男女雇用機会均等法とは?条文の一覧と、会社がやること
男女雇用機会均等法は、募集・採用から配置、昇進、退職までの場面で、性別を理由とする差別を禁じる法律です。あわせて、セクシュアルハラスメントや妊娠・出産等に関するハラスメントを防ぐ措置を、事業主に義務づけています。
2026年10月1日施行の改正で、自社の労働者による求職者等へのセクシュアルハラスメントを防ぐ措置(13条)が義務に加わりました。同じ改正で11条より後ろの条番号が変わったので、古い資料の条番号は読み替えが要ります。
この記事は、現行の条文の一覧、新旧の条番号の対応表、会社がやることを順にまとめます。個別の事案が違反に当たるかどうかは扱いません。公務員の適用除外は対象になる人の節に、妊娠・出産等に関するハラスメントの詳しい中身はマタハラの記事に分けています。
条文の一覧 — 事業主に関わる条文
次の表は、2026年10月1日施行の男女雇用機会均等法のうち、事業主に関わる条文を並べたものです。区分は条文の語尾で分けています。「してはならない」は禁止、「講じなければならない」などは義務、「努めなければならない」は努力義務です。公務員には38条による適用除外が、船員には37条による読替えがあります。各条のそのほかの例外は、表の下の各節に書いています。
| 条 | 内容 | 区分 |
|---|---|---|
| 5条 | 募集・採用で、性別にかかわりなく均等な機会を与える | 義務 |
| 6条 | 配置・昇進・降格・教育訓練、住宅資金の貸付けなど省令所定の福利厚生、職種・雇用形態の変更、退職の勧奨・定年・解雇・契約更新での、性別を理由とする差別的取扱い | 禁止 |
| 7条 | 募集・採用での身長・体重・体力の要件、募集・採用・昇進・職種変更での転居を伴う配置転換に応じる要件、昇進での他の事業場への配置転換経験の要件 | 合理的な理由がなければ禁止 |
| 9条1項〜3項 | 女性労働者の婚姻・妊娠・出産を退職理由とする定め、婚姻を理由とする解雇、妊娠・出産等の事由を理由とする解雇その他の不利益な取扱い | 禁止 |
| 11条 | 雇用する労働者が、職場の性的な言動への対応により労働条件の不利益を受け、またはその言動で就業環境を害されるのを防ぐ、雇用管理上の措置 | 義務 |
| 13条 | 求職活動等で、自社の労働者の性的な言動により求職者等の活動が阻害されるのを防ぐ、雇用管理上の措置 | 義務 |
| 15条 | 雇用する女性労働者の就業環境が、職場の妊娠・出産等に関する言動で害されるのを防ぐ、雇用管理上の措置 | 義務 |
| 12条・14条・16条 | 研修の実施など、ハラスメントの問題への労働者の関心と理解を深める配慮 | 努力義務 |
| 17条 | 妊娠中の女性労働者と、医師または助産師の指示があった出産後1年以内の女性労働者が、母子保健法の保健指導・健康診査を受ける時間の確保 | 義務 |
| 18条 | 女性労働者が母子保健法の保健指導・健康診査の指導事項を守れるようにする、勤務時間の変更や勤務の軽減等 | 義務 |
| 19条 | 男女雇用機会均等推進者の選任 | 努力義務 |
| 21条 | 6条・7条・9条・17条・18条1項の事項について、労働者から苦情の申出を受けたときの自主的な解決(募集・採用に係るものを除く) | 努力義務 |
| 23条・24条 | 22条が挙げる事項の紛争で、労働局長に援助を求めたこと、調停(募集・採用の紛争を除く)を申請したことを理由とする不利益な取扱い | 禁止 |
| 35条 | 厚生労働大臣(全国的に重要な事案を除き、所在地の都道府県労働局長)が、施行に関し必要と認めるときに行う、報告の求め、助言・指導・勧告 | 行政の権限 |
| 36条 | 一定の規定に違反し、勧告に従わなかった事業主の公表 | 行政の権限 |
| 39条 | 35条の報告をしない者、虚偽の報告をした者への過料 | 罰則 |
正式な名称は「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」です。1条は、雇用の分野における男女の均等な機会と待遇の確保を目的に挙げています。女性労働者の妊娠中・出産後の健康の確保を図る措置の推進も、同じ1条の目的です。
新旧の条番号の対応表
次の表は、2026年10月1日施行の改正の前と後の条番号の対応です。改正前後の条文を1条ずつ突き合わせて作りました。1条から11条までは番号が変わっていません。
| 改正前 | 現行 | 条文の内容 |
|---|---|---|
| 11条の2 | 12条 | セクシュアルハラスメントの問題に関する責務 |
| (新設) | 13条 | 求職者等へのセクシュアルハラスメントを防ぐ措置 |
| (新設) | 14条 | 求職者等へのセクシュアルハラスメントの問題に関する責務 |
| 11条の3 | 15条 | 妊娠・出産等に関する言動による問題を防ぐ措置 |
| 11条の4 | 16条 | 妊娠・出産等に関する言動の問題に関する責務 |
| 12条 | 17条 | 保健指導・健康診査を受ける時間の確保 |
| 13条 | 18条 | 指導事項を守れるようにする措置 |
| 13条の2 | 19条 | 男女雇用機会均等推進者 |
| 14条 | 20条 | 事業主に対する国の援助 |
| 15条 | 21条 | 苦情の自主的解決 |
| 16条 | 22条 | 紛争の解決の促進に関する特例 |
| 17条 | 23条 | 紛争の解決の援助 |
| 18条 | 24条 | 調停の委任 |
| 29条 | 35条 | 報告の徴収、助言・指導・勧告 |
| 30条 | 36条 | 公表 |
| 33条 | 39条 | 過料 |
表に載せていない改正前の19条から28条、31条、32条も、改正前の14条以降と同じく番号が6つ増えています。条文の中で引用している条番号も、あわせて書き換わっています。
就業規則、ハラスメント防止規程、研修資料に条番号を引いている会社は、この表で読み替えられます。改正前に書かれた解説や行政のパンフレットは、改正前の条番号のままのものがあります。
性別を理由とする差別の禁止(5条・6条)
5条は、労働者の募集と採用について、性別にかかわりなく均等な機会を与えることを事業主に求めています。6条は、採用した後の次の事項について、性別を理由とする差別的取扱いを禁じています。
- 配置(業務の配分と権限の付与を含む)、昇進、降格、教育訓練
- 住宅資金の貸付けと、これに準ずる福利厚生の措置で厚生労働省令が定めるもの
- 職種の変更、雇用形態の変更
- 退職の勧奨、定年、解雇、労働契約の更新
福利厚生は、住宅資金の貸付けのほかに、施行規則1条が次の4つを定めています。
- 生活資金、教育資金その他労働者の福祉の増進のために行われる資金の貸付け
- 労働者の福祉の増進のために定期的に行われる金銭の給付
- 労働者の資産形成のために行われる金銭の給付
- 住宅の貸与
募集・採用で禁止される例
厚生労働省の指針(平成18年厚生労働省告示第614号)は、募集・採用で5条により禁止される措置の例を挙げています。主な例は次のとおりです。
- 一定の職種や雇用形態について、募集や採用の対象を男女のいずれかのみとすること
- 男女のいずれかを表す職種の名称を用いること(対象を男女のいずれかのみとしないことが明らかな場合を除く)
- 「男性歓迎」「女性向きの職種」等の表示を行うこと
- 男女をともに募集の対象としているのに、応募の受付や採用の対象を男女のいずれかのみとすること
指針が「違反とならない」とする場合
同じ指針は、募集・採用、配置、昇進で男女異なる取扱いをしても5条・6条の違反とならない場合を挙げています。主なものは次のとおりです。全文は出典の指針にあります。
- 芸術・芸能の分野で、表現の真実性等の要請から男女のいずれかのみに従事させることが必要な職務
- 守衛、警備員等のうち、防犯上の要請から男性に従事させることが必要な職務
- 宗教上、風紀上、スポーツにおける競技の性質上など、上の2つと同程度の必要性があると認められる職務
- 労働基準法や保健師助産師看護師法の規定で一方の性を就業させることができず、通常の業務を遂行するために均等な取扱いをすることが困難と認められる場合
- 風俗、風習等の相違により、男女のいずれかが能力を発揮し難い海外での勤務が必要な場合
間接差別(7条)とポジティブ・アクション(8条)
7条は、性別以外の事由を要件とする措置のうち、実質的に性別を理由とする差別となるおそれがあるものとして厚生労働省令で定めるものを対象にしています。施行規則2条が定める7条の対象は、次の3つです。
- 募集・採用で、労働者の身長、体重または体力を要件とすること
- 募集・採用、昇進、職種の変更で、住居の移転を伴う配置転換に応じられることを要件とすること
- 昇進で、勤務する事業場と異なる事業場に配置転換された経験があることを要件とすること
7条は、この3つの措置を、合理的な理由がある場合でなければ講じてはならないとしています。7条が合理的な理由に挙げるのは、業務の性質に照らして業務の遂行上特に必要な場合と、事業の運営の状況に照らして雇用管理上特に必要な場合で、施行通達は「特に必要」を客観的にみて真に必要な場合としています。指針は、合理的な理由の有無を個別具体的な事案ごとに総合的に判断するとしています。
8条は、5条から7条までの特例です。8条と厚生労働省の施行通達によれば、均等な機会と待遇の確保の支障となっている事情を改善する目的で女性労働者に関して行う措置は、措置ごとの単位(下の表)で女性労働者の割合が4割を下回る限りで、暫定的、一時的に認められます。
次の表は、施行通達が、8条の特例でいう「相当程度少ない」を女性労働者の割合が4割を下回ることとしたうえで、措置ごとに示した判断の単位です。
| 措置 | 判断する単位 |
|---|---|
| 募集・採用 | 雇用管理区分または役職ごと |
| 配置 | 一の雇用管理区分における職務ごと |
| 昇進 | 一の雇用管理区分における役職ごと |
| 教育訓練 | 一の雇用管理区分における職務または役職ごと |
| 職種の変更 | 一の雇用管理区分における職種ごと |
| 雇用形態の変更 | 一の雇用管理区分における雇用形態ごと |
通達は、この特例の教育訓練を、将来就く可能性のある職務または役職に必要な能力を付与する教育訓練としています。通達は、男性労働者に係る特例は設けられていないとしています。
婚姻・妊娠・出産等を理由とする不利益取扱い(9条)
9条は、女性労働者について次のことを定めています。
- 1項: 女性労働者の婚姻、妊娠、出産を退職理由として予定する定めをしてはならない
- 2項: 女性労働者が婚姻したことを理由として解雇してはならない
- 3項: 雇用する女性労働者の妊娠、出産、産前産後休業の請求や取得など、厚生労働省令で定める事由を理由として、解雇その他不利益な取扱いをしてはならない
- 4項: 妊娠中の女性労働者と出産後1年を経過しない女性労働者に対する解雇は、事業主が3項の事由を理由とする解雇でないことを証明したときを除き、無効とする
3項の対象になる事由の一覧と、不利益な取扱いの考え方は、マタハラの記事にまとめています。産前産後休業そのものの期間は産前産後休業の記事にあります。
ハラスメントを防ぐ措置(11条・13条・15条)
次の表は、2026年10月1日施行の条文で、事業主に雇用管理上の措置を義務づけている11条・13条・15条を比べたものです。どの条も、相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備などを求めています。
| 条 | 守られる人 | 対象になる言動 |
|---|---|---|
| 11条 | 事業主が雇用する労働者 | 職場で行われる性的な言動で、労働者がその言動への対応により労働条件の不利益を受け、または就業環境が害されるもの |
| 13条 | 求職者等 | 求職活動等で、事業主が雇用する労働者が行う性的な言動で、求職活動等が阻害されるもの |
| 15条 | 事業主が雇用する女性労働者 | 職場で行われる、妊娠・出産等の事由に関する言動で、女性労働者の就業環境が害されるもの |
11条のセクシュアルハラスメントについて、指針(平成18年厚生労働省告示第615号)は、事業主が講じる措置を次の区分で示しています。
- 事業主の方針等の明確化と、その周知・啓発
- 相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
- 事後の迅速かつ適切な対応
- 上の措置と併せて講ずべき措置
11条2項は、労働者が相談をしたことや、相談への対応に協力して事実を述べたことを理由とする、解雇その他不利益な取扱いを禁じています。15条2項にも同じ定めがあります。13条2項は、求職者等からの相談への対応に協力して事実を述べた労働者について、同じ不利益な取扱いを禁じています。
13条 — 求職者等へのセクシュアルハラスメント
13条は2026年10月1日施行の改正で加わった条文です。事業主が雇用する労働者の性的な言動で、求職者等の求職活動等が阻害されることのないよう、事業主に措置を義務づけています。求職者等は、求職者のほか、施行規則2条の3が定める次の人を含みます。
- 事業主の実施する、労働者の採用に資する活動に参加する人
- 教育実習、看護実習その他の実習を受ける人
厚生労働省のリーフレットは、求職者等へのセクシュアルハラスメントを防ぐ措置を11項目で示しています。求職者等に向けた項目には、たとえば次のものがあります。
- 求職活動等に関するルールをあらかじめ明確にし、労働者と求職者等に周知・啓発する。リーフレットは例として、面談の時間と場所の指定、実施体制、やり取りに用いるSNSの種類の指定を挙げています
- 相談窓口をあらかじめ定め、求職者等に周知する
ほかの項目は、方針の明確化と労働者への周知・啓発、相談窓口の担当者が適切に対応できるようにすること、事後の対応、プライバシーの保護などです。全文は出典のリーフレットと指針(令和8年厚生労働省告示第52号)にあります。
15条の措置の中身はマタハラの記事に、顧客等からの言動(カスタマーハラスメント)への対策はカスハラ対策の記事にまとめています。カスタマーハラスメント対策は、男女雇用機会均等法ではなく労働施策総合推進法の定めです。
妊娠中・出産後の健康管理(17条・18条)
次の表は、妊娠中の女性労働者が母子保健法の保健指導・健康診査を受けるために、事業主が確保する時間の回数です(17条、施行規則2条の5)。医師または助産師が表と異なる指示をしたときは、その指示によります。
| 妊娠週数 | 確保する回数 |
|---|---|
| 妊娠23週まで | 4週に1回 |
| 妊娠24週から35週まで | 2週に1回 |
| 妊娠36週から出産まで | 1週に1回 |
出産後1年以内の女性労働者については、医師または助産師が母子保健法の保健指導・健康診査を受けることを指示したとき、その指示に従って時間を確保します。
18条は、女性労働者が母子保健法の保健指導・健康診査に基づく指導事項を守れるようにするため、勤務時間の変更、勤務の軽減等必要な措置を講じることを事業主に義務づけています。
出産手当金 計算機で、産前産後の日数と金額を確かめる会社がやること — 作業の順に
次は、条文と指針が事業主に求めていることを、社内の作業の順に並べたものです。会社の状況に当てはめた判断は、この記事では扱いません。
- 募集要項と求人票を確かめる(5条・7条)。性別を表す職種の名称、「男性歓迎」等の表示、身長・体重・体力や転勤の要件が無いかを見ます。
- 就業規則などに方針と対処を書く(11条)。指針は、職場のセクシュアルハラスメントに当たる性的な言動を行った者に厳正に対処する方針と対処の内容を、就業規則その他の服務規律等を定めた文書に規定し、労働者に周知・啓発することを措置に挙げています。
- 相談窓口を定めて周知する(11条・13条・15条)。13条の窓口は、労働者ではなく求職者等に周知します。
- 採用活動のルールを決める(13条)。面談の時間と場所、連絡に使うSNSの種類などを決め、労働者と求職者等に周知します。
- 妊娠・出産に関する定めと手続を確かめる(9条・17条・18条)。婚姻・妊娠・出産を退職理由とする定めが無いか、健康診査の時間を確保する手続があるかを見ます。
- 男女雇用機会均等推進者を選任する(19条・努力義務)。施行規則2条の6は、必要な知識と経験を有すると認められる者から選任するとしています。
- 社内文書の条番号を読み替える。新旧の条番号の対応表を使います。
就業規則の作成・変更の手続は就業規則の記事にあります。19条の推進者の業務には、附則2項により、令和18年3月31日まで女性活躍推進法の行動計画に基づく取組の推進などが加わっています。女性活躍推進法の公表義務は女性活躍推進法の記事にまとめています。
紛争の解決と、違反したときに起きること
労働局長の援助と調停(23条・24条)
都道府県労働局長は、22条が挙げる事項についての労働者と事業主の間の紛争で、当事者の双方または一方から援助を求められた場合に、助言、指導または勧告をすることができます(23条)。22条が挙げるのは、5条から7条、9条、11条・13条・15条の各1項と2項、17条、18条1項に定める事項です。
令和7年法律第63号の附則5条は、同法が定める特定紛争について、改正後の22条にかかわらず従前の例によるとしています。
調停は、22条が挙げる事項の紛争のうち募集・採用についての紛争を除くものについて、当事者の双方または一方から申請があり、労働局長が解決のために必要と認めるときに、紛争調整委員会が行います(24条)。調停は3人の調停委員が行います(25条)。
調停申請書の提出先は、労働者に係る事業場の所在地を管轄する都道府県労働局長です(施行規則6条)。援助を求めたことや調停を申請したことを理由とする、解雇その他不利益な取扱いは禁じられています(23条2項・24条2項)。
調停が打ち切られた場合の定めもあります。申請をした者が打切りの通知を受けた日から30日以内に、調停の目的となった請求について訴えを提起したときは、時効の完成猶予について、調停の申請の時に訴えの提起があったものとみなされます(30条)。
社内での解決について、21条は、6条・7条・9条・17条・18条1項に定める事項(募集・採用に係るものを除く)の苦情を受けたときに、自主的な解決を図るよう努めることを事業主に求めています。
報告の求め・勧告・公表・過料(35条・36条・39条)
厚生労働大臣は、法律の施行に関し必要があると認めるときは、事業主に報告を求め、または助言、指導もしくは勧告をすることができます(35条)。この権限は、厚生労働大臣が全国的に重要であると認めた事案を除き、事業場の所在地を管轄する都道府県労働局長が行います(施行規則14条)。
36条は、次の規定に違反している事業主が35条の勧告に従わなかったときに、その旨を公表することができるとしています。
- 5条から7条まで、9条1項から3項まで
- 11条・13条・15条の各1項と2項
- 17条、18条1項
- 23条2項、24条2項
努力義務である12条・14条・16条、19条、21条は、36条の列挙にありません。
罰則の章にある条文は39条だけです。39条は、35条1項の報告をしない者と虚偽の報告をした者を、20万円以下の過料に処するとしています。
男女雇用機会均等法についての問い合わせ先は、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)です。厚生労働省のリーフレットは、労働局の受付時間を8時30分から17時15分まで(土・日・祝日・年末年始を除く)としています。
対象になる人と、適用されない人
5条から7条は、条文の語が「労働者」「性別」で、男女のどちらの労働者も対象です。9条、15条、17条、18条は、条文の語が「女性労働者」です。11条について、指針は「労働者」を正規雇用労働者に限らず、パートタイム労働者、契約社員などを含むとしています。
派遣労働者については、施行通達が、労働者派遣法47条の2の規定により、派遣先も派遣労働者を雇用する事業主とみなされるとしています。みなされるのは、同条が定める規定についてです。
公務員には、38条による適用除外があります。
- 国家公務員と地方公務員には、5条から10条、19条、20条、紛争の解決の章(21条から33条)、35条、36条が適用されません
- 一般職の国家公務員(行政執行法人の職員を除く)、裁判所職員、国会職員、自衛隊員には、11条から18条も適用されません
まとめ
- 5条・6条は、募集・採用から退職までの場面で、性別を理由とする差別を禁じています(8条の特例や、指針が挙げる職務上の必要がある場合などを除く)。
- 7条は、募集・採用での身長・体重・体力の要件、募集・採用・昇進・職種変更での転居を伴う配置転換に応じる要件、昇進での他の事業場への配置転換経験の要件を、合理的な理由なく設けることを禁じています。
- 9条1項から3項は、女性労働者について、婚姻・妊娠・出産を退職理由とする定め、婚姻を理由とする解雇、妊娠・出産等を理由とする解雇その他の不利益取扱いを禁じています。
- 事業主には、職場の性的な言動(11条)、自社の労働者による求職者等への性的な言動(13条)、雇用する女性労働者への妊娠・出産等に関する言動(15条)について、雇用管理上の措置が義務づけられています。
- 13条は2026年10月1日施行の改正で加わりました。同じ改正で11条より後ろの条番号が変わっています。
- 事業主は助言・指導・勧告を受けることがあり(35条)、36条が挙げる規定に違反して勧告に従わないと、公表されることがあります。過料(39条)は、35条1項の報告をしない者と虚偽の報告をした者が対象です。
- 公務員には、38条による適用除外があります。
よくある質問
男女雇用機会均等法に違反すると、罰則はありますか?
罰則の章にある条文は39条だけです。35条1項の報告をしない者と虚偽の報告をした者が、20万円以下の過料の対象です。差別の禁止や措置義務の違反には、助言・指導・勧告(35条)と、勧告に従わなかった事業主の公表(36条)があります。
求人に「女性歓迎」と書けますか?
厚生労働省の指針は、募集・採用で禁止される例に「男性歓迎」「女性向きの職種」等の表示を挙げています。一方で8条は、均等な機会と待遇の確保の支障となっている事情を改善する目的で、女性労働者が相当程度少ない区分で女性に有利な取扱いをする措置を違反としていません。施行通達は、相当程度少ないことを、募集・採用では雇用管理区分または役職ごとに女性労働者の割合が4割を下回ることとしています。個別の求人がどちらに当たるかは、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に確認できます。
就職活動中の学生へのセクハラ対策は、いつから義務ですか?
2026年10月1日施行の13条からです。13条は、求職者等の求職活動等が、事業主の雇用する労働者の性的な言動で阻害されないよう、相談体制の整備などの措置を事業主に義務づけています。求職者等には、求職者のほか、事業主が実施する採用に資する活動の参加者と、教育実習などの実習を受ける人が含まれます。
男女雇用機会均等推進者の選任は義務ですか?
努力義務です。19条は、推進者を選任するように努めなければならないとしています。19条は、勧告に従わない場合の公表(36条)の対象になる規定の列挙にありません。
古い資料にある「11条の3」は、現行の何条ですか?
15条です。2026年10月1日施行の改正で、妊娠・出産等に関する言動による問題を防ぐ措置の条番号は、11条の3から15条に変わりました。ほかの条番号は、この記事の新旧の条番号の対応表で確かめられます。
出典
男女雇用機会均等法・同法施行規則の条文(e-Gov法令検索)と、厚生労働省の指針・通達・リーフレットで確認して作成。確認日:2026年10月11日。
- e-Gov法令検索『雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律』1条・5条から9条・11条から19条・21条から25条・30条・35条・36条・38条・39条・附則2項
- e-Gov法令検索『雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律施行規則』1条・2条・2条の3・2条の5・2条の6・6条・14条
- 厚生労働省「労働者に対する性別を理由とする差別の禁止等に関する規定に定める事項に関し、事業主が適切に対処するための指針」(平成18年厚生労働省告示第614号)
- 厚生労働省「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(平成18年厚生労働省告示第615号)
- 厚生労働省「事業主が求職活動等における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(令和8年厚生労働省告示第52号)
- 厚生労働省 リーフレット(詳細版)「2026年(令和8年)10月1日から、カスタマーハラスメント対策、求職者等に対するセクシュアルハラスメント対策が義務化されます」
- 厚生労働省「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律の施行について」(令和8年10月1日適用の通達)
本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の判断は都道府県労働局・社会保険労務士・弁護士にご確認ください。