研修費の勘定科目と仕訳|教育研修費・福利厚生費の違い、資格取得・役員の扱い
業務の研修・講習会の受講料は「研修費」または「教育研修費」、別に購入した業務用の本は「新聞図書費」などで整理します。科目を選ぶ前に、会社の仕事のための支出か、本人への給与に当たる支出かを確認します。
勘定科目は支出の内容で分ける
次の表は会社の費用管理のための分類例です。研修費と教育研修費は、別の税制を表す名前ではありません。既存の科目体系と経理規程に合わせて使い分けます。
| 支出の内容 | 科目の例 | 確認すること |
|---|---|---|
| 業務の研修会・講習会の受講料 | 研修費・教育研修費 | 受講者の担当業務と講座内容 |
| 別に買う業務用の本・参考書 | 新聞図書費 | 受講料との二重計上がないか |
| 会社の福利厚生制度としての学習支援 | 福利厚生費を検討 | 名称にかかわらず給与課税を別途判定 |
| 研修会場までの交通費・宿泊費 | 旅費交通費など | 研修との関連と私用部分の有無 |
| まだ受けていない研修の先払い | 前払金・前払費用などの資産 | 契約内容と費用の帰属時期 |
受講料と教材をまとめて研修費で管理する方法もあります。毎回別の科目に変えると研修予算の比較が難しくなるため、どこまでを研修費に含めるか社内でそろえておくと集計しやすくなります。科目全体は勘定科目一覧で確認できます。
福利厚生費にすれば給与課税を避けられるわけではない
福利厚生費という科目名や、希望者が応募できる制度であることだけでは、本人への給与課税の有無は決まりません。職務に直接必要な研修の実費補助なのか、使い道を限定しない金銭なのかを区別します。
毎月の資格手当や、合格時に定額で渡す祝い金を、受講費用の実費精算と同じ扱いにしないことが大切です。福利厚生費の範囲と給与計算の処理も併せて確認します。
受講料を払ったときの仕訳例
以下は仕訳の仮例です。税込経理で、会社の業務のための受講済みの研修代33,000円を普通預金から支払う場合とします。税込総額を費用に記帳し、消費税区分は受講内容に応じて別に設定します。
| 借方 | 貸方 | 摘要の例 |
|---|---|---|
| 研修費 33,000円 | 普通預金 33,000円 | 経理担当者の実務研修・受講者氏名・受講日 |
従業員が立て替えたときは、会社の費用と確認した段階で「研修費/未払金」、後日の精算時は「未払金/普通預金」などと分けます。法人カードでも、利用の記録と口座引落しの記録を照合し、両方を研修費にしないようにします。
この例は税抜経理の仕訳や、仕入税額控除額の計算を示すものではありません。立替精算では、申請書に主催者の請求書・領収書と受講内容が分かる資料を添えると、支払先と受講者の対応を追いやすくなります。
先払いと受講済みを分ける
支払日だけで当期の費用と判断せず、研修の実施日と契約内容を確認します。単発の講習会への前払いと、継続的に提供されるサービスの未経過分とでは、資産科目の整理も異なります。詳しくは前払費用と前払金の違いを参照してください。
法人の研修受講料を損金に算入するときは、別段の定めを除き、期末までの債務の成立、具体的な給付の原因事実の発生、金額の合理的な算定を確認します。支払済みという事実だけでは足りません。根拠は国税庁「販売費、一般管理費その他の費用における債務確定の判定」です。
資格取得費と個人の趣味を分ける
資格取得の研修費も給与課税をしない扱いの対象になり、会社の業務上の必要に基づく支給で、職務に直接必要かつ適正な費用であることが条件です。「国家資格だから不可」「勉強だから研修費」といった名前だけの判定はしません。
| 確認する場面 | 記録しておく内容 |
|---|---|
| 経理担当者の簿記・会計の講座 | 担当する決算・記帳業務とカリキュラムの関係 |
| 営業担当者の語学研修 | 外国語を使う取引・担当業務と受講目的 |
| 個人の趣味や転職準備の講座 | 会社業務との関係がなければ、本人負担や給与としての処理を検討 |
| 資格取得の支援 | 職務上の必要性、費用の内訳、実費補助か定額の金銭か |
表の職種や講座名だけで税務上の結論を確定するものではありません。同じ語学講座でも、仕事で使うための研修と、個人の旅行のための学習では事情が異なります。
会社の経費と本人の給与課税は別の問い
職務と関係のない個人的な学習費を会社が負担した場合、本人への給与としての扱いを検討します。「研修費にならない」ことを「会社でどんな処理もできない」と読み替えないようにします。
役員給与となる支出では、会社側の損金算入に別の要件があります。国税庁「役員に対する給与」で確認し、個人的な支出を研修費へ付け替えて終わりにしません。
役員・社長だけの会社の研修費
技術習得費の取扱いには、役員も含まれています。社長が受講する場合も、前の節の対象範囲と照らして確認します。
根拠は国税庁「職務に必要な技術などを習得する費用を支出したとき」です。役員だけのレクリエーションや一般の福利厚生の扱いを、職務上の研修へそのまま当てはめないようにします。
社長の受講では承認する人と受講者が同じになりがちです。講座の案内、会社の事業と受講目的、受講の記録、支払明細をまとめておくと、業務支出と個人支出の区別を後から説明しやすくなります。
消費税は研修費の中身で区分する
研修費という科目全体を非課税にはしません。会社の事業のために国内の事業者から受ける一般の有料研修と、非課税の学校教育や一定の行政手数料とを分けます。
以下は、会社の事業のために受ける国内取引の区分です。
| 支払内容 | 消費税の整理 | 確認先 |
|---|---|---|
| 国内の一般の有料セミナー・企業研修 | 非課税等に当たらなければ課税仕入れ | 請求書の取引内容・税区分 |
| 法令上非課税となる学校教育の授業料等 | 非課税の取引(課税仕入れに含めない) | 学校・費用の種類が非課税の範囲か |
| 国等が法令に基づいて行う一定の試験等で、法令に基づき徴収される手数料 | 非課税の取引(課税仕入れに含めない) | 主催者・手数料の法令上の位置付け |
| 従業員へ給与として支払う資格手当等 | 課税仕入れに含めない | 実費精算との区別 |
非課税となる学校教育は、学校教育法の学校、専修学校、一定の要件を満たす各種学校等の授業料等です。学校が開く講座という理由だけで非課税にしません。具体的な範囲は国税庁「非課税となる取引」に掲載されています。
給与等の支払は課税仕入れに含まれません。一方、従業員が立て替えた会社の受講料を実費精算する取引は、精算金という名前だけで給与と決めず、元の取引内容を確認します。課税仕入れの範囲は国税庁「仕入税額控除の対象となるもの」を参照してください。
課税仕入れに当たることと、申告時に仕入税額控除できることは別です。適用する申告方式、請求書・帳簿の保存要件なども確認します。税率の全体は消費税率と軽減税率の区分へ譲ります。
消費税の税込・税抜計算をする領収書と一緒に受講目的・内訳を残す
精算時は、支払金額だけでなく、誰が何の仕事のために受講したかを確認します。次は税法が定める網羅的な保存書類一覧ではなく、社内確認に使う記録の例です。
- 主催者・講座名・受講日・受講者が分かる案内や申込控え
- 受講者の担当業務と研修目的を書いた申請・承認の記録
- 受講料・教材費・交通費・懇親会費などの請求内訳
- 支払いと受講実績を確認できる領収書や修了記録
研修に付随する支出も、私用の延泊や別料金の懇親会までまとめて研修費と決めず、内容を分けて確認します。移動費は旅費交通費、飲食・接待は交際費と会議費の違いで整理しています。
まとめ
受講料・教材代・交通費などの内訳に合わせて科目を整理します。科目名だけで税務上の結論は決まらないため、給与課税・消費税区分・費用の計上時期を分けて確認してから記帳します。
よくある質問
研修費と教育研修費はどう違いますか?
会社の費用管理に使う科目名の違いで、名称だけで別の税制になるわけではありません。研修受講料をどちらで管理するか、教材代や交通費を含めるかを経理規程に合わせてそろえます。
研修費は消費税が非課税ですか?
研修費という科目全体が非課税になるわけではありません。国内の一般の有料研修、法令上非課税となる学校教育の授業料等、給与として支払う手当を区別し、元の取引に応じて税区分を設定します。
出典
- 国税庁「No.2601 職務に必要な技術などを習得する費用を支出したとき」
- 国税庁「No.6201 非課税となる取引」
- 国税庁「No.6451 仕入税額控除の対象となるもの」
- 国税庁「No.5211 役員に対する給与」
- 国税庁「所得税基本通達36-29の2(技術の習得等)」
- 国税庁「No.5387 販売費、一般管理費その他の費用における債務確定の判定」
本記事は一般的な情報提供であり、個別の税務・労務相談への回答ではありません。実際の判断は税務署・税理士などにご確認ください。