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労働基準法とは|適用範囲と会社の書類義務の早見表

労働基準法は、賃金や労働時間など、労働条件の最低基準を定める法律です。基準に達しない労働契約は、その部分が無効になり、法定の基準によります。

総務・経理担当者は、働く人が労働者に当たるか、どの事業場で管理するかを確認してから、契約書類・名簿・賃金台帳をそろえます。ここでは国内の民間事業を扱い、船員・公務員・海外勤務の制度は対象外とします。

確認したいことから引く条文の早見表

主な条文と最初に見る資料を、確認したいこと別にまとめました。各制度の要件をすべて列挙したものではありません。

労働基準法の実務索引
確認したいこと条文最初に見る資料
どの水準を守るか1条・13条労働契約と社内の労働条件
誰が対象・義務者か9条・10条契約名だけでなく、働き方・指揮命令の実態
採用時の条件明示15条労働条件通知書
職場のルールの整備89条就業規則と事業場の人数
名簿と給与の記録107条・108条労働者名簿・賃金台帳
書類をいつまで残すか109条・143条書類の種類、退職日・最終記入日・賃金支払期日

残業や休日の運用は36協定・休憩時間・法定休日、休暇の付与は有給休暇の計算機と解説へ進めます。法律間の違いは労働三法の比較にまとめています。

労働者・使用者は誰か

労働者かどうかは働き方の実態から判断します。使用者には、事業主のほか、労働者に関する事項について事業主のために行為する人も含まれます。

契約名より働き方の実態を見る

労基法9条の労働者は、職業の種類を問わず、事業や事務所に使用され、賃金を支払われる人です。正社員、契約社員、パート、アルバイトという雇用形態で区別する定義ではありません。

業務委託契約という名前だけでは、労働者ではないと判断できません。厚生労働省「労働者とは」は、指揮監督下の労働と、その対価としての報酬を軸に、契約内容や実際の働き方などから総合的に判断すると説明しています。

会社側では、仕事を断る自由、作業への指示、勤務場所・時間の拘束、代わりの人に任せられるか、報酬の決め方などを確認します。これらは判断材料の例です。どれかに当てはまれば結論が決まるというチェックリストではありません。

使用者は社長に限らない

労基法10条の使用者には、事業主、経営担当者のほか、その事業の労働者に関する事項について事業主のために行為する人も含まれます。

たとえば、労働条件の決定や業務命令、具体的な指揮監督を行う担当者です。肩書だけで決めず、どの事項について権限を持ち、実際に何をしているかを確認します。根拠は長野労働局「労働条件ハンドブック」の使用者の説明です。

適用されない事業・人もある

労基法116条は、同居の親族のみを使用する事業と家事使用人を適用から除いています。家族経営という呼び名だけで、親族以外の従業員がいる事業まで除外しないようにします。

家事使用人かどうかも就業実態によります。家事を請け負う事業者に雇われ、その事業者の指揮命令で家事を行う人は、家事使用人には当たりません。詳しくは厚生労働省の適用範囲Q&Aで確認できます。

船員法の船員には、労基法の一部が適用され、全面的な適用除外ではありません。船員や公務員は別の法律による調整があるため、上の会社向けの表をそのまま使わないでください。

適用の単位は事業場

労働基準法は、企業全体ではなく、工場や営業所などの事業場を単位に適用します。本社で給与計算をまとめていても、事業場の区分を先に確認することが必要です。

長野労働局「労働条件ハンドブック」では、主として場所によって判断するとしつつ、次のような例外も示しています。

事業場の区分を確認する場面
場所と組織の状況適用単位の考え方
同じ場所で働いている基本は同じ事業場。次の行の切り離しの条件を確認する
同じ場所でも、労働態様が著しく異なる部門労働者・労務管理等が明確に区分され、切り離すのが適当なら別の事業とする
場所が離れている基本は別の事業場。次の行の独立性を確認する
離れた出先が非常に小規模で独立性がない直近上位の機構とまとめて扱う

たとえば、本社が支店の給与計算を代行しているという事情だけで、支店が本社と同じ事業場になるとは決められません。区分に迷う場合は、所在地、組織図、労務管理の権限を整理して所轄の労働基準監督署に確認します。

会社の書類をそろえる確認順働く人の実態、事業場の区分、書類の整備の順に確認し、迷う場合は資料をそろえて相談する。 人の実態契約・指示・報酬 事業場の区分所在地・独立性 書類の整備作成・更新・保存 迷う事項は、実態が分かる資料をそろえて確認
社内で資料をそろえる順序の例

最低基準と契約の効力

本人の同意があっても、労基法の基準を下回る契約の部分は無効です。無効になった部分は法定基準によります。根拠は労基法13条です。

契約書を作ったことと、契約の内容が基準を満たすことは別の確認です。担当者は、通知書と就業規則をそろえたうえで、実際の勤怠・支払記録とも照らし合わせます。

また、労基法1条は、法定基準を理由に労働条件を引き下げてはならないと定めています。法律より良い条件がある職場で、最低基準まで下げてよいという意味ではありません。

会社が作成・管理する書類

会社が作成・管理する主な書類には、労働条件通知書等、就業規則、労働者名簿、賃金台帳があります。記載事項の全件や届出方法は、各行の解説記事で確認してください。

会社の書類と作成・更新の確認表
書類対象・タイミング条文と詳細
労働条件通知書等使用者は労働契約の締結時に条件を明示する15条/明示事項・方法
就業規則常時10人以上の労働者を使用する事業場で作成・届出。変更時も届出89条/作成・変更の手順
労働者名簿事業場ごとに各労働者分を作成(日々雇い入れられる者を除く)。変更時は遅滞なく訂正107条/記載事項と様式
賃金台帳事業場ごとに作成し、賃金支払の都度、遅滞なく記入108条/記載事項と様式

給与計算では、賃金台帳の元になる出勤簿・勤怠の記録も一緒に確認します。名簿の変更と給与への反映を別の担当者が行うなら、変更を知らせる経路を決めておくと照合しやすくなります。

保存期間は起算日とセットで確認

労基法109条の労働者名簿・賃金台帳などの重要書類の保存期間は、本則5年間ですが、当分の間は3年間です。143条の読替えによるもので、期間は次の書類別の起算日から数えます。

次は労働基準法施行規則56条による、労基法の記録保存の起算日です。賃金台帳と賃金その他労働関係の重要書類は、表の基準日より賃金支払期日が遅ければ、その支払期日から数えます。

書類別の保存期間の起算日
書類基準となる日
労働者名簿労働者の死亡・退職・解雇の日
賃金台帳最後に記入した日(支払期日が遅い場合は上の特則)
雇入れ・退職に関する書類労働者の退職・死亡の日
災害補償に関する書類災害補償を終えた日
賃金その他労働関係の重要書類完結の日(支払期日が遅い場合は上の特則)

これは労基法の保存義務の説明です。税務など別の法律による保存義務や、紛争への対応上残す必要がある資料は別途確認してください。この表だけで廃棄を決めないでください。

まとめ

  • 労働者性は契約名だけで決めず、指揮監督や報酬などの実態を総合的に見る。
  • 事業場の区分を確認して、名簿・台帳・就業規則の対象を整理する。
  • 労基法の基準を下回る契約は、その部分が無効。書類の作成と内容の適法性を分けて確認する。
  • 記録の保存期限は、書類の種類と起算日を突き合わせて管理する。
時間外・休日・深夜の割増賃金を計算する

よくある質問

パートやアルバイトにも適用されますか?

国内の民間事業に使用され、賃金を支払われる労働者なら、パートやアルバイトも対象です。ただし、同居の親族のみを使用する事業と家事使用人は適用除外です。船員・公務員など別制度の対象は、ここで扱う民間企業の従業員と分けて確認します。

業務委託契約なら労働基準法は関係ありませんか?

契約名だけでは決められません。請負・委任の名称でも、指揮監督の下で働き、その対価として報酬が支払われているかなど、実態を総合的に見て労働者性を判断します。

本人が同意すれば法定基準を下回る契約も有効ですか?

同意があっても、労基法の基準に達しない労働契約は、その部分が無効です。無効部分には法定基準が適用されます。

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出典

この記事は一般的な情報提供であり、個別の事案に対する助言ではありません。実際の取扱いは事業場の実情や契約内容により異なる場合があるため、判断に迷う場合は所轄の労働基準監督署または社会保険労務士にご確認ください。

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