小規模企業共済等掛金控除とは — 対象の掛金3種類と、年末調整での扱い(令和8年分)
結論から言うと、小規模企業共済等掛金控除は、小規模企業共済の掛金(旧第二種共済契約の掛金を除く)や iDeCo の掛金などを支払った人が受ける所得税の所得控除です。国税庁タックスアンサー No.1135(令和8年4月1日現在法令等)は、納税者が小規模企業共済法に規定された共済契約に基づく掛金等(旧第二種共済契約の掛金を除く)を支払った場合に、その支払った金額について所得控除が受けられるとし、控除できる金額をその年に支払った掛金の全額としており、掛金を前納した場合については、国税庁の令和8年分「年末調整のしかた」が、前納減額金を差し引くことと、翌年以後に納付期日が到来する掛金の扱いを別に示しています(この記事の「前納した掛金と前納減額金」の節で説明します)。
国税庁タックスアンサー No.1135(令和8年4月1日現在法令等)は、控除できる掛金を、独立行政法人中小企業基盤整備機構と結んだ小規模企業共済法の共済契約の掛金、確定拠出年金法に規定する企業型年金加入者掛金または個人型年金加入者掛金、地方公共団体が実施するいわゆる心身障害者扶養共済制度のうち一定の要件を備えているものの掛金の3つとし、旧第二種共済契約の掛金は生命保険料控除の対象になるとしています。
この記事は、会社の経理・給与担当者が年末調整でこの控除を扱うときに確かめる項目を、国税庁の資料の記載に沿って整理します。iDeCo の掛金を保険料控除申告書にどう書くかはiDeCoの年末調整、企業型年金の掛金のしくみは確定拠出年金とはで扱っています。
対象になる掛金は3種類
国税庁の令和8年分「年末調整のしかた」は、小規模企業共済等掛金を、次の表の3つの掛金としています。
| 令和8年分「年末調整のしかた」が挙げる小規模企業共済等掛金 | 国税庁の資料にある補足 |
|---|---|
| 独立行政法人中小企業基盤整備機構と契約した共済契約(旧第2種共済契約を除く)に基づいて支払った掛金 | 旧第二種共済契約の掛金は、この控除ではなく生命保険料控除の対象になる(タックスアンサー No.1135・令和8年4月1日現在法令等) |
| 確定拠出年金法に規定する企業型年金加入者掛金または個人型年金加入者掛金 | 令和8年分「年末調整のしかた」は「iDeCo の掛金など」と付記している |
| 地方公共団体が条例の規定により実施するいわゆる心身障害者扶養共済制度で一定の要件を備えているものに基づいて支払った掛金 | 地方公共団体の条例で、精神または身体に障害がある者を扶養する者を加入者とし、加入者が掛金を納付し、地方公共団体が扶養のための給付金を定期に支給することを定めている制度のうち、一定の要件を備えているもの(タックスアンサー No.1135・令和8年4月1日現在法令等) |
控除の名前は「小規模企業共済」で始まりますが、国税庁の令和8年分「年末調整のしかた」は、確定拠出年金の加入者掛金と、一定の要件を備えている心身障害者扶養共済制度の掛金も、同じ小規模企業共済等掛金に挙げています。国税庁タックスアンサー No.1135(令和8年4月1日現在法令等)は、旧第二種共済契約の掛金はこの控除ではなく生命保険料控除の対象となるとしています。
国税庁の令和8年分「年末調整のしかた」が確定拠出年金の掛金として挙げているのは、企業型年金加入者掛金と個人型年金加入者掛金です。会社が拠出する事業主掛金のしくみは、確定拠出年金とはで説明しています。
控除額 — その年に支払った掛金の全額(前納した掛金は別の扱い)
国税庁タックスアンサー No.1135(令和8年4月1日現在法令等)は、控除できる金額を、その年に支払った掛金の全額としています(掛金を前納した場合の前納減額金の差引きと、翌年以後に納付期日が到来する分の扱いは、次の「前納した掛金と前納減額金」で説明します)。国税庁の令和8年分「年末調整のしかた」は、給与の支払者が確かめる点として、本人が本年中に支払ったものだけを控除の対象としているかどうか、未払のものや前払したものが含まれていないかどうかを挙げ、翌年以後に納付期日の到来する掛金を一括して支払った前納掛金については、社会保険料を前納した場合と同様に取り扱うとしています(前納の期間が1年以内のものなどを本人が全額申告した場合に全額を控除してよいとする扱いを含み、次の「前納した掛金と前納減額金」で説明します)。
たとえば、説明のために月の掛金を20,000円と置くと、個人型年金加入者掛金を令和8年中に本人が直接12回支払い、前納も前納減額金も無い人の場合、令和8年分の控除の対象になる掛金は20,000円×12回=240,000円です。
前納した掛金と前納減額金
国税庁の令和8年分「年末調整のしかた」は、掛金を前納したことにより前納減額金の支払を受けているときは、支払った掛金の額からその前納減額金を差し引いた残額が控除の対象になるとしています(翌年以後に納付期日が到来する分を含む前納掛金のうち本年に控除する額は、次の段落の扱いによります)。
国税庁の令和8年分「年末調整のしかた」は、翌年以後に納付期日の到来する掛金を一括して支払ったいわゆる前納掛金について、社会保険料を前納した場合と同様に取り扱うとしており、社会保険料の前納では、前納した保険料の総額(前納により割引をされた場合は、その割引後の金額)に本年中に到来する納付期日の回数を掛けて納付期日の総回数で割った金額が本年中に支払った額になるとしたうえで、前納の期間が1年以内のものと、法令に一定期間の社会保険料等を前納することができる旨の規定がある場合にその規定に基づき前納したものについては、本人が前納した額の全額を保険料控除申告書に記入して申告した場合に、その全額を本年の年末調整の際に控除しても差し支えないとしています。
年末調整での扱い — 給与から差し引かれる掛金と、本人が直接支払った掛金
国税庁の令和8年分「年末調整のしかた」は、小規模企業共済等掛金には毎月の給与から差し引かれるものと本人が直接支払っているものなどがあるとし、本人が直接支払ったものについては、本人から提出された保険料控除申告書の金額に基づいて控除するとしたうえで、その掛金を支払ったことの証明書類を保険料控除申告書に添付して提出または提示する必要がある(保険料控除申告書に記載すべき事項を電子データにより提供する場合は、提出または提示に代えて、電子証明書等が付された証明書類の情報を併せて電子データにより提供できる)としています。
国税庁の令和8年分「年末調整のしかた」は、毎月の給与から差し引かれる小規模企業共済等掛金については、掛金を支払ったことを証明する書類は必要ないとし、本人が直接支払ったものについては、支払った掛金の金額の多少に関係なく、その掛金を支払ったことの証明書類を保険料控除申告書に添付して提出または提示する必要がある(保険料控除申告書に記載すべき事項を電子データにより提供する場合は、提出または提示に代えて、電子証明書等が付された証明書類の情報を併せて電子データにより提供できる)としています。
国税庁の令和8年分「年末調整のしかた」は、証明書類の範囲には、証明書類に記載すべき事項を記録した電子証明書等に係る電磁的記録印刷書面が含まれるとしています。同じ資料は、保険料控除申告書に記載すべき事項を電子データにより提供する場合、証明書類の提出または提示に代えて、証明書類に記載されるべき事項が記録された情報で電子証明書等が付されたものを、申告書に記載すべき事項と併せて電子データにより給与の支払者に提供できるとし、小規模企業共済等掛金控除の証明書類も同様としています。
証明書類が年末調整に間に合わないとき
国税庁の令和8年分「年末調整のしかた」は、小規模企業共済等掛金について、翌年1月末日までにその証明書類を提出することを条件として年末調整を行った場合で、その証明書類がその期日までに提出されないときは、その掛金を除いたところで控除額を計算して年末調整のやり直しをし、不足額を徴収することになるとしています。
保険料控除申告書の欄の書き方は保険料控除申告書、年末調整で集める証明書類の一覧は年末調整の必要書類で扱っています。
給与担当者が確かめること — 国税庁の資料の注意事項4点
国税庁の令和8年分「年末調整のしかた」は、小規模企業共済等掛金控除の注意事項として、次の4点を挙げています。
- 本人が直接掛金を支払っている場合に、保険料控除申告書に、その掛金を支払ったことの証明書類が添付して提出または提示されているかどうか(保険料控除申告書に記載すべき事項を電子データにより提供する場合は、提出または提示に代えて、電子証明書等が付された証明書類の情報を併せて電子データにより提供できる)
- 本人が本年中に支払ったものだけを控除の対象としているかどうか、未払のものや前払したものが含まれていないかどうか(翌年以後に納付期日の到来する掛金を一括して支払った前納掛金は、社会保険料を前納した場合と同様に、前納した総額(前納により割引をされた場合は、その割引後の金額)に本年中に到来する納付期日の回数を掛けて納付期日の総回数で割った金額を本年中に支払った額とし、前納の期間が1年以内のものと、法令に一定期間の前納ができる旨の規定がある場合にその規定に基づき前納したものは、本人が前納した額の全額を保険料控除申告書に記入して申告した場合に、その全額を本年の年末調整の際に控除しても差し支えないとされており、この記事の「前納した掛金と前納減額金」の節で説明している)
- 前納減額金の支払を受けている場合に、支払った掛金の額からその前納減額金が差し引かれているかどうか
- 毎月の給与から差し引かれた小規模企業共済等掛金を、社会保険料とともに、本年中に差し引かれた金額として集計しているかどうか(本年中に転職してきた人が前の勤務先に扶養控除等(異動)申告書を提出して支払を受けた給与から差し引かれた分と、給与の支払者が負担した金額で給与として課税されるべき分も集計に含める)
社会保険料等の集計と源泉徴収簿
国税庁の令和8年分「年末調整のしかた」は、特定の小規模企業共済等掛金は毎月の給与から社会保険料と併せて控除されるので、源泉徴収簿ではこれらの金額を合計して記入するよう「社会保険料等」としている、と説明しています。
国税庁の令和8年分「年末調整のしかた」は、本年中に他から転職してきた人について、その人が前の勤務先に扶養控除等(異動)申告書を提出して支払を受けた給与から差し引かれた社会保険料等も含めて集計するとし、その金額は、転職前の勤務先から交付を受けた本年分の給与所得の源泉徴収票などにより確認するとしています。同じ資料は、給与の支払者が負担した社会保険料等の金額で給与として課税されるべきものは、本人自身が支払ったものとして控除の対象となるので、集計に含めるとしています。
国税庁の令和8年分「年末調整のしかた」の源泉徴収簿の記入例は、保険料控除申告書の「小規模企業共済等掛金控除」欄の「合計(控除額)」欄の金額を、源泉徴収簿の「申告による小規模企業共済等掛金の控除分」の欄に転記するとしています。同じ記入例は、毎月の給与から差し引かれた小規模企業共済等掛金の金額を、源泉徴収簿の給与等からの控除分のうち小規模企業共済等掛金の金額を書く欄に記入するとしています。源泉徴収簿の全体の書き方は源泉徴収簿とはで説明しています。
年末調整の還付・不足額を計算する(令和8年分)源泉徴収票での表示 — 「社会保険料等の金額」欄の内書き
国税庁の「給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」(令和8年分)は、給与所得の源泉徴収票の「社会保険料等の金額」欄に、給与等を支払う際にその給与等から控除した社会保険料の金額、保険料控除申告書に基づいて控除した社会保険料の金額及び小規模企業共済等掛金の額の合計額を記載するとし、小規模企業共済等掛金の額については内書きするとし、中途就職者について、その就職前に他の支払者が支払った給与等を通算して年末調整を行った場合には、その給与等から控除した社会保険料等の金額を含むとしています。
源泉徴収票の各欄の見方は源泉徴収票の見方で説明しています。
確定申告で受けるとき
国税庁タックスアンサー No.1135(令和8年4月1日現在法令等)は、この控除を受ける場合、確定申告書の小規模企業共済等掛金控除の欄に記入するほか、支払った掛金の証明書または電磁的記録印刷書面を、確定申告書に添付するか、確定申告書を提出する際に提示する必要があるとし、令和8年分以後の所得税に係る確定申告書を令和9年1月1日以後に提出するときは、その添付または提示に代えて、一定の事項の記載がある明細書を確定申告書に添付することができるとしたうえで、e-Tax(電子申告)で確定申告する場合についてはタックスアンサー No.1904「給与所得者と電子申告」を見るよう案内しています。
所得控除の種類ごとの額と、住民税での扱いの対照は、所得控除の一覧にまとめています。小規模企業共済の掛金による税額の変化は、小規模企業共済 節税シミュレーターで試算できます。
よくある質問
iDeCo の掛金は、小規模企業共済等掛金控除の対象ですか?
国税庁の令和8年分「年末調整のしかた」は、小規模企業共済等掛金として、確定拠出年金法に規定する企業型年金加入者掛金または個人型年金加入者掛金を挙げ、「iDeCo の掛金など」と付記しています。
毎月の給与から差し引かれている掛金にも、証明書類は必要ですか?
国税庁の令和8年分「年末調整のしかた」は、毎月の給与から差し引かれる小規模企業共済等掛金については、掛金を支払ったことを証明する書類は必要ないとしています。同じ資料は、本人が直接支払ったものについては、支払った掛金の金額の多少に関係なく、その掛金を支払ったことの証明書類を保険料控除申告書に添付して提出または提示する必要がある(保険料控除申告書に記載すべき事項を電子データにより提供する場合は、提出または提示に代えて、電子証明書等が付された証明書類の情報を併せて電子データにより提供できる)としています。
小規模企業共済等掛金は、源泉徴収票のどの欄に表示されますか?
国税庁の「給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」(令和8年分)は、給与所得の源泉徴収票の「社会保険料等の金額」欄に、給与等から控除した社会保険料の金額、保険料控除申告書に基づいて控除した社会保険料の金額及び小規模企業共済等掛金の額の合計額を記載するとし、小規模企業共済等掛金の額については内書きするとし、中途就職者について、その就職前に他の支払者が支払った給与等を通算して年末調整を行った場合には、その給与等から控除した社会保険料等の金額を含むとしています。
掛金の証明書類が年末調整までに届かないときは、どうなりますか?
国税庁の令和8年分「年末調整のしかた」は、小規模企業共済等掛金について、翌年1月末日までにその証明書類を提出することを条件として年末調整を行った場合で、その証明書類がその期日までに提出されないときは、その掛金を除いたところで控除額を計算して年末調整のやり直しをし、不足額を徴収することになるとしています。
出典
国税庁のタックスアンサー、令和8年分「年末調整のしかた」、令和8年分の法定調書の手引の原文を読んで確認。
- 国税庁タックスアンサー No.1135「小規模企業共済等掛金控除」(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」 保険料控除申告書の受理と内容の確認(社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除)、年末調整後に保険料を支払ったような場合、源泉徴収簿の記入例
- 国税庁「給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引」(令和8年分) 第2章 給与所得の源泉徴収票(給与支払報告書)
この記事は一般的な情報提供であり、個別の事案に対する助言ではありません。特定の掛金が控除の対象になるかどうか、控除できる金額がいくらになるかは、契約の内容や支払の状況によって変わります。具体的な判断は、税務署または税理士にご確認ください。