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労使協定とは|書面・届出・有効期間と締結管理

労使協定は、会社と、事業場の労働者の過半数で組織する労働組合、なければ過半数代表者が結ぶ協定です。賃金控除や年休の運用など、法律が認めた仕組みを使うために締結します。

管理では「書面を交わしたか」「届出が要るか」「いつまで使えるか」を協定ごとに確認します。届出が必要な協定は、社内で締結しただけで運用し始めないことが大切です。

この記事は、労働基準法に基づく代表的な協定の成立・更新・保管を扱います。残業時間の上限や、給与から控除できる費目の詳しい判断は、各論の記事に分けています。

協定別の書面・届出・期間の比較

労使協定の届出と有効期間は、協定の種類によって違います。以下は労働基準法に基づく代表例です。ほかの法律に基づく協定は、この表の対象外です。

この表は、労働基準法に基づく各協定の形式・届出・期間設定の比較です。「法定の定めなし」は、協定書に期間を定めてはいけないという意味ではありません。制度を使える範囲や対象者は、各協定の条文と自社の規程で別途確認します。

協定の種類書面・定める内容労基署への届出協定の有効期間
賃金控除書面で締結。控除する項目を具体化する法定の届出義務なし法定の定めなし
時間外・休日労働(36協定)書面で締結。対象者、対象期間、延長する場合などを定める必要。所轄労働基準監督署長へ届け出る定めが必要。労働協約による場合を除く
時間単位年休協定事項は、労基法39条4項・施行規則24条の4を確認。締結は、書面で法定の届出義務なし法定の定めなし
計画年休書面で締結。年休を与える時季を定める法定の届出義務なし法定の定めなし

根拠は労働基準法24条・36条・39条と、同法施行規則17条です。

対象期間と有効期間を混ぜない

36協定の対象期間は、時間外・休日労働をさせることができる期間で、1年間に限られます。協定の有効期間とは区別し、台帳にも別の欄を設けます。36協定では、労働協約による場合を除き、協定の有効期間を定めます。

賃金控除・時間単位年休・計画年休には、上の表の範囲では協定の有効期間を定める法定の義務がありません。ただし、社内で終期を定めた協定は、その記載を確認して更新を管理します。「届出がない」と「期限を確認しなくてよい」は別です。

協定の締結と制度の適用条件は別

時間単位年休では、協定の対象者本人が時間単位で請求します。協定を結んだからといって、会社が一方的に時間単位の取得を指定する仕組みではありません。計画年休にも、労働者が自由に取得できる分を残す制限があります。

誰と結ぶか・代表者の選び方

締結相手は会社全体でまとめて決めず、事業場ごとに確認します。その事業場に過半数で組織する労働組合があればその組合、なければ過半数代表者が相手方です。

過半数代表者を選ぶ場合の要件は、労働基準法施行規則6条の2で確認できます。次の確認と、下の特例を合わせて読みます。

管理監督者でない人がいない事業場では、賃金控除・年休などの協定に選出要件の特例があります。投票等による適切な選出は必要です。この特例に36協定は含まれません。

たとえば、親睦会の代表者がいるという理由だけで、協定の代表者にも自動的に就ける運用は避けます。協定を結ぶ目的を示した選出だったかを確認します。目的・方法・結果を、後から確認できる記録として残す方法があります。

会社は、代表者であることや、代表者になろうとしたことを理由に不利益な取扱いをしないようにします。代表者として正当な行為をしたことも同様です。また、協定事務を円滑に進められるよう必要な配慮を行います。

締結作業を進める社内手順の例

協定案を作る前に、事業場と締結相手を確定します。以下は、社内で締結作業を管理するための進め方の例です。選出・書面・届出の法的要件と、社内の作業管理を分けています。

労使協定の書面・届出・周知事業場と相手方を確認し、協定案を協議して書面で締結する。届出の要否を確認したうえで、周知と更新管理へ進む。 事業場・相手方を確認代表者は適切に選出内容を協議して書面で締結届出の要否を確認必要な協定は届出周知して運用保管・更新を管理
社内の進め方の例。協定の締結、必要な届出、周知を別の作業として管理します。
  1. 使いたい制度を決める。協定名、事業場、対象者、運用開始予定を整理します。別制度の協定書を名前だけ変えて流用しないようにします。
  2. 締結相手を確認する。過半数組合の有無や、代表者の選出に使った資料を整理します。
  3. 協定案を協議する。協定ごとの法定事項を確認し、対象業務・対象者や社内規程と照らします。前回の協定から変わる箇所を、協定案と並べて示します。
  4. 書面で締結する。締結当事者と合意した内容を確認できる形で残します。締結日を確認します。始期・終期を定める場合は、その日付も確認します。
  5. 届出と周知を管理する。届出が必要な協定は、届出まで含めて運用開始に間に合うように準備します。協定書と届出記録を混同せず保管します。

法定時間外・法定休日労働を36協定に基づいて行わせる場合は、書面による締結だけでは足りません。所轄労働基準監督署長への届出が必要です。36協定を締結済みでも、未届の期間を協定で認められた期間として扱わないようにします。

協定台帳に残す項目

協定書と、締結・届出・更新の状態を記録する台帳をひも付けて管理する方法があります。下の項目は、担当者間で引き継ぐために整理した社内管理の例です。

管理する項目記載内容の例確認する資料
協定の名称・対象事業場どの拠点の、どの制度の協定か協定書
締結相手締結相手の名称・氏名組合の状況・選出記録
対象者・対象業務協定が適用される範囲協定書と運用する規程
締結日・有効期間始期・終期、期間の定めの有無締結済みの協定書
対象期間制度上の対象期間がある場合は別欄に記載協定書・届出書
届出・周知の状況必要な届出の完了記録、周知の方法届出の控え・周知記録
保管と更新の担当正本の保管場所、次回の確認担当文書管理台帳・引継ぎ資料

「届出義務なし」と「未届」を同じ空欄にすると、確認が済んでいるのか分からなくなります。届出不要の協定にはその旨を記します。届出が必要な協定は、提出準備中と完了を分ける運用が考えられます。

更新時には前回の終期だけでなく、事業場、対象者、締結相手、協定事項の変更を確認します。前回の代表者の名前が残っているという理由だけで、今回の締結相手として扱わないことが大切です。

周知と保管を分けて管理する

協定書を保管する作業と、労働者が内容を確認できるようにする作業は別です。ここで比較した協定は、労働基準法106条の周知対象です。

周知の方法は、常時各作業場の見やすい場所への掲示・備付け、書面の交付、または電子記録と各作業場で常時確認できる機器の設置です。電子ファイルを総務のフォルダーに保存しただけでは、労働者が常時確認できるとは限りません。

根拠は労働基準法施行規則52条の2です。実務では、正本の保存先と労働者向けの閲覧先を台帳に分けて記載する方法があります。

保存年数は作成日だけで数えない

協定書など労働関係の重要な書類の保存期間は、法定では5年間ですが、当分の間は3年間です。こうした重要書類の保存期間は原則として完結日から数えますが、関係する賃金の支払期日がそれより遅い場合は、その支払期日から数えます。

根拠は労働基準法109条、附則143条、同法施行規則56条です。作成直後に保存期限を決めてしまわず、協定の終了と関連する支払を確認します。

運用中の協定と終了した協定は保存場所を分けても、関連をたどれるようにしておきます。選出記録や届出の控えも協定名にひも付ければ、更新の際に経緯を確認できます。これらをまとめる方法は社内管理の例です。

更新時に見つかる不備の例

書面が存在しても、締結相手・届出・運用内容がそろっているとは限りません。以下は架空の会社で行う確認の例です。

確認する項目確認を戻すところ管理上の対応例
代表者の選出今回の協定を締結するための選出だったか選出目的・方法・結果を確認できる記録と照合する
36協定の締結・届出届出が所轄労基署長へ済んでいるか届出を確認できるまで「完了」にしない
給与控除と協定項目協定の内容と実際の控除項目が合っているか差異を人事と確認し、個別の可否は別途整理する
協定書の周知労働者への周知ができているか保管先と常時確認できる閲覧先を分けて記録する

経理では、協定書の有無に加え、給与・勤怠・休暇システムの設定と協定の対象範囲を照らします。協定自体の有効性に疑義がある場合は、過去の日付に合わせて書類を作り直して済ませず、事実関係を残して人事・専門家へ確認します。

年休管理の入口:有給休暇の付与日数を確認する

付与日数の確認と、時間単位年休・計画年休の協定管理は別の作業です。計算ツールで付与日数を確認しても、協定の締結や届出の代わりにはなりません。

よくある質問

労使協定は全部、労働基準監督署へ届け出ますか?

協定の種類で異なります。時間外・休日労働の36協定は届出が必要です。労働基準法の賃金控除・時間単位年休・計画年休の協定には、同法に基づく届出義務はありません。届出がなくても、書面による締結と労働者への周知は必要です。

労使協定に共通の有効期間はありますか?

この記事の協定に共通する有効期間はありません。36協定は、労働協約による場合を除いて有効期間の定めが必要です。賃金控除・時間単位年休・計画年休の協定には、協定の有効期間を定める法定の義務はありませんが、自社の協定に書いた期間は確認します。

会社が過半数代表者を指名してよいですか?

会社の指名では足りません。過半数代表者は、協定の締結者を選ぶと明らかにした投票・挙手などで、使用者の意向によらず選出します。管理監督者でない人から選ぶ要件と、そのような人がいない事業場の限定的な特例は、本文の代表者の節で説明しています。

前回の協定書をコピーして更新できますか?

前回の書面を作業の土台にする場合でも、今回の締結相手、対象事業場、協定事項、期間を確認します。前回の代表者名や日付を残したまま更新済みと扱わず、新しい合意と必要な届出を確認できる記録を残します。

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出典

この記事は一般的な情報提供であり、個別の事案に対する助言ではありません。個別の税務・労務相談には応じられません。自社の協定の有効性や個別事案の判断は、労働基準監督署・社会保険労務士などへご確認ください。

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