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決算書とは?種類と提出先・書類のつながりがわかる一覧

決算書とは、一定期間の経営成績と決算時点の財政状態をまとめた書類の総称です。売上や利益だけでなく、資産・借入金・純資産の状況を、株主や金融機関などに伝えます。

会社の経理で一式をそろえるなら、まず「何のために出す決算書か」を確認します。この記事では株式会社の単体決算を中心に、書類の一覧、提出先ごとの違い、書類同士のつながりを整理します。各書類の詳しい読み方は、それぞれの解説へ進めます。

株式会社の計算書類は何をそろえる?

株式会社の各事業年度の計算書類は、次の4書類です。貸借対照表と損益計算書を会社法435条2項が、残りを会社計算規則59条1項が定めています。

株式会社の単体の各事業年度に係る計算書類
書類わかること詳しい読み方
貸借対照表(B/S)期末に保有する資産と、負債・純資産の状況貸借対照表の見方
損益計算書(P/L)事業年度の収益・費用と、利益または損失損益計算書の見方
株主資本等変動計算書純資産の期首・期末残高と増減。資本金・資本剰余金・利益剰余金・自己株式は変動理由も示す株主資本等変動計算書の見方
個別注記表重要な会計方針や、決算の数字を読むための補足情報この節の下の説明

附属明細書は、上の計算書類とは別に作成します。会社計算規則117条では、有形固定資産・無形固定資産、引当金、販売費及び一般管理費の明細などを求めています。事業報告とその附属明細書も、計算書類とは区別します。

個別注記表は、表の数字だけでは伝わらない前提を補う書類です。会社計算規則98条が注記事項と会社の区分に応じた省略範囲を定めています。小さな会社だから注記をまとめて省ける、という扱いではありません。

この一覧は株式会社の単体決算です。合同会社などの持分会社や、企業グループの連結計算書類には別の定めがあります。合同会社では「株主資本等変動計算書」が「社員資本等変動計算書」になる点などは、持分会社の計算書類で確認できます。

財務諸表・財務三表・青色申告決算書との違い

「決算書」は通称で、制度によって書類の範囲が違います。同じ名前の貸借対照表が含まれていても、会社法の計算書類、投資家向けの財務諸表、個人の所得税申告用の決算書は、同じ一式ではありません。

書類をそろえる前に確認する区分
呼び方主な用途・内容取り違えやすい点
計算書類会社法に基づく、会社の財産・損益の報告株式会社の単体の一覧は前の表。キャッシュフロー計算書は含まない
金商法の開示用の財務諸表(日本基準・単体)有価証券報告書などに含める投資家向けの財務情報規則は附属明細表やキャッシュ・フロー計算書も列挙。単体のキャッシュフロー計算書は連結作成会社の作成対象外
財務三表貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書をまとめた呼び方この組み合わせだけで、会社法の計算書類一式がそろうわけではない
個人の青色申告決算書個人事業主などが青色申告で用いる所得税の書類。一般用には貸借対照表や損益計算書、その内訳などがある株式会社用ではない。所得・業種などに応じた様式を選ぶ

日本基準の単体財務諸表について、財務諸表等規則1条は、貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・キャッシュ・フロー計算書と附属明細表を挙げています。会社法の附属明細書とは、制度上の名称と位置づけが異なります。

金商法の開示用の範囲は財務諸表等規則1条、単体のキャッシュフロー計算書の作成対象は同111条で確認できます。現金の流れを知りたい場合は、キャッシュフロー計算書の解説へ進んでください。

個人の一般用の構成は、国税庁の青色申告決算書(一般用)の書き方で確認できます。青色申告の控除要件は青色申告特別控除の解説に分けています。

利益はどこへ行く?書類のつながり

損益計算書の当期純利益は、株主資本等変動計算書を通じて、貸借対照表の利益剰余金に反映されます。損益計算書だけで完結する数字ではありません。

次の図は架空の単体会社の例です。増資・配当・自己株式取引・評価差額・過年度修正など、利益以外の純資産変動がない場合を示しています。

架空の単体会社:ほかの純資産変動がない場合の利益と純資産 架空の単体会社で、ほかの純資産変動がない設例。期首純資産500万円に、損益計算書の当期純利益100万円を加え、期末純資産600万円が貸借対照表につながる。 損益計算書 当期純利益 100万円 株主資本等変動計算書 期首の純資産500万円 + 当期純利益100万円 期末の純資産600万円 期末の貸借対照表 純資産 600万円 利益と現金の増加は同じ意味ではありません
単体決算のつながりを示す架空例。増資や配当などにより、当期純利益と純資産の増減額が一致しない場合もあります。

当期純利益の表示先は財務諸表等規則101条4項が、貸借対照表との項目・科目の整合は同100条2項が定めています。株式会社の株主資本の期首・変動・期末を示す仕組みは会社計算規則96条でも確認できます。

利益が出ていても、売掛金の回収前ならその分の現金はまだ入っていません。決算書を読むときは、利益と現預金を別々に確認します。純資産の増減を詳しく追う場合は株主資本等変動計算書の設例を確認できます。商品ごとの粗利率は、原価と売価を使う次のツールで計算できます。

原価と売価から粗利率を計算する

誰がいつ作り、誰に出す?

会社が会計帳簿から作成し、用途に応じた承認・提出を進めます。経理部門で集計し、顧問税理士と確認する場合でも、株式会社としての作成義務がなくなるわけではありません。

  1. 決算残高を確定する。帳簿と預金・売掛金・在庫などを照合し、決算整理を反映します。作業の内訳は決算整理仕訳で確認します。
  2. 計算書類と補足書類をそろえる。確定した帳簿から作成し、会社の機関設計に応じた監査・取締役会の承認を経ます。
  3. 総会と申告の予定を合わせる。総会用の書類と税務申告の添付書類を分けて確認し、確定版をそろえます。

帳簿から作る根拠は会社計算規則59条3項、監査等の手続は会社法436条です。提出・承認の相手と目的は次のように異なります。

株式会社の決算書の主な利用先
相手・場面用意するもの時期・注意点
定時株主総会計算書類・事業報告計算書類の承認を受ける。会計監査人設置会社で法定要件を満たす場合は内容を報告する
税務署への法人税確定申告当該事業年度の申告書と、貸借対照表・損益計算書などの添付書類確定した決算に基づき申告する。総会用と税務用は書類の範囲が同じではない
銀行などへの融資申込・審査求められた決算書・申告書・明細書など必要な期数、添付範囲、直近の試算表の要否を金融機関に確認する

総会の承認と報告の区別は、会社法438条・439条によります。決算日だけで予定を組まず、監査や承認に要する日程も確認します。

残余財産が確定した清算法人を除く内国法人の法人税確定申告は、延長がなければ事業年度終了日の翌日から2か月以内(期限が土日祝日等なら翌開庁日)です。根拠は法人税法74条と国税庁「申告と納税」です。

申告期限の延長は法人税法75条・75条の2などに定めがあります。延長後の申告期限と、税金を納める際の利子税等の扱いは別に確認します。

「決算書一式」は提出先に確認する

税務申告の添付書類の例には、株主資本等変動計算書等や勘定科目内訳明細書、事業概況書があります。法人税法施行規則35条は、会社の状況に応じた追加書類も定めています。

主な追加確認:当該事業年度終了日の翌日から決算確定日までの剰余金処分、または過年度事項の修正が所定の書類に未記載なら、その内容を記した書類も添付します。事業概況書には完全支配関係のある法人との関係図を含み、通算・組織再編には別の添付規定があります。

会社法の附属明細書と、税務申告の勘定科目内訳明細書も別の書類です。書類名が似ているからと置き換えず、提出先の一覧と照合します。

融資の例として、日本政策金融公庫のインターネット申込の提出書類案内は、法人の確定申告書・決算書の一式に勘定科目明細書を含めています。銀行ごと・申込方法ごとに必要書類は確認し、貸借対照表と損益計算書だけを抜き出して送らないようにします。

自社・他社の決算書はどこで入手する?

自社分は確定版の控え、他社分は公開された公告・開示書類から探します。他社の税務申告用の一式が、公開サイトからそのまま入手できるわけではありません。

決算書の探し先と確認点
探すもの入手・確認先確認する点
自社の確定した決算書社内の確定版控えを探す。会計ソフトや作成を依頼した税理士にも、出力・保管状況を確認会社名、対象期間、確定版かどうか、申告時の添付書類が、そろっているか
有価証券報告書等の提出会社金融庁のEDINET案内から閲覧サイトへ進む。企業のIRページも確認提出された開示書類の対象期間と、連結・単体の区別
他社の決算公告会社の公告ページ、官報や新聞。国立印刷局の官報案内から閲覧・検索先を確認公告は計算書類一式ではない。貸借対照表の要旨など、簡略な形の場合がある

決算公告の範囲は会社法440条によります。公告に損益計算書や個別注記表が見つからなくても、それだけで作成漏れとは判断できません。公告方法や対象会社の違いは決算公告の解説にまとめています。

官報の過去分を調べる場合は、公開範囲と検索サービスの利用条件を確認します。国立印刷局は、日付やキーワードで探せる会員制有料の検索サービスも案内しています。見つからないときは、会社側に必要な資料を依頼できるか確認します。

手元に入ったら、対象期間・金額の単位・単体か連結かをそろえます。比較表にも、それらを一緒にメモします。

よくある質問

決算書と確定申告書は同じものですか?

別の書類です。決算書は会社の財政状態や経営成績を表し、法人税の確定申告書は税務上の所得や法人税額などを申告する書類です。当該事業年度の貸借対照表・損益計算書などを申告書に添付するため、一緒に保管されることがあります。

株式会社の決算書は、貸借対照表と損益計算書だけで足りますか?

足りません。株式会社の単体の各事業年度の計算書類には、株主資本等変動計算書と個別注記表も含まれます。事業報告と附属明細書も別に作成します。税務申告や融資で出す一式は、それぞれの必要書類も確認します。

キャッシュフロー計算書も会社法の計算書類ですか?

株式会社の単体の各事業年度の計算書類には含まれません。会社法の計算書類と、金商法の開示用の財務諸表は範囲が異なります。資金の増減を読むためには、キャッシュフロー計算書も役立ちます。

個人事業主も株式会社と同じ決算書を作りますか?

同じ一式ではありません。個人事業主の青色申告決算書は所得税申告用の書類です。株式会社の計算書類のひな形を流用せず、所得や業種などに合った様式を確認します。

他社の決算書を無料で見ることはできますか?

公開された資料なら閲覧できる場合があります。EDINETでは提出された有価証券報告書などを、企業のサイトではIR資料や決算公告を探せます。ただし、非上場会社を含む全社の決算書一式が公開されているわけではなく、公告は要旨だけの場合もあります。

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出典

会社法上の書類と税務申告用の書類は、次の法令・公的案内で区別しています。

本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の判断は税務署・税理士・公認会計士にご確認ください。

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