定款とは?株式会社・合同会社の記載事項、認証・保存・閲覧の違い
定款(ていかん)は、会社の目的・組織・運営の基本ルールです。株式会社も合同会社も設立時に作成します。公証人の認証が必要なのは株式会社の設立時定款で、合同会社は認証を受けずに作成します。
経理担当者が確認する順番は、会社形態、記載内容、認証の要否、保管している版です。この記事では一般制度と確認表をまとめます。設立費用は法人成りの記事、出資額と資本金の関係は資本金の記事で確認できます。
株式会社と合同会社の違い
作成する人と記載事項、認証の要否が違います。合同会社の「社員」は、会社法上の出資者を指し、雇用される従業員という意味ではありません。
次の表は、株式会社と合同会社の設立時定款の比較です。書面で作る場合の署名等と、電子定款で必要な措置を分けています。
| 確認する点 | 株式会社 | 合同会社 |
|---|---|---|
| 作成する人 | 発起人 | 社員になろうとする者 |
| 書面の署名等 | 発起人全員が署名または記名押印 | 社員になろうとする者全員が署名または記名押印 |
| 電子での作成 | 可能。署名等に代わる法務省令所定の措置が必要 | 可能。署名等に代わる法務省令所定の措置が必要 |
| 公証人の認証 | 必要 | 不要。ただし定款の作成は必要 |
| 記載事項の根拠 | 会社法27条など | 会社法576条など |
作成方式は会社法26条・575条、認証の要否は同法30条と日本公証人連合会の定款認証の説明で確認できます。合同会社の業務執行や出資者の役割は合同会社の記事にまとめています。
記載事項の区分
記載が必要な事項、その効力のために記載が必要な事項、任意に記載する事項を分けます。ひな形に載っている項目が、すべて同じ理由で必要なわけではありません。
| 区分 | 意味 | 確認すること |
|---|---|---|
| 絶対的記載事項 | 定款に記載・記録が必要な事項 | 会社形態に合う事項に漏れがないか |
| 相対的記載事項 | 定款の定めがなければ、その事項の効力が生じないもの | 採用する仕組みに定款の定めが必要か |
| 任意的記載事項 | 法律に違反しない範囲で、任意に定款に置く事項 | 記載した規定を変えるときに定款変更が必要になる点 |
この区分の根拠は、株式会社では会社法27条から29条、合同会社では576条・577条です。相対的記載事項が不要な会社に、その事項を無理に設ける必要はありません。
株式会社の相対的記載事項の例には、現物出資、財産引受、発起人の報酬・特別利益があります(会社法28条)。
ここでは区分を見分けるための例を示しています。各条項の設計や、定款に記載する設立費用の個別判断は扱いません。
定款の記載事項を確認する表
株式会社で確認する事項
次は会社法27条が株式会社の定款に求める記載・記録事項です。表の確認例は条項の文案ではありません。
| 事項 | 定款を読むときの確認例 |
|---|---|
| 目的 | 会社が行う事業についての記載か |
| 商号 | 会社名の記載か |
| 本店の所在地 | 本店所在地の定めを確認したか |
| 設立時に出資される財産の価額またはその最低額 | 資本金の額と混同していないか |
| 発起人の氏名または名称・住所 | 個人だけを想定して名称や住所を落としていないか |
この表だけで、設立に必要な定款の確認が終わるわけではありません。発行可能株式総数を作成時の定款に定めていない株式会社は、成立時までに発起人全員の同意で定款を変更し、その定めを設ける必要があります(会社法37条)。
出資財産の価額と資本金の額の違いは、資本金の決まり方で扱っています。ここで両者を同じ額と読み替えないことが、表を使う際の注意点です。
合同会社で確認する事項
次は会社法576条に基づく合同会社の定款の確認表です。社員の責任区分は、合名会社・合資会社と異なります。
| 事項 | 確認する内容 |
|---|---|
| 目的 | 会社の事業目的 |
| 商号 | 合同会社の会社名 |
| 本店の所在地 | 本店所在地の定め |
| 社員の氏名または名称・住所 | 従業員名簿ではなく、出資者の記載 |
| 社員の責任区分 | 社員の全部を有限責任社員とする旨 |
| 社員の出資の目的と価額または評価の標準 | 出資する財産とその価額、または評価の標準。出資の目的は金銭等に限る |
合同会社の業務執行や代表、損益分配の定めは、この表とは別に確認します。出資者の役割は社員・業務執行社員・代表社員の違いへ進んでください。
紙・電子と公証人の認証
電子で作ることと、認証を受けることは別の確認です。株式会社の設立時定款は、紙でも電子でも公証人の認証を受けなければ効力が生じません。合同会社の定款は認証不要です。
電子定款では、電子ファイルの作成に加え、法務省令で定める署名・記名押印に代わる措置が必要です(会社法26条・575条)。保存したPDFをそのまま電子定款と扱うのではなく、作成・署名等の方式を確認します。
認証手数料や紙の定款の印紙税は設立の法定費用の表へ、定款の後に続く届出は会社設立でやることへ進めます。
備置き・閲覧と社内での保存
株式会社の備置きと閲覧請求
成立後の株式会社は、本店と支店に定款を備え置きますが、電子定款で支店の閲覧・提供に応じる所定の措置をとった場合は、本店への備置きで足ります。成立後の株式会社の株主・債権者は、その会社の営業時間内に定款の閲覧を請求できます(会社法31条)。
次の表は、成立後の株式会社で株主・債権者が営業時間内に請求できる内容です。交付・提供の請求には、会社が定めた費用の支払いが必要です。
| 定款の形式 | 閲覧 | 交付・提供 |
|---|---|---|
| 書面 | 定款の書面を閲覧する請求 | 謄本または抄本の交付請求 |
| 電磁的記録 | 法務省令所定の方法で表示したものを閲覧する請求 | 会社所定の電磁的方法による提供、または内容を記載した書面の交付請求 |
親会社の株主その他の社員は、その権利を行使するため必要な場合、裁判所の許可を得て、成立後の株式会社の定款の閲覧を請求できます。
成立前の定款の備置場所は、発起人が定めます(会社法31条)。電子定款の支店での対応措置は、会社法施行規則227条で確認できます。
会社内で保存する際の管理例
作成時の定款、変更を決めた記録、変更を反映した内容を対応づけて管理します。これは社内管理の例です。上の株式会社の法定閲覧ルールを、合同会社にもそのまま当てはめるものではありません。
- 作成時の定款:設立時の内容をたどるための資料として分けて保管する。
- 変更の記録:変更箇所・効力が生じる日・決議や同意の資料を対応づける。
- 変更を反映した定款:どの変更まで反映した版かを確認してから閲覧や提出に使う。
紙か電子かだけでなく、担当者が交代しても必要な版を探せるかを確認します。この記事では、定款の備置きを、計算書類などの年数が定められた保存義務と同一に扱いません。
定款を変更した後の管理
成立後の定款は、定款変更の手続を経て内容を変えます。任意的記載事項でも、定款に置いた規定を担当者の判断だけで書き換える扱いにはしません。
| 会社形態 | 成立後の定款変更の入口 |
|---|---|
| 株式会社 | 株主総会の決議。特別決議が基本で、変更内容による別の要件もある |
| 合同会社 | 基本規定は、定款に別段の定めがなければ総社員の同意。変更内容による特則も確認 |
株式会社は会社法466条・309条、合同会社の基本規定は637条です。ここでは個別の変更に必要な決議割合・同意者や、変更登記の要否は判定しません。
株式会社が成立した後の定款変更には、公証人の再認証は必要ありません。認証済みでも会社が成立する前の変更は別です。成立前に直す場合は、認証した公証人に確認します(日本公証人連合会の説明)。
変更後は、変更を決めた資料と変更後の内容を一緒に確認できる状態にします。例えば本店の所在地の規定を変更したのに、提出用フォルダには旧版が残っていると、異なる内容の写しを渡しかねません。
経理が定款の写しを用意する手順
提出先が求める内容と、手元の定款の版を先に照合します。次は架空の会社で、経理担当者が定款の写しを準備する場面の作業例です。法定の提出様式ではありません。
| 手元の状況 | 確認・作業の例 |
|---|---|
| 提出依頼には「定款の写し」とある | 現在の内容を求めているか、認証時の謄本等を求めているか、提出形式を確認する |
| 設立時の定款と、本店変更を決めた資料が別々にある | 変更を反映した版があるかを確認し、決議等の記録と照合する |
| 提出用のPDFに更新の記録がない | そのPDFだけで最新と判断せず、管理担当者に版を確認する |
| 原本証明が必要か、依頼文から分からない | 証明の要否・文言・署名押印等を提出先に確認する |
原本証明や提出形式を、どの手続にも共通する決まりとして固定しないことがポイントです。提出用の写しを作る作業と、会社内で定款を備え置く義務も分けて確認します。
定款を確認した後の税額試算は、定款の有効性や登記の可否を判定するものではありません。
法人税・地方法人税の簡易計算へ定款を確認するときの要点
- 株式会社と合同会社で、作成者・記載事項・認証の要否を分ける。
- 記載義務のある事項と、採用する仕組みのために必要な事項を分ける。
- 作成時の定款と変更後の内容を区別し、提出先の指定に合う版を用意する。
よくある質問
合同会社なら定款は不要ですか?
必要です。合同会社は設立時に定款を作成します。不要なのは公証人の認証であり、定款そのものではありません。
定款に書く出資財産の価額は、資本金の額ですか?
同じ意味ではありません。株式会社の定款に会社法が求める事項は、設立時に出資される財産の価額またはその最低額です。資本金の決まり方は資本金の記事で確認できます。
他社の定款は誰でも閲覧できますか?
株式会社の定款に関する法定の閲覧等の請求権は、一般の第三者に無条件で認められるものではありません。成立後の株主・債権者は営業時間内に請求でき、親会社の株主等は権利行使のための必要性と裁判所の許可を要します。交付・提供には会社所定の費用がかかります。
定款を変更するたびに公証人の認証が必要ですか?
株式会社が成立した後の定款変更には、再認証は必要ありません。認証後でも成立前の変更は別扱いなので、認証した公証人に確認します。
出典
制度確認日:2026年10月20日。株式会社と合同会社の一般制度を扱っています。
- e-Gov法令検索「会社法」26〜31条・37条(株式会社の定款の作成・記載・認証・備置き等)
- e-Gov法令検索「会社法575〜577条」(合同会社を含む持分会社の定款)
- e-Gov法令検索「会社法466条」・309条・637条(成立後の定款変更)
- e-Gov法令検索「会社法施行規則227条」(電磁的記録の備置きの特則)
- 日本公証人連合会「定款とは何ですか。何故、公証人の認証が必要なのですか。」
この記事は一般的な情報提供であり、個別の税務相談ではありません。具体的な申告や判断は、顧問税理士または所轄の税務署にご確認ください。個別の定款の条項や登記の判断は、内容に応じて公証人・司法書士・弁護士等にご確認ください。