基礎年金の額を満額に近づけられます(一部免除の期間は、減額された保険料を納めていなければ追納できません)。国民年金法94条1項は、追納できる範囲を「承認の日の属する月前十年以内の期間に係るもの」に限っており、老齢基礎年金の受給権者は追納できません。

ここで実務上効くのが加算額です。日本年金機構は、免除・納付猶予の承認を受けた期間の翌年度から起算して3年度目以降に追納する場合、当時の保険料額に経過期間に応じた加算額が上乗せされると案内しています。令和8年度中に追納する場合の月額(全額免除・納付猶予・学生納付特例の期間)は、令和7年度分と令和6年度分が加算額なしでそれぞれ17,510円・16,980円であるのに対し、平成29年度分は17,070円、平成28年度分は16,850円です。

追納は納付書だけ
日本年金機構は、追納は申込書の提出後に届く納付書で納めるものとし、口座振替・クレジットカード・ねんきんネットの「納付書によらない納付」では納付できないとしています。2年前納のようなまとめ払いの割引もありません。また、追納は原則として古い期間の保険料から順に納めます(免除の期間と納付猶予・学生納付特例の期間が両方ある場合の順序は年金事務所へ相談)。

追納した保険料も、納付した年の社会保険料控除の対象になります。

期限を過ぎたら — 2年の時効、督促、延滞金、差押え

納付期限を過ぎてもすぐに納付できなくなるわけではありません。国民年金法102条4項は、保険料その他の徴収金を徴収する権利はこれらを行使することができる時から2年を経過したときは、時効によって消滅すると定めています(督促があると同条5項により時効は更新されます)。裏返すと、免除等の申請をしていない未納期間は、納付期限から2年を過ぎると原則として納められなくなり、あとから追納して埋めることもできません(追納できるのは免除・納付猶予・学生納付特例の承認を受けた期間だけです)。

一方、支払う能力があるのに納付されない場合、日本年金機構は納付勧奨 → 最終催告状 → 督促状 → 財産の差押え、という順に手続きを進めます。最終催告状・督促状に記載した指定期限までに納付されない場合に、次の段階へ進みます。督促は時効を更新し(102条5項)、督促状で指定した期限までに納付されないと延滞金がかかります(指定期限までに完納すれば97条4項により延滞金は徴収されません)。

延滞金の割合は国民年金法97条1項が年14.6%(納期限の翌日から3か月を経過する日までの期間は年7.3%)と定めていますが、実際に適用される割合は租税特別措置の特例により引き下げられており、日本年金機構が別表で公表しています。同機構が示す令和8年4月分の保険料を令和8年10月1日に納付した場合の計算例は次のとおりです。

延滞金の計算例(日本年金機構「国民年金保険料の延滞金」。令和8年4月分を令和8年10月1日に納付した場合)
区分計算金額
納期限の翌日から3か月を経過する日まで(令和8年6月2日〜9月1日・92日)17,500円×2.8%×92日÷365123.5068…円
3か月を経過する日の翌日から納付日の前日まで(令和8年9月2日〜9月30日・29日)17,500円×9.1%×29日÷365126.5274…円
延滞金(50円未満の端数は切り捨て)123.5068…円+126.5274…円=250.0342…円250円

計算の基礎が17,920円ではなく17,500円になっているのは、国民年金法97条3項が「徴収金額に五百円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる」と定めているためです(令和8年度の保険料17,920円から500円未満の端数420円を切り捨てて17,500円)。また同条4項により、督促状に指定した期限までに完納したとき、または計算した延滞金が50円未満のときは延滞金を徴収しません。1項ただし書は、徴収金額が500円未満であるときや、滞納につきやむを得ない事情があると認められるときも徴収しないとしています。

上の表の2.8%・9.1%は、日本年金機構が延滞金のページの別表で公表している割合のうち、同機構が令和8年4月分の計算例に用いた値です。延滞金の割合は年ごとに変わるため、別の年分を計算するときは同機構の別表で当該期間の割合を確認してください。

払った保険料は全額が社会保険料控除

日本年金機構は、納付した国民年金保険料は所得税や個人住民税の計算上、全額、社会保険料控除の対象になるとしています。付加保険料も追納した保険料も同じく社会保険料控除の対象です。年末調整や確定申告では、同機構が発行する「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」を使います。

誰の所得から引くか、家族の分を払ったときはどうなるか、前納した分をどの年に引くかは、控除の側のルールです。社会保険料控除とはと、申告書の書き方は保険料控除申告書で扱っています。事業用の口座から自分の国民年金保険料を払った場合の帳簿上の処理は事業主貸・事業主借にまとめています。

よくある質問

国民年金保険料は、収入が多いと高くなりますか?

なりません。国民年金第1号被保険者の保険料は定額で、令和8年度(令和8年4月分から令和9年3月分まで)は収入にかかわらず月額17,920円です。報酬に比例するのは厚生年金保険料のほうです。ただし本人・配偶者・世帯主(納付猶予は50歳未満の方の本人・配偶者)の前年(または前々年)所得が一定額以下などの場合は、申請して承認されると免除・納付猶予で納付額が下がることがあります(令和8年度は4分の1免除で月13,440円、半額免除で月8,960円、4分の3免除で月4,480円、全額免除で0円)。

いちばん安く納める方法はどれですか?

令和8年度の定額保険料について日本年金機構が公表している割引額でみると、口座振替の2年前納(17,370円)がもっとも大きく、次いで現金およびクレジットカード納付の2年前納(16,010円)、口座振替の1年前納(4,510円)の順です。ただし2年前納は令和8年4月分から令和10年3月分までの24か月分として417,150円(口座振替の場合で、初回は前月分の保険料も同時に振り替えられます)を一度に用意する必要があるので、手元資金と相談してください。まとまった前納が難しい場合は、口座振替の当月末振替(早割)でも令和8年度は月60円安くなります(一部免除の方は早割を使えません)。

納付書をなくしました。期限を過ぎたらもう払えませんか?

国民年金法102条4項により、保険料を徴収する権利は行使できる時から2年で時効により消滅します(督促を受けると時効は更新されます)。この2年の間であれば納付できるので、まず年金事務所に相談してください。納付書が手元になくても、ねんきんネットの画面に表示される納付書情報(収納機関番号、納付番号、確認番号)を使ったペイジーでの納付ができます。なお、納付期限から2年を経過していない期間であれば、免除・納付猶予・学生納付特例をさかのぼって申請することもできます。

学生納付特例を受けた期間は、あとから納めたほうがよいですか?

将来の老齢基礎年金の額を増やしたいなら追納が有効です。学生納付特例の期間は受給資格期間には算入されますが、老齢基礎年金の額には反映されないためです。日本年金機構は、1年間分追納すると、納付猶予や学生納付特例の期間であれば老後の年金が年間で約2万円増える、としています。ただし追納できるのは追納が承認された月の前10年以内の期間に限られ(老齢基礎年金を受け取ることができる方は追納できません)、承認を受けた期間の翌年度から起算して3年度目以降は加算額が上乗せされます。

2026年10月から始まった育児免除は、父親も使えますか?

第1号被保険者の父親なら、要件を満たして届出をすれば使えます。令和8年10月1日以降、1歳になるまでの子を養育する国民年金第1号被保険者の実父母・養父母が対象で(子と親子関係があり、子と同一住所であることが要件)、日本年金機構は「第1号被保険者であれば、夫婦ともに育児免除制度の対象になります」としています。実父または養父母は届出が必要で、免除期間は子を養育することとなった日の属する月から1歳になる誕生日の前月までの最大12か月間です(令和8年10月1日以降に限る)。ただし第3号被保険者と任意加入被保険者は対象ではありません。

保険料を払わないでいると、家族に請求が行くことはありますか?

あります。国民年金法88条2項は世帯主に(その世帯に属する被保険者の分)、3項は配偶者の一方に(被保険者である他方の分)、連帯して納付する義務を負わせています。日本年金機構も、最終催告状の指定期限までに納付されず督促状を送る段階で、被保険者に連帯納付義務者(世帯主および配偶者)がいる場合は連帯納付義務者に対しても督促状を送付し、督促状の指定期限までに納付されなければ連帯納付義務者に対しても財産の差押えを行うと案内しています。

付加保険料は、何年受け取れば元が取れますか?

日本年金機構は「付加年金額(年額)は、200円×付加保険料を納付した月数で計算し、2年以上受け取ると、納付した付加保険料以上の年金を受け取れます」と案内しています。老齢基礎年金に上乗せされる付加年金は終身で受け取れますが、国民年金基金の加入員は付加保険料を納付できず、免除(法定免除・全額免除・一部免除・納付猶予・学生納付特例)を受けている方も納付できません(産前産後免除・育児免除の期間は納付できます)。

次に読む

出典

日本年金機構の各ページと国民年金法の条文の原文を読んで作成(2026年10月5日取得)

この記事は一般的な情報提供であり、個別の方の保険料額・免除の可否・申告についての助言ではありません。金額はいずれも記載した年度のもので、保険料額・前納額・割引額・延滞金の割合は年度ごとに改定されます。実際の手続き・納付額は、日本年金機構のページまたはお近くの年金事務所でご確認ください。

この内容をXで共有