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税制改正大綱とは — 令和8年度の大綱は何が法律になり、会社の給与計算はいつから変わるか

税制改正大綱は「次の年度の税制をこう改正する」という政府の方針を閣議決定した文書で、それ自体は法律ではありません。令和8年度の大綱は令和7年12月26日に閣議決定され、そのうち給与・年末調整に関わる部分は「所得税法等の一部を改正する法律」(令和8年法律第12号)として令和8年3月31日に成立・公布されています。税額や控除額を実際に動かすのは、大綱ではなく、この成立した法律の条文です。

会社の経理が押さえるのは日付です。国税庁の「令和8年分 年末調整のしかた」によると、令和8年度改正による基礎控除の引上げ等は原則として令和8年12月1日に施行され、令和8年分以後の所得税に適用されます。そのため令和8年11月までの給与等の源泉徴収事務に変更は生じず、改正前の源泉徴収税額表で徴収した令和8年分の税額は、令和8年12月に行う年末調整で改正後の基礎控除額などを使って精算します。改正後の源泉徴収税額表を使うのは、令和9年1月1日以後に支払うべき給与からです。

もう1つ、取り違えやすい文書があります。令和8年9月15日に閣議決定された「飲食料品消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の導入に関する大綱」です。名前に「大綱」が付き、税の改正を含みますが、毎年12月に出る税制改正大綱とは別の文書です。2026年10月6日にe-Gov法令検索で消費税法の改正履歴を確かめた時点では、この大綱に基づいて消費税法を改正する法律は載っていません。

この記事では、大綱と法律の違い、令和8年度の大綱のうち給与・年末調整に関わる項目を成立した条文と適用年分で並べた表、会社の給与計算が変わる日付の順番、大綱の文言と成立した法律の書き方の差、9月15日の大綱の位置づけまでを、財務省・国税庁・内閣官房の資料とe-Gov法令検索の将来施行版の条文で確かめます。控除額の早見表や計算の細部は、項目ごとの記事に渡します。

税制改正大綱とは — 閣議決定であって法律ではない

税制改正大綱は、政府が翌年度に行う税制改正の内容を項目ごとに書き出し、閣議決定した文書です。財務省のウェブサイトでは「税制改正の概要」の年度別のページに、「税制改正の大綱」とその「概要」が並んで掲載されています。令和8年度の大綱の本文は、冒頭で「次のとおり税制改正を行うものとする」と書いたあと、個人所得課税・資産課税・法人課税・消費課税などの分野ごとに改正の内容を並べています。

ただし、大綱に書いてあるだけでは、税額も控除額も変わりません。所得税の基礎控除や給与所得控除の額は所得税法や租税特別措置法に書かれているので、それを変えるには国会で改正法が成立する必要があります。政令や省令で決まる部分は、その政令・省令の改正が要ります。大綱は、その改正法案を作る前提になる方針です。

比べる点税制改正大綱成立した改正法(と政令・省令)
何か政府の方針を閣議決定した文書国会で成立し、公布された法律
税額・控除額を動かすか動かさない施行日以後、条文に書いた年分から動かす
書き方「〜に引き上げる」「〜の特例を創設する」と方針で書く条・項・号と施行日・適用年分を附則まで含めて書く
どこで読むか財務省「税制改正の概要」の年度別ページe-Gov法令検索(施行前の条文は将来施行版として掲載)、財務省「国会提出法律案関係」のページ
経理の実務で使うか改正の見通しを立てるために読む給与計算・年末調整で実際に使う額はこちらで確かめる

経理の実務で大綱を読む意味は、「この先どの項目が変わりそうか」を早めに知ることにあります。実際の額や適用時期は、法案の段階で書き方が細かくなり、成立した法律と附則で確定します。だから、年末調整や源泉徴収の額を決めるときは、大綱の文言ではなく、成立した条文か、それをもとに国税庁がまとめた資料(年末調整のしかた・源泉所得税の改正のあらまし)で確かめます。

令和8年度の大綱が法律になるまでの流れ

令和8年度の税制改正は、次の順に進みました。日付は、大綱の表紙と財務省「第221回国会における財務省関連法律」のページで確かめたものです。

令和8年度税制改正の大綱から、給与計算に反映されるまでの流れ 令和7年12月26日 令和8年度税制改正の大綱を閣議決定 令和8年2月20日 所得税法等の一部を改正する法律案を 国会に提出 令和8年3月31日 成立・公布(令和8年法律第12号) 令和8年11月まで 給与の源泉徴収事務は変更なし 令和8年12月1日(施行) 基礎控除の引上げ等(令和8年分以後に適用) 12月の年末調整で改正後の額で精算 令和9年1月1日以後 支払う給与から改正後の源泉徴収税額表 ひとり親控除の引上げ等は令和9年分以後
令和8年度税制改正の大綱から、会社の給与計算に反映されるまで(日付は財務省の大綱・法律案ページ、国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」による。基礎控除の引上げ等の施行日は原則であり、項目によって施行日・適用年分は異なる)

令和8年度改正では、大綱の閣議決定(令和7年12月26日)から法律の成立(令和8年3月31日)までは約3か月、法律の成立から基礎控除の引上げ等の施行(令和8年12月1日)までは約8か月あけてあります。改正法の施行日は「一部の規定を除き、令和八年四月一日」(法律案要綱)で、基礎控除の引上げ等は除かれた「一部の規定」の側にあり、施行は令和8年12月1日です。e-Gov法令検索の所得税法の改正履歴にも、令和8年法律第12号による改正が、施行日 2026年4月1日・2026年12月1日・2027年1月1日などの複数の版に分かれて載っています。

ここで大事なのは「施行日」と「適用年分」が別物だということです。基礎控除の引上げは令和8年12月1日に施行されますが、適用は令和8年分以後の所得税なので、令和8年1月から11月に支払った給与も、12月の年末調整で改正後の額を使って1年分を計算し直します。ただし、令和8年11月30日以前に出した令和8年分の死亡又は出国に伴う準確定申告は、改正前の基礎控除の額で計算されます(令和8年12月1日以後に更正の請求をすれば改正後の額を適用できます)。この扱いと更正の請求は基礎控除の記事にまとめてあります。

給与・年末調整に関わる項目と、成立した条文・適用年分

令和8年度の大綱には多くの項目がありますが、会社の給与計算と年末調整に直接効くものを、成立した法律の条(e-Gov法令検索の将来施行版)と、国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」の記載で確かめて並べると、次のとおりです。額の早見表や計算例は、右の列の記事にあります。

項目成立した法律の中身(居住者の所得税)根拠の条いつから詳しい記事
基礎控除の本体令和8年分以後、合計所得金額2,350万円以下の居住者は62万円(改正前は58万円)所得税法86条1項1号(令和8年12月1日施行版)令和8年分以後基礎控除
基礎控除の加算令和8年分・令和9年分は、合計所得金額489万円以下の居住者に42万円、489万円超655万円以下の居住者に5万円を加算租税特別措置法41条の16の2第1項(令和8年12月1日施行版)令和8年分・令和9年分(令和10年分以後は合計所得金額132万円以下の居住者に37万円)基礎控除
給与所得控除の最低保障(本則)令和8年分以後、給与等の収入金額360万円以下の給与所得控除額は「8万円+収入金額×30%」で、69万円に満たないときは69万円所得税法28条3項1号(令和8年12月1日施行版)令和8年分以後給与所得控除
給与所得控除の最低保障(特例)令和8年・令和9年の給与等の収入金額が220万円以下なら、給与所得控除額は74万円(収入金額が74万円に満たないときは収入金額)租税特別措置法29条の4第1項(令和8年12月1日施行版)令和8年分・令和9年分給与所得控除
扶養親族・同一生計配偶者・ひとり親の生計を一にする子の所得要件令和8年分以後、合計所得金額62万円以下(改正前は58万円以下。ひとり親の生計を一にする子は総所得金額等の合計額で判定)所得税法2条1項33号・34号ほか(令和8年12月1日施行版)・国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」の所得要件の表令和8年分以後(源泉徴収では令和8年12月1日以後に支払う給与等から)扶養控除等申告書
特定親族(19歳以上23歳未満)の所得要件(令和8年分以後)令和8年分以後、合計所得金額62万円超123万円以下(改正前は58万円超123万円以下)国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」の所得要件の表令和8年分以後特定親族特別控除
勤労学生の所得要件令和8年分以後、合計所得金額89万円以下(改正前は85万円以下)で、給与所得等以外の所得が10万円以下所得税法2条1項32号(令和8年12月1日施行版)令和8年分以後—
生命保険料控除の特例(令和8・9年分、23歳未満の扶養親族がいる場合)令和8年分・令和9年分、年齢23歳未満の扶養親族(その年12月31日の現況で判定。年の中途で死亡・出国する場合はその時)がいる居住者は、新生命保険料に係る一般生命保険料控除の額が、年間の新生命保険料3万円以下は全額、3万円超6万円以下は×1/2+1.5万円、6万円超12万円以下は×1/4+3万円、12万円超は一律6万円になる(旧生命保険料と併せて払う場合の一般生命保険料控除の上限も6万円で、一般・介護医療・個人年金の合計の上限12万円は変わらない)租税特別措置法41条の15の5第1項(令和8年12月1日施行版)令和8年分・令和9年分生命保険料控除
ひとり親控除令和9年分以後、所得税のひとり親控除は38万円(改正前は35万円)所得税法81条1項(令和9年1月1日施行版)令和9年分以後—

表の「改正前」は、令和7年度改正後・令和8年度改正前の額です。基礎控除の額は合計所得金額で段階が分かれ、合計所得金額が2,350万円を超える居住者の所得税法86条1項2号から4号の額(48万円・32万円・16万円)には令和8年度改正が入っていません。給与所得控除は、令和8年・令和9年の給与等の収入金額が220万円を超える人には改正がありません(国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」の注)。また、令和8年分以後、給与等の収入金額が660万円未満の人の給与所得の金額は所得税法の別表第五(令和8年・令和9年の収入69万1千円以上220万円未満は措置法29条の4第2項)で求めるので、表の式で出した額と端数が違うことがあります。

扶養親族等の所得要件の改正は、令和8年分の源泉徴収事務では令和8年12月1日以後に支払う給与等から適用されます。国税庁は、この改正で新たに扶養親族等の要件を満たすことになった親族について扶養控除等の適用を受けるには「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」等の提出が必要になる、と注意を書いています。令和8年分の合計所得金額が58万円を超え62万円以下になる親族がいる従業員には、12月の年末調整の前に申告書の出し直しを案内しておくと、精算の漏れを防げます。

表に載せた国税庁の資料には、令和8年分・令和9年分の給与だけの人について、所得要件を給与の収入金額に置き換えためやすも載っています(扶養親族等の62万円以下は給与収入136万円以下、特定親族の62万円超123万円以下は給与収入136万円超197万円以下)。これは改正後の給与所得控除額をもとにした額で、特定支出控除の適用がある場合は表の金額と異なると注記されています。

扶養控除シミュレーターで、令和8年分の所得要件(合計所得金額62万円以下)に当たるかを確かめる

会社の給与計算が変わる日付の順番

経理担当者の作業で見ると、令和8年度改正の給与まわりは、次の4つの時点で手が動きます。国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」の「令和8年の給与等の源泉徴収事務における留意事項」と「令和9年から変わる事項」の記載をもとに並べています。

時点何が変わるか経理の作業
令和8年11月までに支払う給与等源泉徴収事務に変更は生じない(改正前の源泉徴収税額表を使う)毎月の源泉徴収はこれまでどおり
令和8年12月1日以後に支払う給与等扶養親族等の所得要件の改正(58万円以下→62万円以下など)が源泉徴収で適用される新たに要件を満たす親族がいる人から扶養控除等(異動)申告書等を受け取る
令和8年12月に行う年末調整令和8年分の改正後の基礎控除額と「令和8年分の年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」で1年分の税額を計算し、改正前の源泉徴収税額表で徴収した税額と精算する令和8年分用の表と申告書を使って年末調整をする
令和9年1月1日以後に支払うべき給与「令和9年分 源泉徴収税額表」を使う。防衛特別所得税の創設・復興特別所得税の税率引下げは令和9年1月1日以後に生ずる所得に適用給与計算ソフトの税額表を令和9年分に切り替える

令和8年中に支払う給与(12月に支払う給与を含む)の毎月の源泉徴収は改正前の源泉徴収税額表で行い、年末調整の対象になる人は、12月の年末調整で改正後の基礎控除額などを使って精算します。令和8年分の年税額は、基礎控除が増えた分(令和8年の給与収入が220万円以下の人は給与所得控除が増えた分も)だけ小さくなりやすく、年の途中に改正前の税額表で源泉徴収した額との差は、年末調整を受ける人なら年末調整で還付されます。どのくらい戻るかの試算は年末調整の還付金の記事にあります。

令和9年1月1日以後に生ずる所得から、防衛特別所得税(基準所得税額の1%)が創設され、復興特別所得税の税率は2.1%から1.1%に引き下げられます(課税期間は令和29年12月31日まで延長)。国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」は、令和9年1月1日以後に生ずる所得について、改正前(復興特別所得税2.1%)と改正後(防衛特別所得税1%と復興特別所得税1.1%)とで合計の税率2.1%は変わらないので、改正前後で源泉徴収税額の計算方法に変更は生じない、と書いています。同じ資料は、令和9年1月1日以後に支払うべき給与には「令和9年分 源泉徴収税額表」を使って源泉徴収税額を求めるよう案内しています。

大綱の文言と成立した法律の書き方の差

大綱と成立した法律を並べて読むと、中身は同じでも書き方が違う箇所があります。経理の実務で額を確かめるときに迷いやすいものを3つ挙げます。

給与所得控除の最低保障は、大綱の「69万円+5万円」が、条文では「令和8年・令和9年の収入220万円以下なら74万円」

大綱は、給与所得控除の最低保障額を「65万円の最低保障額を69万円に引き上げる」と書き、別の項目で「令和8年及び令和9年における給与所得控除の最低保障額を5万円引き上げる特例を創設する」と書いています。成立した法律では、本則の所得税法28条3項1号が令和8年分以後の収入金額360万円以下について「8万円+収入金額×30%(69万円に満たない場合は69万円)」の式になり、特例の租税特別措置法29条の4第1項が令和8年・令和9年の収入金額220万円以下の給与所得控除額を「七十四万円」(収入金額が74万円に満たない場合は収入金額)と直接定めています。大綱の「69万円+5万円」を足し算で覚えていても、令和8年・令和9年の給与所得控除の特例の条文には「74万円」と書いてあり、しかも「220万円以下」という収入の上限が付いている点が、大綱には書かれていない部分です。

大綱に数字のない項目が、法律や国税庁の表で数字になっている

大綱の「見直しに伴う所要の措置」には、令和8年分以後の扶養親族・同一生計配偶者の所得要件(合計所得金額62万円以下)、ひとり親の生計を一にする子の要件(総所得金額等の合計額62万円以下)、勤労学生の所得要件(合計所得金額89万円以下)は書いてありますが、特定親族や配偶者特別控除の対象となる配偶者の所得要件の数字は「その他所要の措置を講ずる」にまとめられています。国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」の表では、令和8年分以後の特定親族は合計所得金額62万円超123万円以下、配偶者特別控除の対象となる配偶者は62万円超133万円以下と、数字で示されています。大綱だけを読むと「特定親族の要件は変わっていない」と読み違えるおそれがあります。

「物価に連動して引き上げる仕組み」は、自動で額が変わる仕組みではない

大綱は「物価上昇に連動して基礎控除等を引き上げる仕組みを創設」すると書いています。成立した法律でこれに当たるのは附則の規定で、法律案要綱によると、令和10年分以後の所得税の基礎控除の額は、政府が2年ごとに、直前の見直し後の額に全国消費者物価指数の変化率を乗じた額を「基準として見直しを行うことを基本とする」もので、給与所得控除の最低保障額も同様とされています(附則第101条関係)。物価が上がれば翌年から自動で控除額が変わる、という書き方ではありません。額が変わるのは、そのたびに税制改正で条文が改められたときです。

給与まわりとその他の主な見直し

令和8年度の大綱には、上の表のほかにも給与計算や経理に関わる見直しが入っています。ここでは大綱や法律案の資料にどう書かれているかだけを挙げ、額と適用時期の確認は各記事と成立した政令・通達に譲ります。

令和8年9月15日の「もう一つの大綱」(飲食料品の消費税率)

令和8年9月15日には、毎年12月の税制改正大綱とは別に、もう1つの大綱が閣議決定されています。それが「飲食料品消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の導入に関する大綱」です。財務省の「税制改正の概要」のページでは、令和8年度の大綱とは別に「令和9年度及び令和10年度の飲食料品に係る消費税率の臨時的な引下げ」として案内され、本文は内閣官房のページに掲載されています。

この大綱の本文は、令和9年4月1日から令和11年3月31日までの間に事業者が国内で行う飲食料品(現行の軽減税率の対象となっている飲食料品)の譲渡などについて、消費税の税率を0.78%とする特例を創設する(地方消費税率と合わせて1%)と書いています。ただし、この大綱は、令和9年1月1日前に結んだ定期供給契約(不特定かつ多数の者に定期的に継続して供給する契約で、特例税率を前提とするものを除く)に基づき令和9年4月1日前に対価を受け取っている部分の飲食料品の譲渡や、令和9年1月1日前に販売条件(特例税率を前提とするものを除く)を示した通信販売で令和9年4月1日前に申込みを受けた飲食料品の譲渡などは、特例税率の対象から除外するとしています。あわせて、所得に応じた給付を行う「就業者負担軽減支援金」を導入するとしています。

ただし、これも閣議決定であって、法律ではありません。内閣官房のページは、必要な法制上の措置等を可及的速やかに講ずるため、法案提出に向けてこの大綱を閣議決定した、と説明しています。2026年10月6日にe-Gov法令検索で消費税法(法令番号 昭和63年法律第108号)の改正履歴を確かめた時点では、公布日が令和8年9月15日より後の改正法は載っていません。法律案の提出の状況は内閣官房のページと財務省「国会提出法律案関係」のページで、成立・公布された後の条文はe-Gov法令検索で確かめられます。レジや請求書のシステムの準備を始める会社もあると思いますが、税率が実際に変わるかどうかと、その日付は、改正法が成立・公布されてから条文で確かめる必要があります。

次の大綱(令和9年度)の確かめ方

2026年10月6日に財務省「税制改正の概要」のページを確かめた時点で、令和9年度の欄に載っているのは「令和9年度税制改正要望」(令和8年8月31日時点)だけで、令和9年度の税制改正の大綱はまだ掲載されていません。直近2回の大綱の閣議決定日は、令和7年度が令和6年12月27日、令和8年度が令和7年12月26日でした。

次の大綱が出たら、経理の実務では次の順に確かめると迷いません。

  1. 財務省「税制改正の概要」の年度別ページで、大綱の本文(PDF)と概要を開き、個人所得課税のうち給与・年末調整に関わる項目と、各項目の「(注)」に書かれた適用年分を拾う
  2. 翌年の通常国会に提出される「所得税法等の一部を改正する法律案」の要綱で、大綱からの変更がないかと、施行期日を確かめる
  3. 法律が成立・公布されたら、e-Gov法令検索の将来施行版の条文と、国税庁の「源泉所得税の改正のあらまし」「年末調整のしかた」で、実際に使う額と、源泉徴収税額表がいつから変わるかを確かめる

よくある質問

税制改正大綱が出たら、すぐに給与計算を変える必要がありますか?

大綱が閣議決定されただけでは、給与計算を変える必要はありません。大綱は政府の方針で、税額や控除額を変えるのは国会で成立した改正法です。令和8年度改正でも、大綱の閣議決定(令和7年12月26日)のあと、改正法が令和8年3月31日に成立・公布され、基礎控除の引上げ等は原則として令和8年12月1日に施行されます。令和8年11月までに支払う給与等の源泉徴収事務は変わっていません。

令和8年度改正の基礎控除の引上げは、いつの給与から反映されますか?

毎月の源泉徴収には令和8年中は反映されず、令和8年12月に行う年末調整で、令和8年分の1年分の税額を改正後の基礎控除額で計算し直して精算します(国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」)。改正後の源泉徴収税額表を使うのは、令和9年1月1日以後に支払うべき給与からです。年末調整を受けない人は、令和8年分の確定申告で改正後の額を使います。令和8年11月30日以前に死亡・出国に伴う準確定申告を出した場合などは改正前の基礎控除の額で計算され、その準確定申告は令和8年12月1日以後に更正の請求ができます。

大綱にある「所得税の課税最低限178万円」は何の数字ですか?

大綱は「所得税の課税最低限を178万円まで特例的に先取りして引き上げる」と書いていますが、本文に内訳は書いていません。成立した条文で計算すると、令和8年分・令和9年分に給与収入だけがあり、ほかの所得控除(社会保険料控除など)を考えない居住者なら、給与収入178万円から給与所得控除74万円(収入220万円以下の特例)を引いた給与所得104万円が、基礎控除104万円(合計所得金額489万円以下の62万円+42万円)と同じ額になり、課税所得が0円になります。実際には、社会保険料を自分で支払っている人は社会保険料控除などがあるので、所得税がかからない給与収入はこれより高くなります。

9月15日の大綱で、令和9年4月からの飲食料品の消費税率はもう1%に決まったのですか?

2026年10月6日時点では、決まっていません。令和8年9月15日に閣議決定された「飲食料品消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の導入に関する大綱」は、令和9年4月1日から令和11年3月31日までの間の飲食料品の譲渡(令和9年1月1日前に結んだ定期供給契約や通信販売の一部を除く)について、地方消費税と合わせた税率を1%とする方針を示したものです。同日にe-Gov法令検索で見た消費税法の改正履歴には、この大綱に基づく改正法はまだ載っていません。

防衛特別所得税が始まると、源泉徴収の計算は変わりますか?

国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」は、令和9年1月1日以後に生ずる所得について、防衛特別所得税(源泉徴収すべき所得税の額の1%)が創設され、復興特別所得税の税率が2.1%から1.1%に下がっても、合計の税率2.1%は変わらないので、源泉徴収税額の計算方法に変更は生じない、と書いています。源泉徴収義務者は、防衛特別所得税を所得税と併せて徴収し、所得税の法定納期限までに併せて納付します。

令和9年度の税制改正大綱はいつ出ますか?

2026年10月6日時点で、財務省のページに令和9年度の大綱は載っておらず、載っているのは令和8年8月31日時点の税制改正要望だけです。直近2回の大綱は、令和7年度が令和6年12月27日、令和8年度が令和7年12月26日に閣議決定されています。日付は、財務省「税制改正の概要」のページで確かめてください。

次に読む

出典

財務省の税制改正の大綱・法律案の資料、内閣官房の資料、国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」、e-Gov法令検索の所得税法・租税特別措置法の将来施行版と改正履歴で確認して作成。確認日:2026年10月6日。

本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の判断は税務署・税理士にご確認ください。

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