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配賦とは?配賦基準の選び方と計算例、予定配賦と配賦差異の仕訳

配賦(はいふ)とは、複数の製品や部門に共通してかかる費用を、作業時間や人数などの基準で、製品ごと・部門ごとに割り振ることです。工場の電力料や建物の減価償却費、本社の管理部門の費用のように、どの製品にいくらかかったかを直接つかめない費用が対象になります。

計算は2つの式で済みます。実際にかかった費用を配賦するときは、配賦率が「実際の費用÷同じ期間の実際の配賦基準の合計」、配賦額が「配賦率×その製品・部門の実際の配賦基準の量」です。結果を左右するのは、配賦基準に何を選ぶかです。

この記事は、配賦基準の選び方、計算例、部門別の配賦、予定配賦と配賦差異の仕訳、本社費の配賦を順にまとめます。計算例の数字はどれも架空です。法人税の原価差額の調整は原価計算の記事に分けています。

配賦とは — 賦課・按分との違い

費用を製品や部門に負担させる方法は、賦課(直課)と配賦の2つです。どの製品・部門で発生したかを直接つかめる費用は賦課し、つかめない費用は配賦するのが基本です。

方法基本の対象負担のさせ方例
賦課(直課)直接費・部門個別費発生した額を、そのままその製品・部門に負担させる製品Aだけに使う材料の費用
配賦間接費・部門共通費配賦基準を使って、関係する製品・部門に割り振る工場全体の電力料、工場建物の減価償却費

この区分は、原価計算基準(企業会計審議会)の考え方です。基準八は、原価の発生が一定単位の製品の生成に関して直接的に認識されるかどうかで、原価要素を直接費と間接費に分けています。基準一七は、その部門で発生したことが直接的に認識されるかどうかで、部門個別費と部門共通費に分けています。

似た言葉との違いは次のとおりです。

配賦率と配賦額の計算例

手順は3つです。配賦基準を決める、配賦率を出す、配賦額を出す、の順に進めます。

配賦の計算式

配賦率 = 実際にかかった費用 ÷ 同じ期間の実際の配賦基準の合計

配賦額 = 配賦率 × その製品・部門の実際の配賦基準の量

次の表は架空の設例です。1か月の製造間接費1,200,000円を、製品Aと製品Bに配賦します。直接作業時間は製品Aが300時間、製品Bが200時間、機械運転時間は製品Aが100時間、製品Bが300時間とします。

配賦基準基準の合計配賦率(1時間あたり)製品Aの配賦額製品Bの配賦額
直接作業時間500時間2,400円720,000円480,000円
機械運転時間400時間3,000円300,000円900,000円

この設例では、配賦する製造間接費が同じ1,200,000円でも、配賦基準を変えると製品Aの負担が720,000円から300,000円に変わります。製品別の原価がそれだけ変わるので、配賦は基準選びが要になります。

配賦の流れ(架空の設例) 製造間接費 1,200,000円 直接つかめない費用 配賦率 1時間あたり2,400円 1,200,000円÷500時間 基準は直接作業時間 製品A 720,000円 2,400円×300時間 製品B 480,000円 2,400円×200時間
架空の設例。製造間接費1,200,000円を直接作業時間で配賦すると、製品Aに720,000円、製品Bに480,000円が割り振られます。

配賦基準の種類と選び方

配賦基準は、その費用が増えたり減ったりする原因に近いものを選びます。原価計算基準は基準ごとの使い分けを細かく決めておらず、「適当な配賦基準」としています。予定配賦率のもとになる操業度については、基準三三が、原則として、直接作業時間、機械運転時間、生産数量など、間接費の発生と関連のある適当な物量基準で表すとしています。

次の表は、実務でよく使われる配賦基準の例です。法令や原価計算基準が、費用ごとの配賦基準を指定しているわけではありません。

配賦基準向いている費用の例気をつける点
直接作業時間人の作業が中心の工程の製造間接費作業時間の記録(日報・工数)が要る
機械運転時間機械の減価償却費、動力費、保守の費用機械ごとの稼働時間の記録が要る
生産数量同じ種類の製品を続けて作る工程の費用大きさや手間が違う製品が混ざると、ずれが出る
占有面積建物の減価償却費、家賃、清掃や警備の費用レイアウトを変えたら面積を測り直す
人数福利厚生の費用、人事・総務部門の費用どの時点の人数で数えるかを決めておく
売上高本社費、広告宣伝費などの共通費売上が伸びた部門ほど負担が増える

選ぶときの見方は3つです。

部門別の配賦 — 部門共通費と補助部門費

原価計算基準の一七・一八・三三によると、個別原価計算のおおまかな順序は次のとおりです。

  1. 部門に集める: 部門個別費はその部門に賦課し、部門共通費は適当な配賦基準で関係各部門に配賦します(工場全般の共通費で適当な基準が得がたいものは、一般費として補助部門費にできます)。
  2. 補助部門費を製造部門に配賦する: 動力部や修繕部などの補助部門に集めた費用を、製造部門に配賦します(必要がある場合、一部は直接に製品へ配賦できます)。
  3. 製造部門費を製品に配賦する: 個別原価計算では、基準三三により、間接費を原則として部門間接費として各製造指図書に配賦します。

基準一八は、補助部門費の配賦の方法として、直接配賦法、階梯式配賦法、相互配賦法などを挙げています。基準は方法の名前を挙げるだけで、計算の手順は書いていません。3つの方法の計算の手順は、この記事では扱いません。

実際配賦と予定配賦、配賦差異の仕訳

製造間接費を製品に配賦するやり方は、実際配賦と予定配賦の2つです。実際配賦は、その月に実際にかかった額を月末に配賦します。予定配賦は、期首に決めた予定配賦率を使って配賦します。

実際配賦予定配賦
使う配賦率実際発生額÷実際の配賦基準の合計期首に決めた予定配賦率(式は表の下)
原価が分かる時期実際発生額が固まった後作業時間などが分かった時点
配賦差異出ない配賦額と実際額がずれると出る(期末に処理する)

原価計算基準の三三は、個別原価計算の間接費を、原則として予定配賦率で各指図書に配賦するとしています。予定配賦率は、一定期間における各部門の間接費予定額(または固定・変動別の各予定額)を、それぞれ同じ期間のその部門の予定配賦基準で割って出します。配賦額は、製造部門またはその小工程・作業単位ごとに、予定配賦率(固定・変動別ならそれぞれの率)に各指図書の実際の配賦基準を掛けて出します。

予定操業度について、基準三三は、原則として1年または1会計期間に予期される操業度とし、技術的に達成可能な最大操業度ではなく、生産と販売の事情を考慮して定めるとしています。基準三三は、操業度を原則として各部門に区分して測定表示するともしています。

予定配賦の計算例と仕訳

次の計算と仕訳は架空の設例です。実際原価計算で製造間接費を直接作業時間で予定配賦し、配賦差異を当年度の売上原価に賦課する場合とします。勘定科目名は簿記で一般的なものです。

項目計算金額など
予定配賦率年間の製造間接費予定額14,400,000円÷年間の予定直接作業時間6,000時間1時間あたり2,400円
ある月の予定配賦額予定配賦率2,400円×その月の実際の直接作業時間480時間1,152,000円
その月の実際発生額材料・賃金・経費から集計した製造間接費1,200,000円
製造間接費配賦差異実際発生額1,200,000円−予定配賦額1,152,000円48,000円の配賦不足

次の仕訳は、上の架空の設例の金額を使い、製造間接費配賦差異の全額を当年度の売上原価に賦課する場合です。

場面借方貸方
予定配賦したとき仕掛品 1,152,000製造間接費 1,152,000
実際発生額を集計したとき製造間接費 1,200,000材料・賃金・経費など 1,200,000
差異を振り替えたとき製造間接費配賦差異 48,000製造間接費 48,000
期末に差異を処理したとき売上原価 48,000製造間接費配賦差異 48,000

この設例は、予定配賦額より実際発生額が大きい配賦不足で、差異は借方に残ります(借方差異・不利差異)。逆に予定配賦額のほうが大きいときは、差異は貸方に残り、期末の仕訳も貸借が逆になります。

基準四五は、製造間接費配賦差異を、製造間接費を予定配賦率で製品に配賦することで生ずる原価差異とし、一期間の配賦額と実際額との差額で算定するとしています。基準四七により、実際原価計算の製造間接費配賦差異は、原則として当年度の売上原価に賦課します(予定価格等が不適当なため比較的多額となる場合は、売上原価と期末たな卸資産に配賦)。

注: 差異の処理と予定配賦率には、次の補足があります。

本社費・共通費を部門に配賦するとき

配賦は製造業の工場だけの話ではありません。本社の経理・人事・総務の費用や、全社の広告宣伝費を事業部や店舗に割り振るときも、同じ式で計算します。部門別の損益を見るための社内のルールなので、基準は会社が決めます。

次の表は架空の設例です。1か月の本社費3,000,000円を、事業部Aと事業部Bに配賦します。人数は事業部Aが30人、事業部Bが20人、売上高は事業部Aが4,000万円、事業部Bが6,000万円とします。

配賦基準基準の合計事業部Aの配賦額事業部Bの配賦額
人数50人1,800,000円1,200,000円
売上高1億円1,200,000円1,800,000円

この設例では、人数で配賦すると事業部Aの負担が大きく、売上高で配賦すると事業部Bの負担が大きくなります。部門の評価に使うなら、本社費を配賦する前の利益と、配賦した後の利益の両方を並べると、基準の影響を切り分けられます。

共通費の配賦基準を書いた公的な文書の例に、法人税基本通達15-2-5があります。この通達は、公益法人等や人格のない社団等が収益事業とそれ以外の事業を行う場合に、両方に共通する費用を、継続的に、資産の使用割合、従業員の従事割合、資産の帳簿価額の比、収入金額の比など、費用の性質に応じた合理的な基準で配賦するとしています。同じ通達の注は、これらの法人が収益事業以外の事業の資産を収益事業に使っても、賃借料や支払利子を払ったことにして収益事業の費用にはできないとしています。

法人税の簡易計算 — 所得金額から税額を試算する

間違えやすい点

まとめ

  • 配賦は、複数の製品や部門に共通してかかる費用を、配賦基準で割り振ることです。直接つかめる費用は、配賦せずに賦課するのが基本です。
  • 実際にかかった費用の配賦は、配賦率が「実際の費用÷同じ期間の実際の配賦基準の合計」、配賦額が「配賦率×その製品・部門の実際の配賦基準の量」です。
  • 配賦基準は、費用との関係、測りやすさ、続けやすさの3つで選びます。
  • 原価計算基準の三三は、個別原価計算の間接費を、原則として予定配賦率で配賦するとしています。
  • 予定配賦を使うと、期末に配賦差異の処理が要ります(処理の方法は基準四七)。
  • 本社費などの共通費の配賦は社内のルールで決め、配賦する前と後の利益の両方を見ます。

よくある質問

配賦と按分の違いは何ですか?

計算のしかたは同じです。按分は、基準になる数量に比例して分けること全般を指します。配賦は、間接費や共通費を製品や部門に割り振る場面で使う言葉です。

配賦率はどう計算しますか?

実際にかかった費用を、同じ期間の実際の配賦基準の合計で割ります。架空の設例で、製造間接費が1,200,000円、配賦基準の直接作業時間の合計が500時間なら、配賦率は1時間あたり2,400円です。

配賦基準は何を選べばよいですか?

その費用が増減する原因に近く、毎月測れて、毎期続けられるものを選びます。例として、人の作業が中心の工程は直接作業時間、機械が中心の工程は機械運転時間、建物の費用は占有面積がよく使われます。

予定配賦と実際配賦は、どちらを使いますか?

個別原価計算の間接費は、予定配賦率で各指図書に配賦するのが原則です(原価計算基準の三三)。予定配賦を使うと、期末に配賦差異の処理が要ります。

製造間接費配賦差異は、期末にどう処理しますか?

原則として、当年度の売上原価に賦課します。原価計算基準の四七が、実際原価計算の原価差異(材料受入価格差異を除く)の扱いとして定めています。予定価格等が不適当なため比較的多額の差異が生ずる場合、製造間接費に関する差異は、当年度の売上原価と期末のたな卸資産に配賦します。

次に読む

出典

原価計算基準の本文と、国税庁の法人税基本通達で確認して作成。確認日:2026年10月12日。

本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の判断は税理士・公認会計士にご確認ください。

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