年末調整の学資保険|書く欄・控除できる人・受取人の条件
学資保険の保険料は、受取人の全員が払った人・配偶者・その他の親族である契約なら、契約者ではなく実際に払った人が、保険料控除申告書の「一般の生命保険料」に書いて控除を受けます(対象外の契約と新契約の医療特約の分を除く)。
新契約の医療特約の分は別の区分で、保険期間5年未満の貯蓄保険などは対象外です。
控除額の計算は生命保険料控除シミュレーターでできます。
早見表:学資保険の年末調整で確かめる点
令和8年分の年末調整で、学資保険の保険料を保険料控除申告書に書くときの確認点です。根拠は国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」とタックスアンサーNo.1140・No.1141です。
| 確かめる点 | 答え |
|---|---|
| 書く欄 | 生命保険料控除の「一般の生命保険料」(新契約の医療特約の分は除く) |
| 新・旧の区分 | 契約を結んだ日で決まる(次の節) |
| 控除を受ける人 | 保険料を実際に払った人(受取人の条件を満たす場合。契約者でなくてよい) |
| 受取人の条件 | 受取人の全員が、払った人・その配偶者・その他の親族 |
| 対象外の契約 | 保険期間5年未満の貯蓄保険など(対象外の節) |
| 払込みが終わった後の年 | その年に払った保険料(前納の今年分を含む)が無ければ書かない |
どの欄に書くか(一般の生命保険料・新旧)
学資保険は、子の生存(進学・満期)や契約者の死亡に基因して一定額の保険金が支払われる生命保険契約です。そのため保険料は、生命保険料控除の3つの区分のうち一般の生命保険料に入ります(新契約の特約の分は保障内容で区分)。
一般の生命保険料は、契約を締結した日で新旧に分かれます。平成24年1月1日以後に締結した契約は新生命保険料、平成23年12月31日以前に締結した契約は旧生命保険料です。
新生命保険料を旧生命保険料に含めるなど、区分を振り替えることはできません。区分は、保険会社から届く控除証明書で確かめます。
医療保障の特約を付けた新契約は、特約の保険料が保障内容に応じて介護医療保険料などに分かれます。旧契約では、医療保険などの保険料も旧生命保険料です。
新契約で、異なる保障を1つの契約で結んでいる場合は、主たる保障内容で区分します。区分の数え方と控除額の計算式は生命保険料控除の解説にまとめています。
控除できる人と受取人の条件
生命保険料控除の対象は、所得者本人が支払った保険料に限られます(会社が負担して本人の給与として課税される分を含む)。契約者が誰であるかは要件ではありません。
たとえば妻が契約者の学資保険の保険料を夫の口座から払っている場合、受取人の全員が夫・その配偶者・親族で、居住者である夫が払ったことを明らかにすれば、夫の生命保険料控除の対象になります(対象外の契約を除く)。払っていない妻は、その保険料では控除を受けません。
もう1つの条件は受取人です。保険金等の受取人の全員が、払った人またはその配偶者その他の親族でなければなりません。学資保険は、満期金・学資金の受取人と死亡給付金の受取人が別に決まっていることがあるので、全員を確かめます。
受取人の条件は、保険料を支払った時の現況で判定します。国税庁の例では、離婚した元の妻を受取人のままにしていた間に払った保険料は対象外で、受取人を子に変えた後に払った分は対象です。
誰が保険料を負担したかで、将来受け取る満期金などの課税関係が変わります(贈与税または一時所得)。受け取ったときの税金は一時所得の解説で扱っています。
保険料控除申告書の書き方
令和8年分の給与所得者の保険料控除申告書で、学資保険を書く行は生命保険料控除の「一般の生命保険料」です(新契約の医療特約の分は証明書の区分に従います)。欄の名前は様式の表記を短くしています。
| 欄 | 書くこと |
|---|---|
| 保険会社等の名称 | 学資保険を契約している保険会社や共済の名前 |
| 保険等の種類 | 学資保険、こども保険など、証明書に書かれた種類 |
| 保険期間又は年金支払期間 | 証明書に書かれた保険期間 |
| 保険等の契約者の氏名 | 契約者の氏名(払った人と違ってもその名前) |
| 保険金等の受取人 | 受取人の氏名 |
| 新・旧の区分 | 新か旧か(契約を締結した日で決まる) |
| 本年中に支払った保険料等の金額 | その年分の支払額(前納は今年分)から剰余金・割戻金を引いた額 |
新契約の学資保険は、金額にかかわらず証明書の添付か提示が要ります(電子署名付きの証明データを申告書のデータと併せて出す場合や、勤務先が確認して記録した団体特約などを除く)。
証明書の交付を請求中などで年末調整までに確認できないときは、翌年1月末日までに提出または提示することを条件に、控除をして年末調整をしてよいことになっています。
令和8・9年分の特例を使う人は、申告書の「☆年齢23歳未満の扶養親族」欄にも記入します(特例の節)。
- 旧生命保険料は、1契約の年間の保険料(剰余金などを差し引いた額)が9,000円以下なら、証明書は要りません。
- 勤務先を対象とする団体特約に基づく保険料などは、金額・契約者・受取人を勤務先が確認し、確認した旨を申告書などに残せば、証明書を出さなくてよいとされています。
- 電子データで申告書を出す場合は、証明書に代えて、保険会社の電子証明書等が付いたデータを出せます。
- 月払の証明書は、その年の支払額に代えて毎月の保険料と1月から9月までの払込状況が書かれていればよいとされています。
- 証明書の届く時期や再発行は生命保険料控除証明書の解説、申告書全体の書き方は保険料控除申告書の解説にあります。
書く金額(前納・解約・払込終了)
書くのは、その年分として実際に払った保険料です(前納・振替貸付・解約の扱いは下の表)。剰余金や割戻金を受けたとき、またはそれを保険料の払込みに充てたときは、その額を差し引きます(解約一時金とともに、または受けた後に受けるものや、払込みが要らなくなった後の保険金などの支払開始後に受けるものは除く)。契約が2つ以上あるときは、区分ごとに合計してから差し引きます。
払い方ごとに、その年の保険料に入れる額は次のとおりです。表の額から剰余金・割戻金を差し引いて書きます(解約一時金とともに、または受けた後に受ける剰余金や、払込みが要らなくなった後、保険金などの支払開始後に受ける剰余金などは差し引かない)。前納の行は、払込期日ごとに保険料に充て、残りが保険事故などで返される前納で、割引後の総額を使います。根拠は「令和8年分 年末調整のしかた」と所得税基本通達76-3、タックスアンサーNo.1140のQ&Aです。
| 払い方・できごと | その年に書く金額 |
|---|---|
| 月払・年払 | その年に払った額 |
| 払込期日が来たが払っていない | 含めない |
| 振替貸付で払込みに充てられた | 含める |
| 全期前納など前納した | その年の払込期日の分(下の算式で計算) |
| 団体扱いで保険料が減額された | 減額後の額 |
| 年の途中で解約した | 解約までに払った額 |
| 払込みが終わった・免除された後の年 | 払った保険料(前納の今年分を含む)が無ければ書かない |
払込期日ごとに充て、残りが返される前納の場合、算式は「前納保険料の総額(割引を受けたときは割引後の額)×その年に来る払込期日の回数÷払込期日の総回数」です。
- この算式を使う前納は、払込期日ごとに保険料に充て、充てる前の残りが保険事故などで返されるものです(所得税基本通達76-3)。
- 振替貸付の額を後で返しても、返した額は払った保険料になりません。
- 解約一時金と、解約一時金とともに、または受けた後に受ける剰余金・割戻金は原則として一時所得なので、払った保険料から差し引きません。
- 払込みが要らなくなった後、保険金などの支払が始まった日以後に受ける剰余金なども差し引きません。
令和8・9年分の特例(23歳未満の扶養親族)
令和8・9年分は、年齢23歳未満の扶養親族がいる人が新生命保険料を払った場合、一般の生命保険料の控除額を別の表で計算し、上限が4万円から6万円に上がります。
次の表は、令和8・9年分の所得税で、年齢23歳未満の扶養親族を有する人が払った新生命保険料の控除額です。表に当てるのは控除の対象になる新生命保険料の額で、計算した控除額の1円未満の端数は切り上げます。
| 年間の新生命保険料 | 控除額 |
|---|---|
| 3万円以下 | 全額 |
| 3万円超6万円以下 | 保険料×1/2+1万5,000円 |
| 6万円超12万円以下 | 保険料×1/4+3万円 |
| 12万円超 | 一律6万円 |
たとえば令和8年分に、対象になる新契約の学資保険(特約なし)だけを月1万円(年12万円)払い、剰余金が無い場合、一般の生命保険料の控除額は通常の表で4万円、23歳未満の扶養親族がいれば特例の表で6万円です。
令和8年分の年齢23歳未満の扶養親族は、生計を一にする23歳未満の親族(里子を含み、配偶者・給与を受ける青色事業専従者・白色事業専従者を除く)で、合計所得金額の見積額が62万円以下(給与だけなら収入136万円以下)の人です。生計を一にし、所得が62万円以下で専従者でなければ、扶養控除の対象にならない16歳未満の子も23歳未満の扶養親族に当たります。
特例を使う人は、申告書の「☆年齢23歳未満の扶養親族」欄にその扶養親族の氏名などを書きます。23歳未満の扶養親族が2人以上いる場合は、いずれか1人を書けば足ります。特例を使う場合、計算は②欄・⑤欄を使い、㋑欄に⑤欄の金額を書きます(①欄・④欄は使いません)。
夫婦の間に年齢23歳未満の扶養親族である子が1人いる同一世帯の場合、夫婦がそれぞれ新生命保険料を払っていれば、夫婦の両方が特例を受けられます。
- 親族は6親等内の血族と3親等内の姻族です。児童福祉法により養育を委託された里子も含みます。
- 年齢は、その年の年末の現況で判定します(年の途中で亡くなった場合や、所得者本人が出国して非居住者になる場合は、その時)。
- 令和8・9年分に23歳未満の扶養親族がいても、生命保険料控除の合計の上限12万円は変わりません。旧生命保険料と併用するときの計算や住民税の扱いは生命保険料控除の解説で扱っています。
控除の対象にならない契約
学資保険という名前でも、次の契約は生命保険料控除の対象になりません。
- 保険期間が5年未満の契約のうち、いわゆる貯蓄保険や貯蓄共済
- 外国生命保険会社等と国外で締結した契約
- 信用保険契約・傷害保険契約・財形貯蓄契約など
- 受取人の中に、払った人・配偶者・その他の親族以外の人がいる契約
対象になるかは、保険会社などから届く証明書で確かめられます。
経理担当の確認点
年末調整で、従業員から学資保険を書いた保険料控除申告書を受け取ったときの確認点です。
- 「一般の生命保険料」の欄に書かれ(新契約の医療特約の分は別の区分)、新・旧の区分が証明書と合っているか
- 契約者が配偶者などの場合、従業員本人が払ったことを確かめたか
- 受取人の氏名が書かれ、その中に本人・配偶者・その他の親族以外の人がいないか
- 金額が証明書の剰余金控除後の額と合い、同じ区分の契約が複数あれば合計しているか
- 新契約の分に証明書の添付か提示があるか(請求中などで間に合わないときは翌年1月末日までに提出か提示。電子署名付きの証明データを申告書のデータと併せて出す場合や、勤務先が確認して記録した団体特約などは別)
会社が負担した保険料は、本人の給与として課税されるべき分を除き、本人が払った保険料に含めません。
年末調整 計算機で還付・不足額を計算する →まとめ
- 受取人の条件を満たし対象外の契約でない学資保険の保険料は、保険料控除申告書の「一般の生命保険料」に書きます(新契約の医療特約の分は除く)。新旧は契約を締結した日で決まります。
- 控除を受けるのは保険料を払った人で、受取人の条件を満たせば契約者でなくてもかまいません。
- 受取人の全員が、払った人・配偶者・その他の親族であることが条件です。
よくある質問
学資保険は年末調整で控除の対象になりますか?
なります。学資保険の保険料(新契約の医療特約の分を除く)は、生命保険料控除の「一般の生命保険料」に入ります。受取人の全員が払った人・配偶者・その他の親族であることと、保険期間5年未満の貯蓄保険などの対象外の契約でないことが条件です。
妻名義の学資保険の保険料を夫が払っています。どちらが控除を受けますか?
夫です。控除できるのは実際に保険料を払った人で、契約者が誰かは問われません。夫が払ったことを明らかにし、受取人の条件を満たせば、夫の申告書に書きます。
学資保険の保険料を払い終わりました。年末調整に書きますか?
その年に払った保険料が無ければ書きません。払込みが終わった年でも、その年に払った分があれば書きます。払込期日ごとに充てる前納なら、その年に来る払込期日の分を書きます。
控除証明書が年末調整に間に合いません。どうすればよいですか?
証明書の交付を請求中などの場合は、翌年1月末日までに提出または提示することを条件に、控除をして年末調整をしてよいことになっています。
医療特約の付いた学資保険はどう書きますか?
新契約なら、特約の保険料は保障内容に応じて介護医療保険料などに分かれます。区分ごとの金額は控除証明書で確かめ、それぞれの欄に書きます。旧契約は旧生命保険料です。
出典
国税庁の年末調整の手引き・タックスアンサー・質疑応答事例・所得税基本通達と、令和8年分の保険料控除申告書の様式で確認して作成。確認日:2026年10月15日。
- 国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」4ページ(23歳未満の扶養親族を有する場合の生命保険料控除の特例)・20〜23ページ(生命保険料控除)
- 国税庁「令和8年分 給与所得者の保険料控除申告書」
- 国税庁タックスアンサー「No.1140 生命保険料控除」
- 国税庁タックスアンサー「No.1140 生命保険料控除 Q&A」(Q1 妻が契約者の生命保険料・Q2 年の中途の解約・Q3 離婚後の受取人)
- 国税庁タックスアンサー「No.1141 生命保険料控除の対象となる保険契約等」
- 国税庁 質疑応答事例「妻名義の生命保険料控除証明書に基づく生命保険料控除」
- 国税庁「所得税基本通達 法第76条《生命保険料控除》関係」76-1・76-3・76-4
本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。個別の契約が控除の対象になるかなどの判断は、税務署・税理士にご確認ください。