退職時の有給消化|残日数・最終出勤日・給与の確認手順
退職前の有給消化は可能です。
経理・人事担当者は、残日数と退職日までの会社カレンダーを照合し、最終出勤日・有給取得日・退職日を分けて確認します。給与と社会保険料は、その日程と会社で定めた賃金規程を使って確認します。
まず日程の設例で日付を並べ、会社側の確認手順に沿って進めてください。時季変更権の根拠と例外は次の節で説明します。
退職前の時季変更は、別の労働日に限られる
労働者が取得日を指定して請求した年休について、会社は事業の正常な運営を妨げる場合に限り、別の時季に変更できます。労働基準法39条5項は、使用者に労働者の請求する時季に与える義務を課し、ただし書で例外として時季変更権を認めています。
ただし書が認めているのは、請求を断ることではなく他の時季に与えることです。退職が決まっている労働者が退職日までの労働日を指定した場合、他の時季とは退職日より前の別の労働日しかありません。退職前の残りの労働日すべてに年休を請求していれば、退職前にも動かす先はありません。
さらに附則136条は、有給を取得した労働者に賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならないと定めています。
判例は、次の算定を無効としています。
- 賞与の算定で、有給休暇の取得日を欠勤日として扱ったこと(エス・ウント・エー事件、最三小判平成4年2月18日)
- 昇給の出勤率の算定で、欠勤日として扱ったこと(日本シェーリング事件、最一小判平成元年12月14日)
ただしこの条文は罰則を持たない努力義務の形の規定で、賞与や退職金のあらゆる減額を一律に無効とする文言ではありません。有給の取得日を欠勤日として扱う算定は上の判例と同じ線で無効となりえます。それ以外の査定の当否は、賃金規程・賞与規程・退職金規程の内容と個別の事情によります。
| 会社の言い分 | 法律上の評価 | 理由 |
|---|---|---|
| 引継ぎが終わるまで有給は認めない | 認められない | 退職前にも変更先の労働日が残っていなければ、時季変更はできない |
| 忙しい時期なので退職前の有給は遠慮してほしい | 認められない | 事業の正常な運営を妨げる場合とは、その労働者の指定日の労働が業務の運営に不可欠で、かつ代替要員の確保が困難な場合とされており、単に忙しいだけでは足りない |
| 指定日の勤務が業務に不可欠で代替要員も確保できないため、退職前の別の労働日に取ってほしい | 認められる余地がある | 退職前に変更先の労働日がある場合に限る |
| 有給を使うなら賞与や退職金の査定を下げる | 無効となりうる | 有給の取得日を欠勤日として扱う算定は判例が無効としている。それ以外の査定は賃金規程等の内容による(附則136条) |
| 消化しきれない分は買い取らない | 認められる | 法定の買取義務はない。規程や合意に定めがある場合は内容を確認 |
大阪府の労働相談資料は、判例の考え方として、事業の正常な運営を妨げる場合に当たるには次の2つがともに必要だと整理しています。
- その労働者の指定日の労働が、担当業務を含む相当な単位の業務の運営にとって不可欠であること
- 代替要員の確保が困難であること
時季変更権を使える条件は、表の3行目で確認できます。残日数より退職日までの労働日数が多いときは、退職日の手前のどの日に有給を当てるかを、事業の正常な運営を妨げる場合に限って会社が変えられます。
最終出勤日と退職日を分け、消化日程を組む
退職日と最終出勤日を分けて記録し、休日・休職中など労働義務のない日を除いて消化日数を数えます。次は、最終出勤日の後にまとめて取得する設例です。
例:月〜金勤務・土日祝休みで、前月から健保・厚年に継続加入している無期契約の正社員。残日数20日。2026年9月8日(火)に退職届を提出し、退職日を10月31日(土)とする。
最終出勤日は10月1日(木)。月〜金勤務・土日祝休みのこの設例では、10月2日(金)から10月30日(金)までの所定労働日は、10月12日(スポーツの日)を除いて20日なので、この20日に有給を当てる。退職日は10月31日。退職日に資格を再取得しない設例なので、資格喪失日は翌日の11月1日(日)。
無期契約のこの例では、退職届から退職日まで53日あり、民法627条1項の2週間も、設例の就業規則で定めた1か月前の予告も満たしています。引継ぎの日程は、出勤する日と有給取得日を本人と話し合って調整します。この例では10月2日以降の20日すべてに年休を請求しており、退職前に動かす先がありません。
退職日を10月31日か10月30日にする比較です。社会保険料の違いは、後述の設例で確認します。前月から継続加入している人が10月30日に退職して翌日に資格を失う場合、10月分の健康保険料と厚生年金保険料は徴収されません。この違いは後述の社会保険料の節で金額にします。
残日数は管理簿で、時効で消えた分を除き、繰越分と新たな付与分の合計から取得済み日数を引いて確認します。付与日数の一覧と時効2年の考え方は有給休暇の付与日数にあります。
有給休暇の付与日数 計算機で、入社日から付与日数と次の付与日を確かめる引継ぎは、出勤日と有給取得日の配分で調整する
大阪府の資料は、退職前にも変更先がない設例で申出どおりの取得を認めたうえで、常識的な範囲での引継ぎと、早めの日程協議を求めています。
実務での落としどころは、有給を当てる日と出勤する日の配分を先に合意することです。上の例なら、退職届の提出から最終出勤日までの3週間余りを引継ぎに充て、その後の20日を有給に当てる、という配分を退職届の提出時に文書で確認します。会社が引継ぎに必要とする日数が多いなら、退職日を後ろにずらして出勤日を増やすことを提案できますが、退職日の変更には労働者の同意が必要です。
| 状況 | 会社ができること | 会社ができないこと |
|---|---|---|
| 残日数より退職日までの労働日が多い | 指定日の勤務が不可欠で、通常の配慮をしても代替要員の確保が困難な場合に、退職前の別の労働日へ変更する | 退職日の後ろへ動かす、請求そのものを断る |
| 退職前の残りの労働日すべてに年休を請求 | 退職日を後ろにずらす合意を提案する | 時季変更権の行使、退職日の一方的な延長 |
| 引継ぎ相手が決まっていない | 引継ぎ資料の作成を出勤日に依頼する | 引継ぎ完了を有給取得の条件にする |
| 労働者が引継ぎを一切しない | 誠実労働義務を根拠に協力を求める | 有給の賃金を払わない、有給の取得日を欠勤日として扱って退職金を減らす |
引継ぎの合意は退職届の受理と同じ日に済ませるのが確実です。無期契約で退職日を書いた届なら、その日が申入れの日から2週間以後であれば、その指定日に終了します。無期契約で2週間より前の日を指定した場合は、それだけでその日に終わるわけではなく、会社との合意が要ります。退職届と退職願の法的効果の違い、無期契約の2週間の数え方は退職届と退職願の書き方を参照してください。
残った年休と買取は、契約の終了・規程を確認する
年次有給休暇は労働義務のある日に労働を免除する制度なので、労働契約が終了して継続勤務に当たらない場合、退職後に旧契約の年休を取得することはできません。在籍中でも、労働基準法115条により権利の発生から2年で時効消滅します。
退職により消滅する未消化年休について、法律上、会社に買取義務はありません。就業規則や個別の合意に買取の定めがある場合は、その内容を確認します。買取が認められる3つの例外、価格の決め方、買取金の税金は有給の買取は違法?認められる3つの例外と退職時の相場・税金にまとめています。この記事では順序だけを押さえます。
- まず、退職日までの労働日に有給を当てて消化する。取得日の調整が必要なら、前述の時季変更権の条件を確認する。
- それでも残る日数について、買取を会社に打診する。買取の規程や合意がない場合、会社に応じる義務はありません。
- 買取に応じる会社は、就業規則や退職金規程に根拠を置き、単価と支払日を書面にする。
年5日の取得義務と、本人が退職前に請求する有給は分けて確認します。対象者・前倒し付与・残りの労働日では取得が不可能な場合の扱いは、有給休暇の取得義務で説明しています。
有給消化中の賃金は、就業規則等・労使協定を確認する
年休分の賃金は、就業規則等・労使協定に従う方式で支払います。労働基準法39条9項には平均賃金・通常の賃金などの方式があり、労使協定による方式を定めている場合はその協定に従います。
途中退職の日割りは就業規則によります。
退職者から早期支払の請求がなければ、年休分の賃金も通常の給料日に支払います。ただし、退職者から請求があった場合には23条1項が金額に争いのない賃金を、請求から7日以内に支払うよう求めています。
金額に争いがある場合も、異議のない部分はこの期限内に支払います。退職金は就業規則に支払時期の定めがあれば、その定めに従います。
| 項目 | 有給消化中の扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 基本給(月給制・通常の賃金方式) | 欠勤控除なし。月の途中の退職日までを日割りにするかは就業規則の定めによる | 労働基準法39条9項 |
| 通勤手当 | 出勤しない期間の定期代を精算するかは就業規則の定めによる | 賃金規程 |
| 残業代 | 有給取得で実労働しない時間の割増賃金は発生しない。固定残業手当は賃金規程を確認 | 実労働がない |
| 賞与 | 支給の可否と算定方法は賃金規程・賞与規程による。支給日在籍要件があれば退職日と支給日の前後で決まる。有給取得日を欠勤扱いにして減額する算定は判例が無効としている | 附則136条・判例・賃金規程 |
| 最終給与の支払日 | 通常の給料日。退職者の請求時の早期支払は本文参照 | 労働基準法24条2項・23条1項 |
| 所得税 | 賃金の源泉徴収と、再就職先の年末調整の対象条件を確認する | 国税庁No.2665 |
月の途中で退職する場合の日割りの考え方は月途中の入社・退職の給与計算を参照してください。住民税は退職月によって一括徴収か普通徴収かが分かれます。住民税の特別徴収に退職時の手続きがあります。
退職日による社会保険料の違いを確認する
退職日に健保・厚年の資格を再取得しない場合、退職による資格喪失日は翌日です。根拠は健康保険法36条と厚生年金保険法14条です。
前月から健保・厚年に継続加入している人が退職で資格を失う場合、喪失月の保険料はかかりません。継続加入者の喪失月の扱いは、健康保険法156条3項が定めています。厚生年金は81条2項が保険料を被保険者期間の計算の基礎となる各月について徴収すると定め、その被保険者期間を19条1項が資格を喪失した月の前月までと定めているので、2つを合わせて読みます。
保険料免除の対象外で前月から継続加入し、退職翌日に資格を失う場合、月末退職では退職月まで、月末前日退職では退職月の前月まで会社の健保・厚年の保険料がかかります。
次は2026年10月退職の設例です。前月から継続加入し、退職日に再取得しない協会けんぽ東京支部の一般被保険者で、健保・厚年とも標準報酬月額30万円、基金未加入・保険料免除の対象外とします。令和8年度の2026年4月分以降の料率を使い、雇用保険料と事業主のみが負担する拠出金は含めません。
| 退職日・介護の区分 | 資格喪失日 | 健保・支援金・介護の本人負担 | 厚年の本人負担 | 本人負担の合計 | 表の保険料の労使合計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 10月31日(土)・40歳未満 | 11月1日 | 15,120円 | 27,450円 | 42,570円 | 85,140円 |
| 10月30日(金)・40歳未満 | 10月31日 | なし | なし | なし | なし |
| 10月31日(土)・40歳から64歳 | 11月1日 | 17,550円 | 27,450円 | 45,000円 | 省略 |
本人負担は協会けんぽ東京支部の保険料額表の折半額で、いずれも円未満の端数はありません。月末前日退職でも、退職後の保険料は別に確認します。
月末前日退職のほうが得とは限らない
月末前日退職でも、退職後の保険料がなくなるとは限りません。健康保険は国民健康保険・任意継続・家族の扶養などから、本人の条件に合う加入先を確認します。
令和8年度の国民年金の第1号被保険者の定額保険料は、通常納付で月額17,920円です(免除・猶予などは別扱い)。配偶者の被扶養者として第3号になる人は、自分で国民年金保険料を納めません。
この設例で11月1日に次の会社へ入社する人は、10月30日退職なら10月31日の加入先も確認します。前の会社の保険から外れる期間が短くても、国民年金や国保等の負担が生じる場合があります。
表の会社の保険料と、退職後に負担する保険料を並べて比較します。手続きの選択肢は健康保険の任意継続と国民健康保険料の計算を参照してください。
最終給与からの控除と雇用保険料
最終給与からの控除も月末退職で変わります。本人負担の保険料は、通常は前月分、退職時は前月・当月分を通貨で支払う給与から控除できます(健康保険法167条1項・厚生年金保険法84条1項)。前月分が未控除の月末退職者では、最終給与から2か月分の社会保険料を控除することがあります。徴収のタイミングは社会保険料の徴収時期にあります。
雇用保険料は仕組みが違います。月単位の在籍判定ではなく、賃金を支払うたびに賃金額に料率を掛けて控除します(労働保険の保険料の徴収等に関する法律31条・32条)。令和8年度の一般の事業の労働者負担は1,000分の5なので、有給消化中の月給30万円からも1,500円が引かれます。同じ支払賃金額なら、退職日が月末か月末の前日かで雇用保険料は変わりません。
取得要件を満たす有給休暇を、退職だけで禁止できない
取得要件を満たす法定年休を退職だけを理由に一律に禁止する就業規則は、労働基準法92条に反します。同法13条は、法の基準に達しない労働契約について、その部分を無効としています。
無効になるのはその部分だけで、就業規則全体が無効になるわけではありません。無効になった部分には39条の基準が適用され、時季変更には事業の正常な運営を妨げるという条件が必要です。
| 就業規則の定めの例 | 効力 | 理由 |
|---|---|---|
| 取得要件を満たす法定年休も退職だけを理由に認めない | 法定の年休取得を一律に排除する部分は無効 | 39条5項の基準に達しない(13条・92条) |
| 有給は3労働日前までに申請する | 合理性と、期限までに申請できなかった事情を確認 | 時季変更権の行使を判断する時間的余裕を与える趣旨。やむを得ない事情で期限までに申請できなかった場合の扱いも確認する |
| 退職日の1か月前までに退職届を出す | 辞職の効力とは分けて考える(表の下) | 有給の請求と辞職の効力・予告期間の問題を分けて確認する |
3行目の退職届の期限は、合意退職の申込み期限と一方的な辞職を分けて考えます。無期契約の辞職は2週間の予告で成立し、これを超える予告期間を無効とする裁判例が多くあります。
就業規則に定めた年休の申請手続も確認します。法定の年休取得と、社内の申請方法は分けて扱います。
退職後へ時季変更できない根拠を確認する
昭和49年1月11日付の基収5554号は、解雇予定日を超える時季変更を認めない行政解釈です。大阪府「29 年次有給休暇」(令和8年3月更新)は、この通達を引用して退職時の設例を説明しています。
引いているのは「労働者が解雇される場合、使用者は時季変更権を解雇予定日を超えて行使できない」という部分です。そのうえで、退職日が20日後の労働者に年次有給休暇が20日残っており退職日までの取得を申し出た場合、使用者は退職後に時季の変更を行えないため申出どおり取得できる、と説明しています。
ここで押さえておきたいのは、通達の文言そのものは解雇予定日について書かれていることです。会社が解雇する場合に、解雇予定日の後ろへ有給を動かすことはできない、というのが通達の直接の射程です。自己都合退職は労働者側からの解約ですが、退職日の後ろに与える日が存在しないという構造は解雇と同じなので、同じ結論が当てはまります。上の大阪府の資料も、解雇の通達を引いたうえで退職日の例に当てはめています。
時季変更でずらせるのは、退職前の別の労働日です。退職前にも変更先がなければ、会社は時季変更権を使って取得日を後ろへ動かせません。
会社側の実務は、残日数の確認と退職日の合意から始める
退職の申出を受けた会社が最初にすべきことは、年次有給休暇管理簿で残日数を確認することです。残日数と退職日までの所定労働日数を並べ、取得希望日と引継ぎの出勤日を確認します。時季変更には日程の余裕だけでなく、事業の正常な運営を妨げるという条件が必要です。
- 残日数を確認する。管理簿と勤怠記録で、繰越分・付与分・取得済み分を照合する。時効2年で消えた分は数えない。
- 退職日を確認する。無期契約では、退職届の記載日と、民法627条1項の2週間、就業規則の予告期間を照らして退職日を確定する。退職後の加入先と、給与から控除する保険料も本人に説明する。
- 引継ぎの日程を合意する。退職日までの所定労働日のうち、出勤する日と有給を当てる日を書面で確認する。退職日を後ろにずらすなら本人の同意を得る。
- 消化しきれない日数の扱いを決める。買取に応じるなら規程の根拠と単価を確認し、応じないならその旨を伝える。
- 最終給与を計算する。有給の日の賃金、月途中退職の日割り、社会保険料の前月分とその月分、雇用保険料、住民税の一括徴収を確認する。退職者による支払請求の有無も確認する。
- 退職後の書類を渡す。離職票、源泉徴収票、退職証明書(請求があった場合)を用意する。
申請は取得日を、相談は記録を揃える
年次有給休暇の利用目的は労働者の自由で、会社は目的を理由に取得を拒めません(業務妨害目的の一斉職場放棄を除く)。申請では取得したい日を明記し、残日数・退職日・引継ぎ予定を担当者と共有します。利用目的の扱いは厚生労働省の年次有給休暇のQ&Aでも確認できます。
社内で解決しない場合は、総合労働相談コーナーへ相談できます。同コーナーは職場の労働問題について、労働者・事業主の双方から予約不要で面談・電話による相談を受け付けています。
相談前には、就業規則・給与明細などの手元の資料と、申請日・希望取得日・会社の回答の記録を揃えると、経緯を説明しやすくなります。就業規則や給与明細の保存は、未払賃金の相談向けに厚生労働省が示す労働債権確保のための手引の書類例を参考にしています。
よくある質問
退職日までの有給消化を、会社は引継ぎを理由に断れますか?
変更先の労働日が退職前にもなければ、残った年休の取得日を引継ぎのために後ろへ延ばせません。時季変更には、退職前に別の労働日があり、指定日の勤務が業務に不可欠で、通常の配慮をしても代替要員の確保が困難という条件が必要です。引継ぎ日程は早めに相談します。
退職届を出してから2週間で辞める場合も、全部有給にできますか?
無期契約では、民法627条1項の2週間は、出勤義務のある期間という意味ではありません。退職までの所定労働日が10日・残日数も10日以上ある設例なら、その労働日を有給消化に充てられます。退職日と取得日を明記して手続を進め、引継ぎ日程も早めに相談します。
有給消化中に転職先で働き始めてもよいですか?
両社の就業規則や社会保険の加入条件を確認してください。有給消化中も前の会社との労働契約は退職日まで続きます。兼業制限や加入手続が関係するため、入社日を決める前に両社の担当者へ確認します。
有給消化中に賞与の支給日が来たら、賞与はもらえますか?
有給消化中も在籍しているので、支給日在籍要件は満たします。ただし在籍しているだけで賞与の請求権が必ず発生するわけではなく、支給の可否と算定方法は賃金規程・賞与規程によります。有給の取得日を欠勤日として扱って賞与を減らす算定は、附則136条の趣旨に反するものとして無効となりえます。退職予定であることを査定に反映できるかは別の問題で、就業規則と裁判例の判断が分かれます。
消化しきれなかった有給は、退職後に請求できますか?
旧契約の年休は取得できません(継続勤務に当たらず労働関係が終了した場合)。法律上の買取請求権もありませんが、買取の規程・合意があれば確認します。
月末退職と月末前日退職は、どちらが得ですか?
一概には言えません。前月から継続加入し退職翌日に資格を失う人なら、月末前日退職では会社の健保・厚年の退職月保険料はかかりません。ただし、退職後の国保・任意継続・国民年金等の負担も含めて比較します。加入先や免除の有無で負担が異なります。本文の設例で確認してください。
パート・アルバイトも退職時に有給を消化できますか?
付与済みの年休が残っていれば、パート・アルバイトも退職前に取得できます。取得できる日と手続は、退職日までの所定労働日と会社の申請方法を確認します。付与日数は所定労働日数・時間などの条件で異なります。有給休暇の付与日数 計算機で確認できます。
出典
e-Gov法令検索・厚生労働省・協会けんぽ・日本年金機構の一次情報に基づく。
- e-Gov法令検索「労働基準法」13条、23条、24条、39条5項・7項・9項、89条、92条、115条、附則136条。時季指定・時季変更権・不利益取扱い・賃金の支払時期を確認。
- 大阪府「29 年次有給休暇」(労働相談資料、令和8年3月更新)。昭和49年1月11日基収5554号の内容(解雇予定日を超えて時季変更権を行使できない)と、退職日まで20日の設例、事前申出期限の考え方。
- 厚生労働省労働基準局「改正労働基準法に関するQ&A」(平成31年4月)3-6・3-7。残りの労働日では時季指定による取得が不可能な場合の扱い。
- 厚生労働省「年次有給休暇の時季指定義務」リーフレット。時季指定義務(39条7項)の対象者と、起算日・前倒し付与の手続、年次有給休暇管理簿の作成・保存。時季変更権には触れていない。
- e-Gov法令検索「健康保険法」36条、156条3項、167条1項。資格喪失の時期、資格喪失月の保険料、退職時の前月分とその月分の控除。
- e-Gov法令検索「厚生年金保険法」14条、19条1項、81条2項、84条1項。資格喪失の時期、被保険者期間の計算、保険料を徴収する月、退職時の控除。
- e-Gov法令検索「労働保険の保険料の徴収等に関する法律」31条、32条。雇用保険料の労働者負担と賃金からの控除。
- e-Gov法令検索「民法」627条1項。期間の定めのない雇用の解約の申入れと2週間。
- 全国健康保険協会「令和8年度都道府県単位保険料率」。東京支部の健康保険・支援金・介護の保険料率。
- 厚生労働省「令和8年度 雇用保険料率のご案内」。一般の事業の労働者負担。
- 日本年金機構「国民年金保険料」。令和8年度の第1号被保険者の保険料。
- 国税庁「No.2665 年末調整の対象となる人」。再就職先で行う年末調整の対象条件。
- 厚生労働省「年次有給休暇をとる条件は?パート労働者でももらえますか?」。利用目的の自由と一斉職場放棄の例外。
- 厚生労働省「総合労働相談コーナーのご案内」。労働者・事業主の相談窓口。
- 厚生労働省「労働債権確保のための手引」の相談準備の節。手元資料を整理する際の参考。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の判断は税務署・税理士・社会保険労務士・労働基準監督署(総合労働相談コーナー)にご確認ください。