スポットワークの労務と経理|応募で契約成立・労災は初日・丙欄・仕訳【令和8年】
結論から言うと、スポットワーク(アプリで単発・短時間の仕事を募集し、その日だけ働いてもらう仕組み)で来る人は、仲介事業者の従業員ではなく、受け入れた会社の労働者です。労働契約は会社とスポットワーカーの間で直接成立し、労働基準法・労災保険法・最低賃金法を守る義務も、賃金台帳をつける義務も、源泉徴収をする義務も、すべて受け入れ先の会社に生じます。厚生労働省は令和7年7月に事業主向けのリーフレットを出し、面接なしで先着順に決まる求人では、別途の合意がなければ応募の時点で労働契約が成立するのが一般的だと整理しました。1日だけでも期間の定めのある労働契約なので、特段の合意がなければ、やむを得ない事由がない限り期間の途中で解約することはできません。会社の都合で働かせなかった日は休業に当たり、休業手当の対象になります。
保険と税金は、雇用期間が1日であることを理由に大きく変わります。労災保険は1日目から全員に適用され、保険料は全額会社負担です。健康保険と厚生年金は「日々雇い入れられる者」を一般の被保険者から除いており、1か月を超えて引き続き使用したときに初めて加入します。ただし健康保険にはこれとは別に日雇特例被保険者の枠があり、適用事業所に使用される日雇労働者は原則としてそちらに当たります(外れるには厚生労働大臣の承認が必要です)。短時間労働者として加入させるかどうかは、自社が特定適用事業所に当たるかを先に判定します。雇用保険は週20時間未満・31日未満で原則対象外ですが、日雇労働被保険者手帳を持つ人には雇用保険印紙で印紙保険料を納めます。源泉徴収は日額表の丙欄で、令和8年分ではその日の給与が9,800円未満なら税額0円、10,000円の行でも8円です。乙欄なら同じ行で1,800円なので、丙欄を使えるかどうかが手取りと預り金を大きく左右します。
この記事は2026年9月8日時点の一次情報に基づき、スポットワーカーを受け入れる会社の側に立って、契約の成立から労働条件の明示、保険の適用、源泉徴収、帳簿、勘定科目と仕訳までを順に整理します。仲介アプリの画面が処理を代行してくれる部分があっても、法律上の義務者は会社です。どこまでがアプリの機能で、どこからが会社の責任かを分けて確認するための記事です。
使用者は仲介事業者ではなく自社。契約は応募の時点で成立する
スポットワークの仲介アプリは、会社が出した求人をスポットワーカーに見せ、応募とマッチングを取り次ぎます。職業安定法4条の言葉では職業紹介や募集情報等提供に当たる仕事で、労働者派遣法2条1号の労働者派遣(派遣元が自分の雇用する労働者を他人の指揮命令で働かせる仕組み)ではありません。派遣なら派遣元が雇用主として社会保険や給与計算を担いますが、スポットワークでは、仲介事業者は誰も雇っていません。雇っているのは受け入れた会社です。
厚生労働省が令和7年7月4日に公表した事業主向けリーフレットは、この点を最初に確認しています。スポットワークは事業主とスポットワーカーが直接労働契約を締結するもので、労働基準法等を守る義務は労働契約を締結した事業主に生じる、スポットワーカーと仲介事業者が労働契約を結ぶものではない、という整理です。労働条件通知書の交付を仲介事業者が代行する場合があっても、交付は事業主の義務なので、交付されているか、内容が適切かを事業主が確認するよう求めています。
| 仕組み | 労働契約の相手 | 指揮命令をする人 | 賃金・保険・帳簿の義務者 |
|---|---|---|---|
| スポットワーク(雇用型) | 受け入れ先の会社 | 受け入れ先の会社 | 受け入れ先の会社 |
| 労働者派遣 | 派遣元 | 派遣先 | 派遣元(派遣先は労働時間管理等を分担) |
| 業務委託型のマッチング | 労働契約はない(請負・委任) | 本来は誰も指揮命令しない | 報酬の支払者は源泉徴収の要否と消費税の区分を確認 |
労働契約の成立時期は、労働契約法6条が定めています。合意で成立する諾成契約なので、書面の取り交わしは成立の条件ではありません。
労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する。
リーフレットは、スポットワークでは会社が掲載した求人にスポットワーカーが応募し、面接等を経ることなく短時間でマッチングするのが一般的だとしたうえで、面接等を経ずに先着順で就労が決定する求人では、別途特段の合意がなければ、応募した時点で労使双方の合意があったものとして労働契約が成立すると一般的には考えられる、と整理しています。会社の側から見ると、アプリの「確定」通知が届いた時点で、すでに労働契約を結んだ相手が一人いる状態です。一旦確定した労働日や労働時間を変えることは労働条件の変更に当たり、双方の合意が要ります。
応募後の解約は原則できない。休業なら休業手当、解雇予告の除外は1か月超で外れる
キャンセルでまず確かめるのは金額ではなく、そもそも解約できるかどうかです。1日だけの仕事でも、それは期間の定めのある労働契約です。労働契約法17条1項は、有期労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、契約期間が満了するまでの間に労働者を解雇することはできないと定めています。
使用者は、期間の定めのある労働契約(以下この章において「有期労働契約」という。)について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。
厚生労働省のリーフレットにも、契約期間の定めのある労働契約については、労使間で特段の合意がない場合は、やむを得ない事由(天災事変等)がある場合を除き、労働契約成立後に解約することはできないという注記があります。「休業手当か賃金全額を払えば自由にキャンセルできる」ではありません。あらかじめ解約の事由と期限を示した契約(解約権留保付労働契約)を結ぶ余地はありますが、リーフレットは、その事由が合理的であること、労働契約法3条1項の労使対等の原則の趣旨を踏まえてスポットワーカーにのみ不利な内容にならないことに留意するよう求め、直前の解約は別の就労機会を探す時間を奪うため不適切だとしています。
そのうえで、契約を残したまま働かせなかった日をどう精算するかは、解約とは別の問題です。当日の朝に「人手が足りたので来なくてよい」と伝えて契約自体は続いているなら、それは会社都合の休業です。リーフレットは、労働契約成立後に事業主の都合で丸1日の休業または早上がりをさせることになった場合は、労働基準法26条の使用者の責に帰すべき事由による休業となり、所定支払日までに休業手当を支払う必要があるとしています。休業手当の代わりに、その日に約束した賃金を全額支払うことで差し支えないとも書かれています。
使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。
1日だけの労働者に平均賃金を計算するのは実務上むずかしいので、リーフレットが示す「約束した賃金を全額払う」処理のほうが簡単です。なお、事業主自身の故意・過失で休業させた場合は民法536条2項により賃金全額の支払が必要になる、という注記もあります。アプリのキャンセルポリシーで会社側の解約期限が設定されている場合でも、それは仲介事業者とのサービス利用条件であって、労働基準法上の休業手当の義務を消すものではありません。厚生労働省はスポットワーク協会への協力依頼でも、キャンセルポリシーが労働者にのみ不利な内容にならないよう求めています。
解雇予告は、さらに別の話です。1日の契約がその日の終わりに期間満了で終わるのは解雇ではないので、そもそも予告の問題は起きません。予告が問題になるのは、同じ人を続けて使ったあとに会社から辞めてもらう場面です。労働基準法20条の30日前予告または予告手当は、21条で日々雇い入れられる者に適用されませんが、その人が1か月を超えて引き続き使用されるに至った場合は、この除外が外れます。
前条の規定は、左の各号の一に該当する労働者については適用しない。但し、第一号に該当する者が一箇月を超えて引き続き使用されるに至つた場合、第二号若しくは第三号に該当する者が所定の期間を超えて引き続き使用されるに至つた場合又は第四号に該当する者が十四日を超えて引き続き使用されるに至つた場合においては、この限りでない。
同じ人を毎日のように呼び続けて1か月を超えると、「日雇い」ではなく継続した雇用として扱う場面が増えます。解雇予告のほか、後述する社会保険の加入、賃金台帳の様式、労働者名簿の作成が、この1か月という線で切り替わります。解雇予告手当と休業手当の計算はそれぞれの記事で確認できます。
労働条件の明示は就業前に。アプリの画面でも本人が希望すれば足りる
労働契約が成立すると、労働基準法15条の労働条件明示義務が生じます。リーフレットは、予定された就業開始前に労働条件を明示することなどが必要で、明示しなかった場合は労働基準法違反になるとしています。
使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
明示する事項は労働基準法施行規則5条1項が列挙し、そのうち契約期間、有期契約の更新基準、就業場所と業務(変更の範囲を含む)、始業・終業時刻等、賃金の決定・計算・支払方法、退職に関する事項は書面での明示が原則です。同条4項は、労働者が希望した場合に限り、ファクシミリまたは電子メール等(本人が出力して書面を作成できるものに限る)による明示を認めています。アプリの求人画面や確定通知に必要事項がそろい、本人がその方法を希望していれば、この要件に沿った運用になり得ます。逆に、アプリの表示が「時給と時間帯」だけで、就業場所の詳細や賃金の支払方法・支払時期を欠いていれば、会社が補って明示する必要があります。項目の中身は労働条件通知書の記事で確認できます。
スポットワークで実際に相談が寄せられているのは、求人に書いてあった業務内容や賃金と実際が違う、始業前に指示された作業の賃金が払われない、といった内容です。厚生労働省は都道府県労働局宛ての通知で、賃金不払や求人内容と実際の労働条件が異なる等の相談・申告が一定数寄せられていると述べています。求人を出す段階で、着替えや準備の時間を含めた始業・終業時刻を設定しておくことが、後の労働時間の修正申請を減らします。
業務委託型との見分けは契約書の題名ではなく指揮命令で決まる
マッチングアプリの中には、労働契約ではなく業務委託として仕事を出すものもあります。配達1件ごとに報酬が決まる形などがそれです。この場合、受け手は労働基準法9条の労働者ではないので、労働時間規制も最低賃金も労災保険も原則として及びません。ただし、名前が「業務委託」でも、実態が指揮命令の下での労働なら労働者です。
この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。
厚生労働省のリーフレットが対象にしているスポットワークは、短時間・単発の就労を内容とする雇用契約のもとで働くものと定義されています。次のような運用は、雇用型として扱う方向に働く事情です。
- 会社の担当者が作業の手順・順番を指示し、進み具合を確認している
- 始業・終業の時刻が決まっていて、遅刻や早退を会社が管理している
- 報酬が成果物ではなく時間で決まり、仕事がなかった時間にも支払われる
- 会社の制服・道具を使い、他の従業員と同じ持ち場に入っている
- 本人の判断で別の人に代わってもらうことが認められていない
雇用型なら支払は給与で、源泉徴収は税額表、消費税は不課税です。業務委託型なら支払は外注費で、消費税の課税仕入れ(インボイスの有無で仕入税額控除が変わる)、源泉徴収は所得税法204条の報酬に当たるものだけ、という別の処理になります。この区分の判定は外注費と給与の区分の記事で扱っています。アプリの種類で機械的に決めず、実際に誰が仕事のやり方を決めているかで判断します。
労災保険は1日だけでも適用され、保険料は全額会社負担
労災保険は、加入手続の対象を労働者ごとに選ぶ制度ではありません。労働者災害補償保険法3条1項は事業単位で適用を定めています。
この法律においては、労働者を使用する事業を適用事業とする。
労働者を1人でも使用する事業は適用事業で、そこで働く労働者は勤務日数や雇用期間にかかわらず給付の対象です。リーフレットも、スポットワーカーが通勤の途中または仕事中にけがをした場合は、就労先の事業について成立する保険関係に基づき労災保険給付を受けられ、労災保険料は事業主の負担になると書いています。健康保険が使えない業務上のけがを、本人の国民健康保険で受診させる扱いは誤りです。
保険料の面では、スポットワーカーに支払った賃金も労働保険の賃金総額に含めます。労災保険率は事業の種類ごとに決まり、労働保険の年度更新で前年度の確定保険料と当年度の概算保険料を計算するときに、日雇いの賃金を漏らさないことが必要です。アプリ経由の賃金は仲介事業者の精算書で合計額が分かるので、年度更新のときに給与ソフトの外にある支払を足し込む作業が要ります。労災保険率と年度更新の記事も参照できます。
安全衛生の義務も同じです。リーフレットは、労働安全衛生法等に基づく雇入れ時の教育(機械等の危険性や安全装置の取扱方法等)の実施や、ハラスメント防止の措置を、スポットワーカーについても事業主の義務として挙げています。通勤災害と休業補償の内容は別の記事で確認できます。
雇用保険は原則対象外だが、日雇労働被保険者には印紙保険料を納める
雇用保険法6条は、週の所定労働時間が20時間未満の人と、同じ事業主に継続して31日以上雇用される見込みのない人を適用除外にしています。1日だけのスポットワーカーはどちらにも当たるので、一般被保険者にはなりません。ただし、6条には括弧書きがあります。
同一の事業主の適用事業に継続して三十一日以上雇用されることが見込まれない者(前二月の各月において十八日以上同一の事業主の適用事業に雇用された者及びこの法律を適用することとした場合において第四十二条に規定する日雇労働者であつて第四十三条第一項各号のいずれかに該当するものに該当することとなる者を除く。)
日雇労働者で43条1項各号に該当する人は、適用除外から外れ、日雇労働被保険者になります。42条の日雇労働者は、日々雇用される人と30日以内の期間を定めて雇用される人です。
この節において日雇労働者とは、次の各号のいずれかに該当する労働者(前二月の各月において十八日以上同一の事業主の適用事業に雇用された者及び同一の事業主の適用事業に継続して三十一日以上雇用された者(次条第二項の認可を受けた者を除く。)を除く。)をいう。
43条1項の各号は、適用区域(特別区や公共職業安定所のある市町村等で厚生労働大臣が指定する区域)に居住して適用事業に雇用される人、適用区域外に居住して適用区域内の適用事業に雇用される人などです。日雇労働被保険者は44条により公共職業安定所で日雇労働被保険者手帳の交付を受けます。会社側の義務は、労働保険徴収法23条にあります。事業主は日雇労働被保険者に賃金を支払う都度、その人の手帳に雇用保険印紙を貼って消印する方法で印紙保険料を納付し、日雇労働被保険者を使用する場合には手帳を提出させなければなりません。印紙の額は徴収法22条1項が賃金日額で3段階に定めています。
| 等級 | 賃金日額 | 印紙保険料(1日) | 会社負担 | 本人負担 |
|---|---|---|---|---|
| 第1級 | 11,300円以上 | 176円 | 88円 | 88円 |
| 第2級 | 8,200円以上11,300円未満 | 146円 | 73円 | 73円 |
| 第3級 | 8,200円未満 | 96円 | 48円 | 48円 |
負担割合は徴収法31条2項が定めています。
日雇労働被保険者は、前項の規定によるその者の負担すべき額のほか、印紙保険料の額の二分の一の額(その額に一円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。)を負担するものとする。
印紙保険料は、雇用保険の一般保険料の代わりではありません。東京労働局が公開する労働保険の手引(令和8年度の料率で記載)は、日雇労働被保険者を雇用した場合は雇用保険印紙保険料と一般保険料の両方の納付義務があるとし、本人から控除できる額を「(雇用保険印紙料×1/2)+(賃金×5/1000)」(一般の事業。令和8年度の雇用保険率13.5/1000。建設の事業は16.5/1000で賃金×6/1000)と示しています。年度更新では、労災保険分の賃金総額に全員分の賃金が入り、雇用保険分の賃金総額には日雇労働被保険者を含む被保険者に払った賃金が入ります。
実務では、手帳を持っていないスポットワーカーが多数です。手帳がなければ印紙を貼る場所がないので、会社は雇い入れ時に手帳の有無を確認し、持っている人には提出を求めます。印紙は、あらかじめ所轄のハローワークに申請して雇用保険印紙購入通帳の交付を受けたうえで、郵便局で購入します(徴収法施行規則41条・42条)。同じ人を前2か月の各月に18日以上、または継続して31日以上雇用すると、その人は42条の括弧書きで日雇労働者から外れ、一般被保険者としての資格取得届が必要になる場面に移ります。この切り替えは週20時間・31日の一般の判定と別の線で動くので、雇用保険の加入条件の記事の例外として覚えておくと混乱しません。
健康保険・厚生年金の一般被保険者からは適用除外。健康保険には日雇特例の別枠がある
健康保険法3条1項2号と厚生年金保険法12条1号は、臨時に使用される人のうち「日々雇い入れられる者」と「2か月以内の期間を定めて使用される者」を被保険者から除いています。1日単位のスポットワーカーは前者に当たり、その日に社会保険へ加入させる必要はありません。厚生年金保険法12条1号の現行の柱書は次のとおりです。
臨時に使用される者(船舶所有者に使用される船員を除く。)であつて、次に掲げるもの。ただし、イに掲げる者にあつては一月を超え、ロに掲げる者にあつては定めた期間を超え、引き続き使用されるに至つた場合を除く。
イが日々雇い入れられる者、ロが2か月以内の期間を定めて使用される者です。ただし書のとおり、日々雇い入れられる人でも1か月を超えて引き続き使用されるに至った場合は除外から外れ、その時点から被保険者になります。毎日単発の契約を結び直していても、実態として同じ会社で1か月を超えて働き続けていれば、この「引き続き使用」に当たり得ます。
ここで踏み込んで確認したいのが、ロの文言です。令和2年法律第40号(年金制度改正法)が令和4年10月1日に施行される前後で、条文は次のように変わりました。e-Gov法令検索で令和4年6月17日施行版と現行版を並べて確認したものです。
| 条文 | 令和4年9月30日まで | 令和4年10月1日から |
|---|---|---|
| 健康保険法3条1項2号ロ | 二月以内の期間を定めて使用される者 | 二月以内の期間を定めて使用される者であって、当該定めた期間を超えて使用されることが見込まれないもの |
| 厚生年金保険法12条1号ロ | 二月以内の期間を定めて使用される者 | 二月以内の期間を定めて使用される者であつて、当該定めた期間を超えて使用されることが見込まれないもの |
| 除外が外れる時点(ロ) | 所定の期間を超えて引き続き使用されるに至った場合 | 定めた期間を超えて引き続き使用されるに至った場合 |
改正前は、2か月以内の契約なら、更新の予定があっても契約期間の間は適用除外にでき、実際に2か月を超えてから加入させる運用が可能でした。改正後は、定めた期間を超えて使用されることが見込まれる場合は最初から除外に当たらず、初日から被保険者になります。2週間や1か月の期間を定めてスポットワーカーを受け入れ、その先も続けてもらう前提で募集しているなら、「2か月以内だから社会保険は不要」という説明は令和4年10月以降は成り立ちません。加入条件の全体は社会保険の加入条件の記事にあります。
この図が描いているのは、臨時に使用される者の除外(健康保険法3条1項2号・厚生年金保険法12条1号)だけです。図で「加入」に進んだ人にも、健康保険法3条1項9号・厚生年金保険法12条5号の短時間労働者の除外が残ります。同じ事業所の通常の労働者の1週間の所定労働時間または1か月の所定労働日数の4分の3未満で、かつ①1週間の所定労働時間が20時間未満、②所定の方法で算定した報酬が月額8万8千円未満、③高校生・大学生等、のいずれかに当たる人は、この号で被保険者になりません。短い時間で繰り返し呼ぶスポットワーカーは、1か月を超えて引き続き使用しても、まずこの4分の3と20時間・8万8千円の線で判定します。
そして、①〜③のどれにも当たらない人(週20時間以上・月8万8千円以上・学生でない人)でも、それだけで加入になるわけではありません。会社の規模を先に見ます。健康保険法・厚生年金保険法の附則(平成24年法律第62号「公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律」附則46条1項・17条1項)は、当分の間、特定適用事業所以外の適用事業所に使用される4分の3未満の短時間労働者を、被保険者としないと定めています。
当分の間、特定適用事業所以外の適用事業所…に使用される第一号又は第二号に掲げる者であって同法第三条第一項各号のいずれにも該当しないもの…については、同項の規定にかかわらず、健康保険の被保険者としない。
その特定適用事業所の定義は同附則46条12項(厚生年金保険は17条12項)にあります。
この条において特定適用事業所とは、事業主が同一である一又は二以上の適用事業所であって、当該一又は二以上の適用事業所に使用される特定労働者の総数が常時五十人を超えるものの各適用事業所をいう。
特定労働者は、70歳未満の人のうち厚生年金保険法12条各号のいずれにも該当しない人から、4分の3未満の短時間労働者を除いたものです。つまり数えるのはフルタイム等の被保険者の頭数で、4分の3未満の短時間労働者は分母に入りません。常時50人以下なら、20時間・8万8千円・学生の3要件をすべて満たしても加入対象になりません。50人以下でも、労使の同意を得て事業主が申出をすれば加入対象にできます(同附則46条5項・17条5項。いわゆる任意特定適用事業所)。この50人という線は令和7年法律第74号により、令和9年10月1日から常時35人超、令和11年10月1日から常時20人超、令和14年10月1日から常時10人超へ段階的に下がります。スポットワーカーを短時間労働者として加入させる前に、まず自社が特定適用事業所に当たるかを判定してください。
健康保険には、日雇労働者のための別の枠があります。健康保険法3条2項は、適用事業所に使用される日雇労働者を日雇特例被保険者とし、日雇特例被保険者手帳に健康保険印紙を貼る方法で保険料を納める仕組み(169条)を置いています。事業主は日雇特例被保険者を使用する日ごとに手帳の提出を求めなければならず、本人負担分は賃金から控除できます。一方で、3条2項1号は次の場合に厚生労働大臣の承認を受けて日雇特例被保険者にならない道も用意しています。
適用事業所において、引き続く二月間に通算して二十六日以上使用される見込みのないことが明らかであるとき。
月に数回だけアプリで働く人はこの承認の対象になり得ますし、実際には日雇特例被保険者手帳を持たずに働いている人が大半です。ただし、3条2項の本文は、適用事業所に使用される日雇労働者を日雇特例被保険者だと定めています。手帳を持っていないことは、その人が日雇特例被保険者でないことの理由になりません。手帳の交付申請は126条1項が本人に課した義務(該当した日から5日以内)で、1号の要件(引き続く2か月間に通算26日以上使用される見込みのないことが明らか)に当たる人が枠から外れるのも、厚生労働大臣の承認を受けた場合に限られます。会社の側には169条2項の保険料納付義務と5項の手帳提出を求める義務があるので、「手帳が無いから国民健康保険」で片付けると義務を見落とします。雇い入れ時に手帳の有無を確認し、無ければ本人の申請状況や承認の有無を確かめ、判断が付かなければ年金事務所に確認します。承認を受けている人や日雇特例被保険者に当たらない人の医療は本人の国民健康保険等で、業務上のけがはどの形でも労災保険です。
源泉徴収は丙欄。日額9,800円未満は0円、乙欄との差は10,000円で1,792円
スポットワーカーへの支払は給与なので、会社は所得税法183条の源泉徴収義務者です。税額は185条1項が給与の区分ごとに定めており、3号が日雇賃金です。
労働した日又は時間によつて算定され、かつ、労働した日ごとに支払を受ける給与等で政令で定めるもの
この給与には別表第三(日額表)の丙欄を使います。政令で定める給与等の範囲は所得税法施行令309条です。
法第百八十五条第一項第三号(賞与以外の給与等に係る徴収税額)に規定する政令で定める給与等は、日日雇い入れられる者が支払を受ける給与等(一の給与等の支払者から継続して二月をこえて支払を受ける場合におけるその二月をこえて支払を受けるものを除く。)とする。
丙欄の適用に、扶養控除等申告書の提出は関係ありません。国税庁の令和8年分税額表の説明も、扶養控除等申告書の提出がない人のうち、労働した日ごとに支払われる給与等については丙欄によるとし、継続して2か月を超えて支払うこととなった場合は、その2か月を超える部分の期間の給与等は日雇賃金に含まれず、甲欄または乙欄で計算するとしています。令和8年分の日額表から、その日の社会保険料等控除後の給与等の金額ごとに甲欄(扶養親族等0人)・乙欄・丙欄を抜き出すと次のとおりです。
| その日の給与(社会保険料等控除後) | 甲欄・扶養親族等0人 | 乙欄 | 丙欄 |
|---|---|---|---|
| 8,000円以上8,100円未満 | 195円 | 1,090円 | 0円 |
| 9,700円以上9,800円未満 | 255円 | 1,680円 | 0円 |
| 9,800円以上9,900円未満 | 260円 | 1,730円 | 1円 |
| 10,000円以上10,100円未満 | 265円 | 1,800円 | 8円 |
| 12,000円以上12,100円未満 | 420円 | 2,440円 | 79円 |
| 15,000円以上15,100円未満 | 670円 | 3,940円 | 193円 |
| 20,000円以上20,100円未満 | 1,515円 | 6,530円 | 419円 |
時給1,250円で8時間、日額10,000円の人なら、丙欄で8円、乙欄なら1,800円、差は1,792円です。時給1,200円で6時間の7,200円なら丙欄は0円です。9,800円未満の行はすべて0円なので、令和8年分の丙欄で税額が出るのは日額9,800円以上の人だけです。なお乙欄は3,500円未満の行でも給与の3.063%の税額が出ます。丙欄を使えるのに乙欄で引くと、本人は確定申告をしないと取り戻せません。逆に、同じ人に3か月目以降も払い続けているのに丙欄のままにすると、徴収不足が会社の側に残ります。
2か月の数え方は施行令309条のとおり「一の給与等の支払者から継続して二月をこえて支払を受ける場合」です。同じ会社が同じ人に継続して払う場合の話で、その人が別のアプリや別の会社で働いた日数は関係ありません。継続が途切れた(間が空いた)と言えるかは実態によるので、常連のスポットワーカーがいる会社は、初回の勤務日から数えて2か月を超えたら扶養控除等申告書の提出を求め、甲欄または乙欄に切り替える手順を決めておきます。丙欄を含む日額表と月額表の使い分けは源泉徴収税額表の見方で詳しく扱っています。
丙欄で徴収した税額も、翌月10日までに納付します。納期の特例の承認を受けている会社は、半年ごとの納付に含めます。年末調整は扶養控除等申告書を提出していない人には行わないので、丙欄の人には年末調整をしません。源泉徴収票の本人への交付は提出範囲と関係なく全員が対象で、その年の翌年1月31日まで(年の中途で退職した人は退職の日以後1か月以内)に交付します。
税務署への提出範囲は、令和8年分から変わりました。国税庁タックスアンサーNo.7411(令和8年4月1日現在法令等)の主文は、同一人(その年の中途において退職した受給者に限ります。)に対してその年中の給与等の支払金額が30万円以下である給与等を支払った場合を除くすべての給与等です。丙欄の人によく当てはめられてきた「乙欄・丙欄は年50万円超」という基準は、同ページの(注)書きのとおり令和8年12月31日以前に税務署へ提出すべき源泉徴収票の範囲です。令和8年分の提出期限は令和9年1月31日なので、この年分に50万円の基準を使うと、年30万円超50万円以下の人が提出漏れになります。1日で契約が終わるスポットワーカーは「年の中途において退職した受給者」に当たる場面が多く、その場合は年内の支払合計が30万円を超えるかどうかで判定します。
ただし、令和9年1月1日以後に提出すべき源泉徴収票については、市区町村に給与支払報告書を提出すれば税務署に提出したものとみなされます(みなし提出の特例)。給与支払報告書の提出範囲も税務署への提出範囲と同一で、翌年1月1日現在で給与の支給を受けているすべての受給者について、翌年1月31日までに、翌年1月1日現在の住所地(年の中途で退職した人は退職時の住所地)の市区町村へ提出します。スポットワーカーは住所地の市区町村がばらばらになるので、精算書から住所を拾って年内に集計しておきます。
源泉徴収税額 計算機で、2か月を超えて甲欄・乙欄に切り替えた後の税額を確かめる賃金は即日払いでよい。5原則のうち通貨・直接・全額は動かない
スポットワークの多くは、勤務当日または数日内に賃金が支払われます。労働基準法24条2項の「毎月1回以上・一定期日」は、支払の回数と期日の下限を定めた規定なので、即日払いや週払いにしても違反ではありません。
賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金(第八十九条において「臨時の賃金等」という。)については、この限りでない。
動かないのは1項の原則です。賃金は「通貨で、直接労働者に、その全額を」支払うのが原則で、通貨以外の支払(口座振込等)は労働者の同意がある場合に、控除は法令の定めか労使協定がある場合に限られます。施行規則7条の2第1項は、労働者の同意を得た場合の支払方法として、本人が指定する銀行等の口座への振込みのほか、厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者の口座への資金移動(いわゆる賃金のデジタル払い)を認めていますが、デジタル払いは本人が銀行口座への振込みを選択できるようにし、要件を説明したうえで同意を得ることが条件です。アプリ上で受取方法を選ばせる仕組みは、この同意の手続を兼ねている必要があります。
厚生労働省の協力依頼が「賃金の立替払サービス」と呼ぶ仕組みでは、仲介事業者がスポットワーカーへ先に賃金相当額を渡し、後で会社に請求します。会社の側で確認しておくべきなのは、労働時間の確定が会社の責任だという点です。協力依頼は、立替払サービスを利用するために労働時間管理サービスで労働時間を把握する場合には、適正に労働時間が把握できるよう協力を求めています。予定と実際の労働時間が違うとの修正申請があったときは、予定時間分の賃金は遅滞なく払い、差額は速やかに確定させる、というのがリーフレットの整理です。
「全額」に関わる落とし穴は、労働時間の範囲です。会社の指示による制服への着替えや業務後の後始末の時間、待機を命じた時間は労働時間なので、その分の賃金を払わないと全額払いに反します。求人に書いた交通費を別途支払うとしながら払わないことも違反になります。労働時間の確定と賃金計算の全体は給与計算のやり方の記事で確認できます。
賃金台帳は日雇いでも必要、労働者名簿は日雇いなら不要
帳簿の義務は、労働者名簿と賃金台帳で扱いが違います。労働基準法107条は労働者名簿から日々雇い入れられる者を除いていますが、108条の賃金台帳には除外がありません。
使用者は、各事業場ごとに労働者名簿を、各労働者(日日雇い入れられる者を除く。)について調製し、労働者の氏名、生年月日、履歴その他厚生労働省令で定める事項を記入しなければならない。
使用者は、各事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければならない。
賃金台帳の記載事項は施行規則54条1項が氏名、性別、賃金計算期間、労働日数、労働時間数、時間外・休日・深夜の労働時間数、賃金の種類ごとの額、控除額の8項目を挙げています。日雇いについては同条4項に緩和があります。
日々雇い入れられる者(一箇月を超えて引続き使用される者を除く。)については、第一項第三号は記入するを要しない。
3号は賃金計算期間です。様式も分かれており、55条は常時使用される労働者(1か月を超えて引き続き使用される日々雇い入れられる者を含む)には様式第20号、日々雇い入れられる者(1か月を超えて引き続き使用される者を除く)には様式第21号を定めています。アプリの管理画面で支払履歴が見られても、それが8項目(日雇いなら7項目)を満たす台帳になっているかは会社が確認します。給与ソフトの外で払っている賃金は台帳から漏れやすいので、月末に仲介事業者の精算書から台帳へ転記する運用が現実的です。
| 帳簿・書類 | 1日だけの日雇い | 1か月を超えて引き続き使用 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 労働者名簿 | 不要 | 必要 | 労働基準法107条1項 |
| 賃金台帳 | 必要(様式第21号、賃金計算期間は省略可) | 必要(様式第20号) | 労働基準法108条、施行規則54条・55条 |
| 労働条件の明示書面 | 必要 | 必要 | 労働基準法15条、施行規則5条 |
| 解雇予告 | 不要 | 必要 | 労働基準法20条・21条 |
| 源泉徴収の税額表 | 日額表・丙欄 | 2か月を超えた部分から甲欄または乙欄 | 所得税法185条、施行令309条 |
保存期間は109条が5年と定め、附則143条が当分の間3年と読み替えています。起算日は施行規則56条1項2号が賃金台帳について「最後の記入をした日」と定め、同条2項が、その記録に係る賃金の支払期日のほうが遅いときは支払期日を起算日とする例外を置いています。即日払いなら記入日と支払期日はほぼ重なりますが、月末締めで後日精算する運用では支払期日のほうが後になります。賃金台帳と労働者名簿の記載項目は、それぞれの記事にまとめています。
勘定科目は雑給または給与手当。仲介手数料は支払手数料で課税仕入れ
スポットワーカーへの支払は給与なので、勘定科目は給与手当か、臨時雇いを分けて管理するなら雑給です。どちらも消費税は不課税で、法人税・所得税の計算では人件費として損金・必要経費になります。仲介事業者に払う手数料は役務の対価なので支払手数料で、消費税の課税仕入れです。仕入税額控除にはインボイス(適格請求書)が要るので、仲介事業者の登録番号が精算書に載っているかを確認します。会社負担の印紙保険料と労災保険料は法定福利費で、消費税の課税仕入れには当たりません。
日額10,000円(時給1,250円×8時間)、丙欄の源泉税額8円、仲介手数料は仮に2,000円(税抜)とした例で示します。手数料の水準は求人ごとに仲介事業者が定めるので、実際の精算書の額を使います。
| 場面 | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 会社が当日に現金で支払う | 雑給 10,000円 | 預り金(源泉所得税) 8円 現金 9,992円 |
| 仲介事業者が立替払し、会社は後日精算する(賃金の計上) | 雑給 10,000円 | 預り金(源泉所得税) 8円 未払金 9,992円 |
| 精算書に基づき仲介事業者へ振り込む | 未払金 9,992円 支払手数料 2,000円 仮払消費税 200円 | 普通預金 12,192円 |
| 翌月10日までに源泉所得税を納付する | 預り金 8円 | 現金 8円 |
| 日雇労働被保険者手帳を持つ人に第2級の印紙146円を貼る | 法定福利費 73円 預り金(本人負担分) 73円 | 貯蔵品(雇用保険印紙) 146円 |
立替払の精算では、仲介事業者の請求に賃金相当額と手数料が混ざっています。請求額をまとめて支払手数料にすると、人件費が消えて手数料が過大になり、消費税の課税仕入れも過大になります。逆に全額を雑給にすると、手数料分の仕入税額控除を落とします。精算書の内訳で、賃金・源泉所得税・手数料・消費税を分けて起票します。源泉所得税を仲介事業者が代わりに預かる契約の場合でも、納付義務者は会社なので、預り金の残高と納付書の金額が合っているかを月次で確認します。
印紙保険料の本人負担分を賃金から控除する例では、手取りは10,000円−8円−73円=9,919円になります。印紙をまとめて購入したときは貯蔵品で持ち、貼付した日に法定福利費(会社負担分)と預り金(本人負担分)に振り替えると、月末の印紙残高と通帳の記録が突き合わせられます。通勤費を実費で別途払う場合は旅費交通費または通勤手当で処理し、所得税の非課税通勤手当の範囲内かを確認します。勘定科目の使い分けは勘定科目一覧、法定福利費の計算は法定福利費の計算ツールが参考になります。
受け入れ前に確認する順序
求人を出す前に決めておく項目を順に並べます。
- 雇用型か業務委託型かを、アプリの種類ではなく指揮命令の実態で決める。雇用型なら以下が会社の義務になる。
- 求人の始業・終業時刻に、指示する着替え・準備・後始末の時間を含める。交通費の有無と支払方法も書く。応募で契約が成立する前提で、会社側のキャンセル期限と休業手当を払う手順も先に決める。
- 労働条件の明示がアプリ上で完結しているかを確認し、足りない項目は会社の書面で補う。
- 雇い入れ時に日雇労働被保険者手帳と日雇特例被保険者手帳の有無を確認する。持っていれば印紙を準備し、無ければ本人の申請状況を確かめる。
- 源泉徴収は丙欄で始め、2か月を超えたら扶養控除等申告書をもらって甲欄・乙欄に切り替える。1か月を超えて引き続き使用したら社会保険の加入と労働者名簿を検討する。短時間労働者として加入させるかどうかは、自社が特定適用事業所に当たるかを先に判定する。
- 賃金台帳(様式第21号)に精算書から転記し、年度更新の賃金総額と源泉徴収票・給与支払報告書の年間支払額を同じ台帳から集計する。仕訳は雑給・預り金・支払手数料・仮払消費税・法定福利費に分け、精算書の内訳と一致させる。
よくある質問
Q. スポットワーカーの雇用主は仲介アプリの会社ですか?
A. 違います。厚生労働省のリーフレットは、スポットワークでは事業主とスポットワーカーが直接労働契約を締結し、労働基準法等を守る義務は労働契約を締結した事業主に生じると整理しています。仲介事業者は求人と応募を仲介する立場で、労働者派遣の派遣元ではありません。
Q. 当日の朝に人手が足りたのでキャンセルしても問題ありませんか?
A. 1日だけでも期間の定めのある労働契約なので、特段の合意がなければ、やむを得ない事由がない限り期間の途中で解約することはできません(労働契約法17条1項)。契約を残したまま働かせなかった場合は会社都合の休業に当たり、労働基準法26条の休業手当(平均賃金の6割以上)が必要です。その日の約束した賃金を全額支払う扱いでも差し支えないと厚生労働省は案内しています。
Q. 1日だけの勤務でも労災保険の対象ですか?
A. 対象です。労災保険は労働者を使用する事業を適用事業とし、勤務日数や雇用期間の条件はありません。通勤途中や仕事中のけがは受け入れ先の事業の保険関係で給付を受け、保険料は全額会社負担です。
Q. 丙欄はいつまで使えますか?
A. 同じ支払者から継続して2か月を超えて給与を支払うことになった場合、その2か月を超える部分の期間の給与は丙欄の対象から外れ、扶養控除等申告書の提出の有無に応じて日額表の甲欄または乙欄で計算します。
Q. 日額1万円のスポットワーカーの源泉所得税はいくらですか?
A. 令和8年分の日額表では、社会保険料等控除後の金額が10,000円以上10,100円未満の行の丙欄は8円です。同じ行の乙欄は1,800円、扶養親族等0人の甲欄は265円で、丙欄を使えるかどうかで金額が大きく変わります。
Q. 週20時間未満・31日未満なのに雇用保険が関係するのはなぜですか?
A. 雇用保険法6条の適用除外は、日雇労働被保険者に該当することとなる人を除外の対象から外しているためです。日雇労働被保険者手帳を持つ人に賃金を支払うときは、事業主が雇用保険印紙で印紙保険料を納付します。
Q. 労働者名簿と賃金台帳は日雇いでも作りますか?
A. 賃金台帳は日々雇い入れられる人についても作成が必要で、様式第21号を使い、賃金計算期間の記入は省略できます。労働者名簿は労働基準法107条が日々雇い入れられる者を除いているため、1か月を超えて引き続き使用する人以外は不要です。
出典
- 厚生労働省「いわゆる「スポットワーク」の留意事項等」。事業主向けリーフレット「「スポットワーク」の労務管理」(令和7年7月)、労働者向けリーフレット、令和7年7月4日付 基発0704第2号・職発0704第1号(スポットワーク協会宛て協力依頼)、基発0704第3号・職発0704第2号・雇均発0704第1号(都道府県労働局長宛て通知)。労働契約の成立時期、契約期間の定めのある労働契約は特段の合意がなければやむを得ない事由(天災事変等)がある場合を除き成立後に解約できないという注記、解約権留保付労働契約の留意点、休業手当、労働時間の確定、労災保険の適用、キャンセルポリシーの扱いを確認。確認日:2026年9月8日。
- e-Gov法令検索「労働契約法」3条1項・6条・17条1項。API v2の現行リビジョン(419AC0000000128_20200401_430AC0000000071)で、労働契約の成立要件と、有期労働契約はやむを得ない事由がなければ契約期間の満了までの間に解雇できないことを確認。
- e-Gov法令検索「労働基準法」9条・15条・20条・21条・24条・26条・107条・108条・109条・附則143条、「労働基準法施行規則」5条・7条の2・8条・54条・55条・56条。明示事項、賃金支払の原則、日雇いの帳簿の緩和と様式第21号、賃金台帳の保存期間の起算日(56条1項2号「最後の記入をした日」と、56条2項の支払期日が遅い場合の例外)を確認。
- e-Gov法令検索「労働者災害補償保険法」3条。労働者を使用する事業への適用。
- e-Gov法令検索「雇用保険法」6条・42条・43条・44条、「労働保険の保険料の徴収等に関する法律」22条・23条・31条、「同法施行規則」41条・42条。日雇労働者の定義、日雇労働被保険者、印紙保険料176円・146円・96円と賃金日額の区分、折半負担、雇用保険印紙の販売場所と雇用保険印紙購入通帳を確認。
- 東京労働局が公開する労働保険の手引(雇用保険の被保険者に関する部分のPDF、令和8年度の料率で記載)「日雇労働被保険者を雇い入れた場合の手続きは」。印紙保険料と一般保険料の両方に納付義務があること、本人負担分の計算式と令和8年度の雇用保険率(一般の事業13.5/1000・建設の事業16.5/1000)、印紙の等級と賃金日額の区分を確認。確認日:2026年9月8日。
- e-Gov法令検索「健康保険法」3条1項2号・3条1項9号・3条2項・3条8項・126条・169条、「厚生年金保険法」12条1号・12条5号。現行リビジョンと令和4年6月17日施行リビジョン(211AC0000000070_20220617_504AC0000000068、329AC0000000115_20220617_504AC0000000068)を並べ、令和4年10月1日施行の改正で「見込まれないもの」が加わったことを確認。あわせて両法に収録された平成24年法律第62号の附則46条1項・5項・12項および17条1項・5項・12項で、特定適用事業所以外の適用事業所では4分の3未満の短時間労働者を被保険者としないこと、特定適用事業所とは特定労働者の総数が常時50人を超える適用事業所であることを確認。段階的な引き下げは令和9年10月1日施行リビジョン(211AC0000000070_20271001_507AC0000000074)の附則46条の2の読替表(35人・20人・10人)で確認。確認日:2026年9月8日。
- e-Gov法令検索「所得税法」185条1項3号・別表第三、「所得税法施行令」309条。API v2の令和8年12月1日施行版(340AC0000000033_20261201_508AC0000000012)で日雇賃金の定義と丙欄の適用を確認。
- 国税庁「令和8年分 源泉徴収税額表」日額表(8〜14ページ)、給与所得の源泉徴収税額の求め方(19〜22ページ)。丙欄が0円になる9,800円未満の行、10,000円・12,000円・15,000円・20,000円の行の甲欄・乙欄・丙欄の税額、日雇賃金の定義と2か月の扱いを確認。
- 国税庁「No.7411 「給与所得の源泉徴収票」の提出範囲と提出枚数等」(令和8年4月1日現在法令等)。提出範囲は、その年の中途において退職した受給者に対する年30万円以下の支払を除くすべての給与等であること、乙欄・丙欄の50万円超は(注)書きの令和8年12月31日以前に提出すべきものの範囲、本人交付は提出範囲に関わらず全員、給与支払報告書の提出範囲は税務署への提出範囲と同一、令和9年1月1日以後の給与支払報告書の提出で税務署への提出とみなされることを確認。確認日:2026年9月8日。
- e-Gov法令検索「職業安定法」4条、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」2条。職業紹介・募集情報等提供と労働者派遣の定義の違いを確認。
本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の判断は税務署・税理士・社会保険労務士にご確認ください。